Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

宮古市北上山地民俗資料館で木挽きの技を学びました。

2015-11-15 | 水圏環境教育

宮古市江繋地区にお住まいの80代の方々に「木挽き」の伝統技法を披露して頂いた。木挽きとは原木から一枚の板をノコギリで切る職人である。

葛飾北斎富岳38景に登場する木挽き

もちろん,今は機械化されて出番がなくなった。しかし,電気も石油もない時代から伝えられてきた技法が未だ残っていることは奇跡であろう。

 木挽きの技術は人々の知恵の結集である。山々は急斜面が多く,てこの原理を使った専用工具で簡単に木材を移動させる事が出来る。また,窓のあるノコギリは木くずが窓にたまるようになっていて,木くずを取り出しながら木を切ることが出来る。太い丸太の木から,板を切り出すために,ノコギリの刃先には木を引っかけるような切り込みがついていて切りやすい。昭和30年代にかけて盛んに切り出された閉伊川流域の木。鉄道の枕木にされたときもあったという。
ラジオで昆虫学者が日本人の目は接写レンズ,欧米の人たちは広角レンズの目を持っている。日本人は手先の器用さもさることながら,細かいテクニックを磨き上げていく。当に,木挽きの人たちの知恵や工夫はそうした日本人の持つ手先の器用さが生み出したモノであろう。
 しかし,昭和40年代以降機械化によって,人々と山の木とのつながりは遠のいていった。山の木としての存在から,商品としての木材となっていった。機械化は人と自然との距離を拡大させる。