この記事、ちゃんとわかる人が一般人にどんだけおんねやろ・・・・? プロでもしんどいぞこれは。もう少し噛み砕いて書かないとなぁ。読む人は覚悟すべし♪
九州大学時代にお世話になった中別府先生の研究です。DNA損傷に対する修復システムの日本を代表する研究グループのひとつです。僕の九州大学時代の上司西本先生は中別府先生の研究室の先代教授関口睦夫先生の門下でありまして、まあ、要するに同じ門下の末席に僕はいさせていただいてたわけです。ただ、中別府先生のステータスの方が僕なんかよりずっと上だったし、今はもう遥か上(俺が勝手に落ちぶれただけだが)。当時、それぞれ九大医系のビッグラボ(?)の番頭さんみたいな立場だったし、フランクにつきあって下さる先生なのでほんとにお世話になったでございまするよ。大先生を上司に持つとメリットがある一方でそれなりの苦労はあるのですが、そういうところでいろいろと彼のおおらかな人柄が支えになったとです。僕は九州方向に足を向けて眠れないのですな。まあ、向けたら北枕になるんでしませんが・・・。w
九大、活性酸素による核酸の酸化に起因する神経変性のメカニズムを解明(マイナビニュース) - goo ニュース
DNAの損傷が問題になるのは複製の時だというのが普通の考え方です。僕も複製時に起きるチェックポイント制御系をテーマに仕事をしていますが、基本的に複製してないときのことは考えてません。でも私たちの体の細胞って、のべつ幕無しに細胞分裂周期が回っているのではなくて、脳の神経細胞のように複製も分裂もしてないのがたくさんあるわけです。じゃあ、そういう細胞ではDNAが損傷してていいのかという問題があります。なんとなくそんなわけないんですが、何が問題になるかがわからない。そこの研究に手を付けるなら、増殖してない正常細胞を研究しなきゃいけないので、メチャメチャ困難なわけですな。普通の研究者ならそれを想像しただけで撤退しちゃう。
僕が九大にいた時期、関口先生は普通にバンバン増殖している正常細胞である酵母菌を研究の題材に使いたがっていて、酵母遺伝学者の僕としては、ちょっと嬉しかったりしてたんですが、中別府先生は真っ向から反対でした。10年以上前からです。九州人なので、人前だろうと他の人の発表での質疑の時間だろうと、関口先生vs中別府先生の論争はどうどうと展開されるのです。感情的にならず、子弟でインテリジェンスのぶつかり合い。ガチンコです。九州では普通なんですよ。。。本州だとおおごとなんですが。
さて、本題。中別府先生は増殖していない細胞のDNA損傷の問題に取り組みました。漢だっ!
DNAが酸化されるとグアニン塩基が8-オキソグアニン(8-oxoG)になってしまいます。これはよろしくないので、酵素で切り出して正しい塩基を入れ直すんですな。その酵素がMTH1とOGG1。これら遺伝子を破壊したマウスを使って、ハンチントン病様の神経機能障害を発生させるミトコンドリア神経毒3-ニトロプロピオン酸(3-NP)を投与します。この薬はミトコンドリアで活性酸素を発生させて脳の線条体の変性を引き起こすのであります。
結果として、重篤な運動機能障害を呈し、線条体に高度な8-oxoGの蓄積を伴う神経細胞脱落が観察されました。ミトコンドリア機能障害を介してカルパイン活性化を伴う神経細胞死を引き起こされたようです。さらに神経細胞脱落部に増生したミクログリアの核DNAへの8-oxoG蓄積が認められ、酵素poly[ADP-ribose]ポリメラーゼ(PARP)の活性化が認められました。逆に、これらの現象はカルパイン阻害剤あるいはPARP阻害剤の投与により有意に軽減されました。
わかります?
