Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

サケ漁の禁止

2008-08-09 | Weblog
岩手県沿岸にすんでいて,ありがたいと思う事の一つが水源に恵まれていることである。豊かな真水は,飲用水としてもまた河口域に流下して豊かな海の幸をもたらしてくれる。そして,海と川を利用して生活する生き物たちにとって,河川の水はなくてはならない。サケ,ワカサギ,モクズガニ,様々な生き物の豊かさを真水がもたらしてくれている。もし,真水がなかったとしたら多くの水生生物たちは生きる事ができなくなるだろう。
カルフォルニアと岩手との相違点を上げるとすると,それは,水の豊富さである。
ここカルフォルニアでは州全体で水不足が深刻化していている。カルフォルニアワカサギだけではなく,実はモンテレー湾にかつて大量にいたサケも今はほとんど姿を見せなくなった。河川水があまりにも少ないこと,ダムができてサケが上れない事,水温が高くなっている事など様々な理由があるが,直接的には水不足が沿岸域の水生生物に大きな影響を与えている。カルフォルニア州では現在全面的にサケ漁が禁止されている。現在,こちらのレストランで食べているサーモンはアラスカのワイルドサーモンやチリの養殖のサケである。

モンテレー湾

2008-08-06 | Weblog
モンテレー湾水族館周辺はおしゃれなお店や住宅が海沿いに建ち並ぶリゾート地。一方で,モンテレー湾は冷たい海水が湧昇流によって沿岸に運ばれ,海洋生物資源が豊富な場所でもあります。1800年代の後半から日本人が入り,サーモンやアバロニ(アワビ)を漁獲するようになったようです。アワビは干しアワビにして日本に送られました。海女や潜水夫も入っています。また,イワシ,イカなどを大量に水揚げされました。チカの仲間スメルトも産卵期には海岸に集まりました。港や缶詰工場が造られました。歴史的には,100年そこそこですが,その背後の自然環境は岩手の海との共通点もあり,とても興味深いものがあります。現在では,モンテレー湾の周辺には5つの海洋研究機関がリンクし,スクリプス,ウッズホールらと肩を並べ,アメリカの3大海洋研究機関の一つとなっているようです。

海流

2008-08-04 | Weblog
1今日の活動の前に,昨日までの復習をします。今回の講義をどのように応用しますか?
その中で,どのような質問を作ればいいのか?という質問に関して30分の議論をしました。

2冷たい水を青にして,温かい水を赤にします。さて,これらの水はどのように混じり合うのでしょうか?
予想(prediction)を立てて,議論します。
次に,ストローで風を送ります。冷たい水はどのように動くでしょうか?
このような探求活動を子どもたちが体験する事で新しい知識を身につける事ができるのです。

3ほ乳類が海で住めるようになるには?
陸上動物の写真を持って,教室の中を歩きます。「ミンゴ」の合図で立ち止まり,一番近い方と会話をします。ほ乳類が海で住めるようになるにはどうしたらいいかな?
ダーウィンの進化論を学びます。
その後,イルカの構造を学びます。一人一人が,イルカの体の一部になります。頭蓋骨1名,歯2名,メロン体1名,鼻1名,肺1名,胸びれ2名,背びれ1名,尾びれ2名,尾びれを動かす筋肉2名。餌を食べる時はどうするかな?息を吸う時は?右に回る時は?等々。

4質問シートに答え,ビデオを見ます。イカはどんな生態をしているのでしょうか?そしていよいよイカの解剖です。


海洋科学教育(MARE)指導者養成プログラムに参加しています

2008-08-02 | Weblog
7月31日より,カルフォルニア大学で行われている「MARE指導者養成講座」に参加しております。MAREは,海の体験活動と教材による教育です。バークレー校のローレンス科学館副館長クレーグストラング(Craig Strang)氏が20年をかけて作成しこれまで3000校以上で実践されております。80の海洋に関するプログラムが用意され,K-8(幼稚園から中学2年生まで)に対応しており,全校生徒で取り組むことができるプログラムです。探求学習を重視しています。探求学習とは学習者の理解に応じて教える方法です。海洋をテーマにする事で,サイエンスを包括的に学習でき,また語学習得にも(小学生の英語学習にも最適だと思います),算数教育にも有効であるとのことです。是非,日本でも取り入れてきたいものです。

