Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

里海探偵団が行く!の書評が公開されました

2010-10-14 | 水圏環境リテラシープログラム
9月下旬に発刊となった【里海探偵団が行く!】の書評がブログ「食農教育交換日誌」に公開されています。

http://blog.syokunou.net/?p=1309

この中で,筆者は海山川の体験活動ではどうしても私たち大人は教えたくなる。
この本には,楽しいことに,気になることに,わくわくすることが詰まっている。
大切だと思うことは、子どもが自分の中で気づいていくことが大事なのである。

とこれまでの実践を交えて感想を述べていただいた。


伝統的なエコ知識

2010-10-07 | 水圏環境リテラシープログラム
 水と私たちは切っても切れない関係にある。水は私たちになくてはならないものであり,私たちは水に対して必然的に影響を与えてきた。水の重要性は未だに変化はないが,逆に私たちの水への影響は度が過ぎる程耐えかね無い状態だ。私たちは,まさに湯水のごとく水を使い,使ったあと更に水への負荷を与えている。水を使う限り,水への負荷は当然といえば当然である。

 しかし,そのマイナスの事実にあまり目を向けてこなかったのが,これまでの資本主義社会のシステムであった。水へのマイナスの影響を考えることは経済発展にマイナスの影響を与えることになる。

 ところが,最近になって,水環境の悪化は著しい。今までは,無視できるレベルであったが,今はそうはいっていられない状況だ。経済発展と共に,私たちは明らかに水の環境に目を背けてきたのである(もちろん科学技術によって環境への負荷はある程度減少したが)。自然へ目をそむけることは,自然から見放されることになる。ようやくそのことに気がついてきた。

 本日,待ちに待った「近代日本の地域づくり(農文協)」が届いた。その中に,琵琶湖畔の人々の生活が掲載されている。
 「川の水を汚さないための工夫がさまざまにこらされていました。集落を流れる水路はわざと蛇行させて窪地をつくり,汚物を沈殿させて定期的にくみ上げて肥料にしました。水路で下着やオムツなどを洗うことは強くいましめられ,オムツ洗いはタライで行ない,洗い水は便所に入れるという習慣がありました。(中略)食器などを洗う川の洗い場では鯉を飼ってご飯粒などを餌に食べさせるなど,家庭生活から出る排水・廃棄物はほとんどすべてが生産にまわされ,そのような暮らしの中で,結果として水域の汚染(富栄養化)が防がれていました。」

 このように,古くから川を汚さないように注意を払い生活を営むことで,湖の環境を守り日常生活に支障をきたすことのないように自然環境を保全し,水の環境と人間とが共生をはかっていたのである。このような知識のことを「伝統的なエコ知識」と呼ぶことにする。

 おそらく,このような伝統的なエコ知識は日本各地で古くから存在しているものと推察される。閉伊川上流で生まれ育った私の祖父は,食事後はご飯茶碗にお茶を注ぎ,汚れを取り除いてから食器を洗っていた。今はそのようなことをする人は少なくなったが,まさに伝統的なエコ知識だ。

 もちろん,現代社会においては科学的な知識や認識は必要であるが,こうした伝統的なエコ知識を全国の各地域で見い出し,伝承し,子供たちの未来へとバトンタッチしたいものである。

昭和初期の学習指導要領

2010-09-24 | 水圏環境リテラシープログラム
「水産教材の解説並びにその取扱」という本を海洋大図書館で閲覧した。この本は,水産講習所(現在の東京海洋大学)の妹尾先生の著作である。1926年出版とあった。日本の誇れるものは海である。海を制するものは世界を制するとの認識のもと,文部省は,小学校の学習指導要領に取り上げた。

 しかしながら,教える側の教師は,水産について学んでおらず,教えることは用意ではなかった。そこで,夏期水産大学や,水産講演会を開催し,各地域で教師を対象とした水産教育が行われていた。「水産教材の解説並びにその取扱(理学士 妹尾秀実,1926,大日本水産会)」はその講習会のために書かれたものである。

「里海探偵団が行く!」が農文協より出版されます

2010-09-23 | 水圏環境リテラシープログラム
水圏環境リテラシー教育推進プログラムを紹介した「里海探偵団が行く!」が農山村漁村文化協会(農文協)より出版される運びとなった。里海や水圏環境リテラシーの考えを踏まえ,全国の海の活動をまとめたもの。定価は1800円(税別)9月下旬より,店頭にて販売される。
ヤフーブックス http://books.yahoo.co.jp/book_detail/ABA22384/
セブンイレブン http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1102975466/subno/1
でも予約受付中。