いらない修飾語をなるべく割愛してこの難解さ♪ まあ、分かる人には分かるのでOKです。
細胞分裂しない神経細胞では核DNAの複製はありませんが、ミトコンドリアは神経細胞の機能維持に不可欠なエネルギーを供給するためにそのDNAを複製し、新たなミトコンドリアをシナプスなどに供給しています。だから細胞が複製し分裂してなくても、生命活動のためにミトコンドリアが細胞内で分裂して新たに供給される仕組みがあるわけです。これが酸化ストレスのために阻害され、ミトコンドリアの損害であるために細胞死がいとも簡単に誘導されて大事な神経細胞が活性酸素のためにどんどん失われてしまうのですな。うん。そういうことだ。省略しすぎだというクレームは受け付けません♪
本日のお酒:KIRIN CLASSIC LAGER + 立山 純米大吟醸 雨晴
九州大学時代にお世話になった中別府先生の研究です。DNA損傷に対する修復システムの日本を代表する研究グループのひとつです。僕の九州大学時代の上司西本先生は中別府先生の研究室の先代教授関口睦夫先生の門下でありまして、まあ、要するに同じ門下の末席に僕はいさせていただいてたわけです。ただ、中別府先生のステータスの方が僕なんかよりずっと上だったし、今はもう遥か上(俺が勝手に落ちぶれただけだが)。当時、それぞれ九大医系のビッグラボ(?)の番頭さんみたいな立場だったし、フランクにつきあって下さる先生なのでほんとにお世話になったでございまするよ。大先生を上司に持つとメリットがある一方でそれなりの苦労はあるのですが、そういうところでいろいろと彼のおおらかな人柄が支えになったとです。僕は九州方向に足を向けて眠れないのですな。まあ、向けたら北枕になるんでしませんが・・・。w
九大、活性酸素による核酸の酸化に起因する神経変性のメカニズムを解明(マイナビニュース) - goo ニュース
DNAの損傷が問題になるのは複製の時だというのが普通の考え方です。僕も複製時に起きるチェックポイント制御系をテーマに仕事をしていますが、基本的に複製してないときのことは考えてません。でも私たちの体の細胞って、のべつ幕無しに細胞分裂周期が回っているのではなくて、脳の神経細胞のように複製も分裂もしてないのがたくさんあるわけです。じゃあ、そういう細胞ではDNAが損傷してていいのかという問題があります。なんとなくそんなわけないんですが、何が問題になるかがわからない。そこの研究に手を付けるなら、増殖してない正常細胞を研究しなきゃいけないので、メチャメチャ困難なわけですな。普通の研究者ならそれを想像しただけで撤退しちゃう。
僕が九大にいた時期、関口先生は普通にバンバン増殖している正常細胞である酵母菌を研究の題材に使いたがっていて、酵母遺伝学者の僕としては、ちょっと嬉しかったりしてたんですが、中別府先生は真っ向から反対でした。10年以上前からです。九州人なので、人前だろうと他の人の発表での質疑の時間だろうと、関口先生vs中別府先生の論争はどうどうと展開されるのです。感情的にならず、子弟でインテリジェンスのぶつかり合い。ガチンコです。九州では普通なんですよ。。。本州だとおおごとなんですが。
さて、本題。中別府先生は増殖していない細胞のDNA損傷の問題に取り組みました。漢だっ!
DNAが酸化されるとグアニン塩基が8-オキソグアニン(8-oxoG)になってしまいます。これはよろしくないので、酵素で切り出して正しい塩基を入れ直すんですな。その酵素がMTH1とOGG1。これら遺伝子を破壊したマウスを使って、ハンチントン病様の神経機能障害を発生させるミトコンドリア神経毒3-ニトロプロピオン酸(3-NP)を投与します。この薬はミトコンドリアで活性酸素を発生させて脳の線条体の変性を引き起こすのであります。
結果として、重篤な運動機能障害を呈し、線条体に高度な8-oxoGの蓄積を伴う神経細胞脱落が観察されました。ミトコンドリア機能障害を介してカルパイン活性化を伴う神経細胞死を引き起こされたようです。さらに神経細胞脱落部に増生したミクログリアの核DNAへの8-oxoG蓄積が認められ、酵素poly[ADP-ribose]ポリメラーゼ(PARP)の活性化が認められました。逆に、これらの現象はカルパイン阻害剤あるいはPARP阻害剤の投与により有意に軽減されました。
わかります?
いらない修飾語をなるべく割愛してこの難解さ♪ まあ、分かる人には分かるのでOKです。
細胞分裂しない神経細胞では核DNAの複製はありませんが、ミトコンドリアは神経細胞の機能維持に不可欠なエネルギーを供給するためにそのDNAを複製し、新たなミトコンドリアをシナプスなどに供給しています。だから細胞が複製し分裂してなくても、生命活動のためにミトコンドリアが細胞内で分裂して新たに供給される仕組みがあるわけです。これが酸化ストレスのために阻害され、ミトコンドリアの損害であるために細胞死がいとも簡単に誘導されて大事な神経細胞が活性酸素のためにどんどん失われてしまうのですな。うん。そういうことだ。省略しすぎだというクレームは受け付けません♪
本日のお酒:KIRIN CLASSIC LAGER + 立山 純米大吟醸 雨晴