Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

Exploring Our Oceans: Using the Global Classroom to Develop Ocean Literacy

2020-04-15 | ゼミ

https://doi.org/10.3389/fmars.2019.00340

この論文は、MOOCというインターネット講義によって、オーシャンリテラシー(水圏環境リテラシー)を身につけて行動を起こす人材を育成を目指した取り組みを紹介した論文である。イギリスのサザンプトン大学の事例である。世界中で140か国、合計4万人が受講した。教化主義的な内容だけでなく、構成主義的なインタラクティブなメニューを盛り込みオーシャンリテラシーの向上を図った。コメント欄を見ると、自分の日常生活における海洋とのかかわりについての記述など大きく分けると5つのカテゴリーになった。各国で翻訳されて使用されているが、日本で行ったという話は聞いていない。確かに、専門の大学では、専門的な海洋教育は行われているが、一般人を対象とした教育は十分ではない。ぜひ、日本でも導入したいものである。https://www.futurelearn.com/courses

言葉の壁があるものの、グーグル翻訳で、ある程度カバーできる。このようなインターネットによる情報の共有だけでは、十分ではない。身近な環境における体験と気づきが最も必要である。そのうえでの形式知としてのオーシャンリテラシーであることを理解する必要がある。

オーシャンリテラシー教育も、環境教育と同様に、いかに内発的に行動を起こす人材を育成するかである。環境倫理学で言えば、規範意識というものだろう。そのような活動はお金には直接結びつかない。だが、人々が郷土の環境とその作用をよく理解し誇りを持って生きていくためには、人間と自然との関わり方の意識を高めることが大変重要である。

国土交通省は、経済活動を維持発展するためにインフラの整備を行う。莫大な予算を投じて簡単にトンネルにも穴をあけ、防潮堤を作り津波から人命を守り、水門を作って災害に備える。

一方で、人間が作ったものが災害の引き金になることもある。防潮堤が流木等によってふさがり水があふれ二次災害を発生させたことも記憶に新しい。

また、人間の経済活動を優先させることによって自然環境や自然景観は損なわれてしまう。交通に便利なトンネルを作れば、それだけ山の保水力は下がる。防潮堤を築けば、海が見えなくなる。小窓を作っても全体の空間認識は不可能となる。

災害が起きても、また不便な環境であっても、自然環境は人間生活の基盤である。自然環境がなくなれば,人は生きていかれない。社会や経済は成り立たない。自分が住んでいる自然環境を大事にし、そこから生活の糧を得て長い世代にわたって生きてきた。自然を大事にすることは、そこに生活する人々の義務であり権利である。持続的な生活基盤を維持するためには自然環境の存在が必要だ。

自然環境の開発も維持も本来は、本来は国が主導するものではなく、そこに住む人々が主導するものである。そのためには、自然環境に関する知識を持ち,考えて行動するリテラシーが必要なのである。自然環境と人間活動のバランスを考えて,自律的,自発的,内発的に自ら考えて行動する人材を育成することが環境教育の最大の目的だ。

すなわち,身近な自然環境での暗黙知に基づいた行動とともに、世界の科学者が取り決めた形式知であるオーシャンリテラシーを取り入れ,世界の活動家とつながり、お互いを尊重し新しいアイデアを出し合いながら持続可能な地球環境の維持につながるような水圏環境教育活動をしたいものである。



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