遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

草原の人々

2008-08-20 23:49:56 | 読書
帰省中何もしなかったかというとそうではなくて、やり遂げたことが1つあります。それは、読書♪ 
晴耕雨読といいますが、今回は『晴読雨読』・・・いやまあ、ただゴロゴロしていただけですけど。(汗)

読んだのは司馬遼太郎の『草原の記』。薄い本です。あんまし読むスピードが速くないんで、「小さなことからコツコツと」です。これは紀行文でして著者が大阪外大のモンゴル語学科で知りあった先生方との交流とモンゴルを中心とした東アジア史が縦横無尽に絡まりあって展開していきます。
仕事柄いろんなアジアの留学生と知りあう機会がありますが、モンゴルからの留学生はその楽観的な性格からして、飛び抜けてつき合いやすい人々です。草原の記にモンゴル人の性格を『寡欲』とひと言で表現しています。遊牧民であるため蓄財の習慣がありません。移動しづらくなるだけですから。蓄財は農耕民族のすることです。ユーラシアを広く支配できたのは、彼らの物欲のなさと無縁ではないでしょう。同時に宗教に対してもタンパクで信仰に干渉しなかったそうです。『街』を作ることはあったが、そこには商人達を住ませ自分たちは草原を愛したらしい。そういえば、ドルジバル君がモンゴル帝国が支配したのは『道』なのだといってました。耕す気が無いから土地には全く興味がないそうです。耕されるのはむしろ迷惑でして、それが漢民族との軋轢になります。モンゴル相撲には『土俵』というのはなくて、組み合ってどこまで行ってもいいらしい。それから時間制限もなし。数時間組み合ったまま戦い続けるのも普通にあるらしい。空間も時間も無限。それが草原の人々のスタンダード。到底、農耕民族とは折り合いませんな。
帝国が衰退して彼らが去った後、蜃気楼のように彼らの痕跡はなくなったそうです。元の首都大都は今の北京なんですが、オリンピック見てるとそんなこと微塵も感じさせませんね。彼らは歴史に対しても寡欲なんでしょう。私は彼らに楽観性を強く感じます。過去よりも今と未来を強く信じているんでしょう。そういえば、悲観的な遊牧民って想像しにくいです。(笑)

本日のお酒:SUNTORY COCKTAIL カロリ アメリカンクランベリーレモネード
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