Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

木質バイオマス(間伐材等)は発電には向きません!

2013-10-04 | ツイッター
「木質バイオマス(間伐材等)は発電には向きません!」とは,木質バイオマス研究を長年やっている方の言葉。先月のA町での会議での発言である。
主旨は,間伐材などのバイオマスは効率面で他のエネルギー源にはかなわない。木質バイオマスは暖房や給湯など熱源供給として使うことを進めている。
熱源供給はかろうじて採算は合うが,木質バイオマスは発電には向いていないと断言しているのである。
事実,現在全国で稼働する木質バイオマス発電の大半は当初の目的である間伐材や売れ残りの廃材ではなく,他の燃料を燃やしているということだ。
だまされないようにしなくていけない。一番だまされているのは誰なのか?県なのか?林野庁か?市町村か?いや何も知らされていない住民か?

以下の記事を見てみよう。どこの木質バイオマス発電所でも間伐材はわずかしか使われていない証拠だ。

しかし,温排水の問題については全く触れられていない。聞くところによると,H川上流の火力発電所では,スケール材と呼ばれる毒性の高い薬品が使われる予定である。しかし,市役所も公表していないようだ。また,この会社は第3セクターであり,首長も責任者である。いったい誰が住民の命を守るのか,「森川海と人間が調和した町づくり」という形ばかりの憲章は早く取り下げるべきである。お天道様に申し訳がたたない。

「バイオマス発電所の排水には,金魚や鯉は住むことができる」と某メーカーの担当者は語った。とんでもない発言だ。その程度の認識で,発電所を建設しているのである。天然のイワナやヤマメが住む場所はどのような場所かご存じなのか。最後の清流と呼ばれる閉伊川上流を「八岐大蛇」から守るのは誰なのか。


【12】「木質バイオ」発電足踏み

再生エネの「有望株」木材搬出、高コストで



伐採され、運び出される木材。切り出しコストの高さが課題となっている(東吾妻町で)
 渋川市から東吾妻町に向かう県道35号を走ると、突然、80メートルの煙突を持つ火力発電所が現れる。火力発電所は主に石油や石炭を燃料に使うため、通常は燃料を運び込みやすい沿岸部にあるが、この発電所は山の中だ。さらに、発電所内に次々と入るトラックには、化石燃料ではなく、細かく砕かれた木材が積み込まれている。

 この発電所は、オリックスの子会社「吾妻バイオパワー」が昨年9月に運営を始めた「吾妻木質バイオマス発電所」。出力は1万3600キロ・ワットで、年間では一般家庭2万4000世帯分にあたる8500万キロ・ワット時の電力を生み出す計画だ。

 「廃材や剪定(せんてい)枝を燃やし、エネルギーとして利用しています」と、同社の木寺靖社長は説明する。廃材は家屋の解体時などに出る木材で、枝は公園や道路脇の木を切ったものだ。空気中の二酸化炭素(CO2)を増やさないため、オリックスも、環境への負荷が少ないエネルギーとして導入した。

 ■植物の燃料

 再生可能エネルギーの中でも、木や枝などは木質バイオマスと呼ばれる。そのまま燃やして暖房に使えるほか、天候によって発電量が変わる太陽光や風力発電と異なり、安定した電力も得られる。

 群馬は県内に森林が42万ヘクタール広がり、県土の7割を占める森林県。林業も盛んなだけに、木質バイオマスは再生エネの「有望株」として、その潜在力に期待する声がある。

 実際県も、木質を含むバイオマス全体が利用されている比率について、2010年の71%を21年度には81%まで高める計画を掲げている。堆肥に使われる家畜排せつ物や、ワラなどの農業資源が多いが、県が新たに利用拡大を見込んでいるのが、森林に放置された「林地残材」だ。

 これは、伐採されたものの、高く売れず採算が合わないために運び出されなかった木材のことで、10年時点で4万8000トンが、ほとんどが未利用のままとなっている。県は、21年度には2万9000トンまで減らす一方で、8800トンを利用して利用率を30%に高めることを目標としている。