総合科学技術会議パブリックコメント募集

2010-09-17 | 水圏環境リテラシープログラム
 総合科学技術会議では,来年度の予算申請に向けてパブリックコメントが募集始まった。嬉しいことに,おおかたの施策には,国民との科学技術対話の必要性が盛り込まれるようになった。

 しかし,「シンポジウム開催等を実施してアウトリーチ活動を行う」というのが多く見受けられる。具体的に積極的な対応になっていないというのが現状である。

 そこで,具体的な提案が必要である。今回海洋に関連するすべての施策に以下のようなパブリックコメントを送付した。「海洋は我々人類にとって必要欠くべからざるものであり,国民はもっと知る必要があります。東京海洋大学では海洋リテラシー部門を立ち上げております。ぜひ,何らかのお役に立てればと思います。」少しで施策の中に盛り込まれることを願いたい。

 

宮古市主催「川の体験活動」が開催されました

2010-09-13 | 水圏環境リテラシープログラム
宮古市主催の川の体験活動が、ゆったり館前の川原周辺で地元小学生20名を対象に、閉伊川大学校が中心となり開催された。あいにくの降雨となっていたが、何とか持ちこたえメニューを変更して実施することができた。

内容は、リバーレスキュー協議会のメンバーより川の安全教室、水圏環境教育学研究室より、海と川と森のつながり、宮古の昆布の科学しよう!を実施した。9時から14時半間で実施し充実した内容であったが、参加した子供たちは集中して取り組んだ。

幸いにも、雨はやみ、お昼休みのアユとヤマメのバーベキューは川原でいただくことができた。ほとんどの子供たちが20cmを超えるアユを始めていただき、「おいしい」といいながらほうばっていた。

子供たちの自然への興味関心は高く、大人顔負けの知識を持っている生徒もいた。特に、魚類に対する強い興味関心を抱いていることがよく理解できた。

これからも地域住民と一体となって子供たちが河川に親しむ環境づくりに取り組んでいきたいと一同決意を新たにした。



太平洋ガーベッジパッチ(ゴミのたまり場)

2010-08-28 | 水圏環境リテラシープログラム
NMEAのシルビアさんから太平洋ガーベッジパッチのyoutubeを紹介された。
ガーベッジパッチとは,ゴミのたまり場である。何十年もの間,太平洋から流れてきたゴミが最終的に集まる場所と言われている。近年,大量のゴミが集積していることがわかった。

研究者によると,採集されたプランクトン量の実に6倍ものプラスティックが採集されるという。しかも,そのプラスティックは時間が経つにつれて小さくなり,小魚などが食べているという。鳥も,大きいプラスティックを食べて死んでいるという。

日本では漂着ゴミが問題になるが,このガーベッジパッチはあまり問題になっていないが,気をつけなくてはいけない。

http://www.youtube.com/watch?v=uLrVCI4N67M&NR=1

登録有形文化財 雲鷹丸

2010-05-18 | 水圏環境リテラシープログラム
大学の構内には,文化庁より,有形文化財として登録されている帆船が展示されている。
この船は1909年,水産講習所2代目の練習船だ。主に北洋のカニ工船事業の研究や捕鯨の研究に活用された。
ちょうど,ワカサギの放流が最初に行われた年である。
雲鷹丸の記念歌は作詞が北原白秋,作曲が山田耕作という著名な音楽家により作詞作曲されている。
(http://web.me.com/hypomesus/site2/HOME.html で配信しています)
雲鷹丸記念歌 北原白秋・作詞 山田耕作・作曲
その北洋の夏の航海(たび)
雪はかヽれりリスタノボイ
将や輝く海の幸
ききし勲功(いさお)は幾何(いくばく)ぞ
極光(オーロラ)のもとに何時か又
嗚呼燃えたヽん郷愁(ノスタルジア)
雲鷹丸 雲鷹丸

夕日輝く珊瑚礁
椰子の葉末の春の月
友よ民と団集(まど)いして
打ちし鼓は何処方ぞ
思いは遠し今更に
あヽ憧憬(あこがれ)の赤道下

雲と翼の名も白く
これや我らの母の船
夢は果てなきマドロスを
産みし歴史は幾年ぞ
戦い疲れ老い朽ちて
あヽ時過ぎぬ今むなし
雲鷹丸 雲鷹丸