漁業者の現状
カキ養殖をいち早く再開した漁業者にインタビューした。北海道から取り寄せた埋込式アンカーが170のうちほとんどが生き残っていることが分かり,早期再開を決めた。種ガキも調達できた。ちょうど訪れたときは種ガキのはさみ込みと沖合での設置作業をしているところであった。カキは買い取ってもらうが,むき身10kgで3500円である。むき身10kgを作るためには100kgの殻付きカキを水揚げしないといけない。しかも,水切りが悪いとして11.5kgを拠出する必要がある。「15%の上乗せをとるというのはあまりにもひどい。10個で1個分が儲けになる。ぜひ,個人販売に取り組んでほしい。コツコツやることも大切であるが,かき小屋をぜひやるべきである。わずかな努力で大きな価値をつけることができる。」とアドバイスをした。
国は公正公平を考えて,予算を決定する,したがって水産業全てを補償の対象とすると他の産業に対しても同様となり,予算規模が膨らむ。漁協も公正な資源管理を重要視して,漁民から生産物を買い受ける。したがって,公共性の高いと判断されたものが一番の価値基準であり,漁業者のニーズ,地域のニーズ,は後回しになっていると感じた。
復興,振興のためには新しい価値基準が必要であり,その基準とは住民ベースであり,地域ベースであり,そしてそれらがベースとなることで価値を生み出すためのプロジェクトデザインが必要になってくるであろう。そのためには,今の制度ではあまりにも漁業者に負担がかかりすぎている。もっと,漁業者の負担を軽減し,新しい価値を生み出すための支援をいかにするかが求められている。
ヤマト福祉財団の漁業者支援資金を活用した復興支援センター設置を提案
例えば養殖業を営む養殖業者のうち意欲的で資金があれば再開を決意できるが、意欲があっても手元に資金があるなければ再起できない。近年稀にみる異常気象やチリ津波等による被害を繰り返し受けてきた漁業者にとって資金準準備は至難の業だ。結果として,養殖組合の生産者の2-3割は廃業の決意をやむなくされている。
こうしたなか、ヤマト福祉財団が漁業者に対する支援を始めた。この制度では、地方自治体が窓口となり、一般社団法人などの特定の団体を経由して漁業者に資金を提供する仕組みになっている。そこで、7月6日以降、各関係自治体にヤマト福祉財団の制度を紹介してきたが、多くの市町村では国の事業が多くこれ以上の受け入れは困難であり、新たな事業を受け入れることはできないと対応を渋った。さらに、ある市町村の担当課長から、新しい一般社団法人などの特定の団体を経由して資金をやる気のある漁師に提供するということになると、漁業協同組合が猛反発し、場合によっては漁業権を剥奪という仕打ちをする場合がある。と現状を語っていただいた。
現場の問題点として、たとえ漁業者支援のよい方向性が出されたとしても、漁業権を付与する漁協が傍若無人に振舞っていること、そしてやる気のある漁師が意欲をそがれていること、そうした状況を打破しなければ漁業の復旧はありえても復興、振興はありえないと考えるのである。こうした現状を踏まえると、漁業や行政が納得して漁業者支援のための資金提供の仕組みを早急に作り出す必要があるであろう。
現在、岩手大学と海洋大学が水産業復興のための研究を開始した。また、岩手大学は10月から釜石にサテライトを設置し、専門職員が常駐する。
サテライトでは漁業者支援のために積極的なアプローチが必要になって来るであろう。その一つとして、国立大学法人が窓口となり基金を設立し、地域の実情を捉えつつ、大学の特性を生かしたアドバイスと資金を提供する仕組みを作ることがひとつの案として考えられる。
岩手県沿岸部は、水産業が重要な産業であり、漁協や行政が指導機関としてその役目を果たしているが、新しいことに取り組もうとしている個々の漁業者に対する支援は決して十分ではない。
このような状況の中で、漁業者の意欲を高めるために新しい支援策を大学が提示することは漁業者のみならず地域経済の発展のために重要な役目を果たすものと考える。
アメリカ合衆国では、シーグラントエクステンションが沿岸各市町村に設置され、地方行政と連携を図りつつ地域の産業振興に大きな役割を果たしている。ここでの大学の果たす役割はカタリストであり、エデュケーターでありコーディネーターである。日本で言えば、地域連携センターのような部局である。
地域連携センターのサテライト(復興支援センター)を現地に設け、各財団から資金を得てそこにスタッフが常駐し、現場の漁業者を支援する体制を整えることが必要である。