 ところが、県が進めている、15年度までに再生エネによる発電能力を11年度の86万キロ・ワットから105万キロ・ワットに高める計画では、木質バイオマスによる発電量は1万3600キロ・ワットと横ばいのままだ。木質バイオの多くは製紙用のチップなど燃料以外の用途を見込んでいる。

 ■なぜ伸びないのか

 最大のネックは、木材の搬出コストが高く、燃料用として使いにくいことと考えられている。ごみとして処理される廃材や選定枝と違い、木材は作業員が森の中に入って運び出してくるため、一定以上の価格で売れなければ赤字になってしまう。

 渋川市にある渋川県産材センターでは、伐採されて主に3メートルの長さにカットされた木材を受け入れている。木は太さや曲がり具合などでA~D材に分けられ、太くて柱などに使え、最も価格が高いA材はスギで1立方メートルあたり1万1000円、集成材に使うB材は同8000円。これに対し、形が悪く建築資材に不向きなC材、D材は主に製紙用のチップに使われるが、C材が1トン当たり4000円、D材が同2000円にしかならない。燃料用に使うには、これ以上の価格で買い取ることが前提となる。県林業振興課は「木を出すのに費用がかかり、安い木材だけでは採算が合わない」という。

 コストの高さは、県内の山林の多くが急峻(きゅうしゅん)な地形で、伐採した木の搬出に手間がかかることによる。東吾妻町内の山林で吾妻森林組合が行っている伐採作業現場では、職員らが、切り倒した木をカットしてフォワーダと呼ばれる車両に積み込み、トラックが入れる道路まで運び出している。伐採現場から道路までは1キロ以上あり、ぬかるんだ道や斜面には枝や葉、木の根などが転がる。

 形状の悪い木材は高く売れない上、トラックの荷台に載せても、まっすぐな幹の部分に比べてすき間が増えるために輸送効率も落ちる。同組合も機械化は進めているものの「人件費はかかるのに、手間が多い上に安い」と、燃料用に安価な木材を運び出すのは厳しいとの見方を示す。

 解決策のヒントとなる可能性があるのが、作業の合理化だ。東大大学院農学生命科学研究科の仁多見(にたみ)俊夫准教授は、大型機械などで作業効率を高めることは出来ると指摘する。オーストリアなどで用いられている伐採方法では、切り倒した木をそのまま大型機械で道路まで運び出し、その場で細かい枝や先端部を切り落としている。道路ならば搬出が容易なため、枝や葉も活用しやすい。

 仁多見准教授は、国内でも同様の取り組みは可能として「森はかつて薪炭林としてエネルギーを供給してきた。効率化を進めれば、ものすごい可能性が山にはある」と強調する。

 森林を、膨大な資源が眠るのに取り出せない「近くて遠い山」から、どうすればエネルギーの「宝の山」に変えることができるか、活用に向けた知恵が求められている。

木質バイオマス 生物資源(バイオマス)の中で、木材に由来するもの。伐採の際に出る枝葉や、製材の過程で生じる端材などがある。樹木は光合成で二酸化炭素を吸収しているため、燃やしても大気中の二酸化炭素は増えず地球温暖化対策としても有効で、持続的な利用が可能な点が特徴。燃やしやすいように細かく砕いたうえでペレット状にし、ボイラーやストーブの燃料としても使用されている。

木質バイオマス 生物資源(バイオマス)の中で、木材に由来するもの。伐採の際に出る枝葉や、製材の過程で生じる端材などがある。樹木は光合成で二酸化炭素を吸収しているため、燃やしても大気中の二酸化炭素は増えず地球温暖化対策としても有効で、持続的な利用が可能な点が特徴。燃やしやすいように細かく砕いたうえでペレット状にし、ボイラーやストーブの燃料としても使用されている。

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(2012年6月27日 読売新聞)