カルフォルニアと三陸の共通点

2008-06-07 | Weblog
前回は,サンフランシスコにもワカサギがいることを書いたが,今度は浄土が浜によく似た場所を紹介する。それは,ベブルビーチ。ペブルとは小石のことである。水族館で有名なモンテレーのそばにある。ゴルフでも有名な場所である。浄土が浜も小石が多い。ここには,カルフォルニアで250年前から大事にされているランドマークの一つローンサイプレスがある。一見すると松に見えるがヒノキの仲間。浄土が浜はローンパインツリー。両者とも白い岩の上にあり,何とも絶景である。この話を地元の方に話すと大変興味を持っていただいた。「ぜひ,行きたい,どうすれば行けるか?」「インターネットで紹介しているか?」
カルフォルニアの人たちは興味津々である。

危機に瀕するサンフランシスコのワカサギ

2008-06-02 | Weblog
ここサンフランシスコにはアメリカ大陸で唯一ワカサギ(hypomesus transpacificus)が生息している。英名はデルタスメルト(delta smelt)といい,日本のワカサギと同様に産卵行動は淡水域で行い,普段は汽水域を好んで生活する。ちょうど今産卵の真っ最中である。閉伊川と同様に,現在産卵場のモニタリング調査が行われている。カルフォルニア州魚類野生生物局が毎年実施している。
しかし,年々数が減少し絶滅の危機に瀕している。その最大の理由は,シェラネバダ山脈からサンフランシスコ湾に流れ出る淡水の量が減少しているからではないかといわれている。シェラネバダ山脈系の淡水は乾燥地帯のカルフォルニア州沿岸の貴重な財産であり,農業に使われる他,ロサンゼルス方面にも飲料水として供給されている。サンフランシスコワカサギの減少は人間生活に大きな原因があるという。http://www.delta.dfg.ca.gov/baydelta/monitoring/delta.asp 汽水域を好み人間と密接な関わりをしているという点では,日本のワカサギによく似ている。
それにしても,日本固有種のワカサギとよく似た魚がどうしてサンフランシスコに生息しているのかが不思議である。

カルフォルニア先住民族アート・ポエム展

2008-06-01 | Weblog
カルフォルニア先住民族アート・ポエム展が,サンフランシスコシビックセンターにて開催中である。
カルフォルニアに在住する先住民族の方々による絵画と詩歌の展覧会である。カルフォルニアの沿岸はBC12000年前から先住民族がすんでいたことがわかっており,西部開拓以前はおよそ100万人が500カ所の共同体を形成して生活していたという。
ある画家が描いた口の周りに入れ墨をした女性。説明を見ると太平洋諸国にも同様の風習を持つ島がいくつかある(ハワイ,ニュージーランドマオリ族)ようだ。ちなみに、アイヌ民族も入墨は女性だけ,口の周りに入墨をするという。これは偶然の一致なのだろうか?はやり環太平洋太平洋諸国は海で結ばれていたろう。The sea connects all things!

ワカサギのルアー釣り

2008-05-25 | Weblog
 本日夕方の調査において,水温15度。魚道付近のみ大量のワカサギ卵。ワカサギの遡上も活発であり,ひと網で100匹以上とれる。しかし,左岸側はほとんどとれない。
 ところで本日はルアー(ミノー)にワカサギがかかったのである。かかったといっても,偶然であろうと思うかもしれないが,30分で7本である。これが多いか少ないかは別問題として,すべてオスである。この時期のワカサギはメスをオスが追尾する行動が確認される。産卵前の追尾行動である。1996年に潜水観察によってこの場所において観察された。オスがメスの生殖口付近をめがけて突進するのである。場所はワカサギの産卵場ではなく,産卵場の途中にある瀬で流れが急な場所で,魚影も濃い場所ではない。メスのようにキラキラ光り輝くルアーをメスと間違えて(この時期のオスは黒ずんでいる)次々と突進してきたのではないだろうか。今度は,暗色のルアーを作成して実験する必要があるだろう。



ワカサギの産卵場

2008-05-25 | Weblog
漁師によると,今年の遡上は今のところ少ないという。ワカサギの産卵場に変化が見られた。今年,5月18日に産卵場を調べたところ,第一堰堤右岸側に完成した魚道下砂礫にワカサギ卵の付着が見られた。95, 96年に確認された中央部付近では,卵を確認することができなかった。堰堤の水たたき(コンクリート板)に集中的に産みつけられた卵を初めて確認した。流れの緩やかな捨て石下の川底には付着珪藻が一面に付着していた。
3日前の気温の上昇後,ワカサギ卵のふ化が確認された。