カキ養殖をいち早く再開した漁業者にインタビューした。北海道から取り寄せた埋込式アンカーが170のうちほとんどが生き残っていることが分かり,早期再開を決めた。種ガキも調達できた。ちょうど訪れたときは種ガキのはさみ込みと沖合での設置作業をしているところであった。カキは買い取ってもらうが,むき身10kgで3500円である。むき身10kgを作るためには100kgの殻付きカキを水揚げしないといけない。しかも,水切りが悪いとして11.5kgを拠出する必要がある。「15%の上乗せをとるというのはあまりにもひどい。10個で1個分が儲けになる。ぜひ,個人販売に取り組んでほしい。コツコツやることも大切であるが,かき小屋をぜひやるべきである。わずかな努力で大きな価値をつけることができる。」とアドバイスをした。
国は公正公平を考えて,予算を決定する,したがって水産業全てを補償の対象とすると他の産業に対しても同様となり,予算規模が膨らむ。漁協も公正な資源管理を重要視して,漁民から生産物を買い受ける。したがって,公共性の高いと判断されたものが一番の価値基準であり,漁業者のニーズ,地域のニーズ,は後回しになっていると感じた。
復興,振興のためには新しい価値基準が必要であり,その基準とは住民ベースであり,地域ベースであり,そしてそれらがベースとなることで価値を生み出すためのプロジェクトデザインが必要になってくるであろう。そのためには,今の制度ではあまりにも漁業者に負担がかかりすぎている。もっと,漁業者の負担を軽減し,新しい価値を生み出すための支援をいかにするかが求められている。
ヤマト福祉財団の漁業者支援資金を活用した復興支援センター設置を提案
例えば養殖業を営む養殖業者のうち意欲的で資金があれば再開を決意できるが、意欲があっても手元に資金があるなければ再起できない。近年稀にみる異常気象やチリ津波等による被害を繰り返し受けてきた漁業者にとって資金準準備は至難の業だ。結果として,養殖組合の生産者の2-3割は廃業の決意をやむなくされている。
こうしたなか、ヤマト福祉財団が漁業者に対する支援を始めた。この制度では、地方自治体が窓口となり、一般社団法人などの特定の団体を経由して漁業者に資金を提供する仕組みになっている。そこで、7月6日以降、各関係自治体にヤマト福祉財団の制度を紹介してきたが、多くの市町村では国の事業が多くこれ以上の受け入れは困難であり、新たな事業を受け入れることはできないと対応を渋った。さらに、ある市町村の担当課長から、新しい一般社団法人などの特定の団体を経由して資金をやる気のある漁師に提供するということになると、漁業協同組合が猛反発し、場合によっては漁業権を剥奪という仕打ちをする場合がある。と現状を語っていただいた。
現場の問題点として、たとえ漁業者支援のよい方向性が出されたとしても、漁業権を付与する漁協が傍若無人に振舞っていること、そしてやる気のある漁師が意欲をそがれていること、そうした状況を打破しなければ漁業の復旧はありえても復興、振興はありえないと考えるのである。こうした現状を踏まえると、漁業や行政が納得して漁業者支援のための資金提供の仕組みを早急に作り出す必要があるであろう。
現在、岩手大学と海洋大学が水産業復興のための研究を開始した。また、岩手大学は10月から釜石にサテライトを設置し、専門職員が常駐する。
サテライトでは漁業者支援のために積極的なアプローチが必要になって来るであろう。その一つとして、国立大学法人が窓口となり基金を設立し、地域の実情を捉えつつ、大学の特性を生かしたアドバイスと資金を提供する仕組みを作ることがひとつの案として考えられる。
岩手県沿岸部は、水産業が重要な産業であり、漁協や行政が指導機関としてその役目を果たしているが、新しいことに取り組もうとしている個々の漁業者に対する支援は決して十分ではない。
このような状況の中で、漁業者の意欲を高めるために新しい支援策を大学が提示することは漁業者のみならず地域経済の発展のために重要な役目を果たすものと考える。
アメリカ合衆国では、シーグラントエクステンションが沿岸各市町村に設置され、地方行政と連携を図りつつ地域の産業振興に大きな役割を果たしている。ここでの大学の果たす役割はカタリストであり、エデュケーターでありコーディネーターである。日本で言えば、地域連携センターのような部局である。
地域連携センターのサテライト(復興支援センター)を現地に設け、各財団から資金を得てそこにスタッフが常駐し、現場の漁業者を支援する体制を整えることが必要である。