ゾウリムシにノーベル賞！

ノーベル医学生理学賞、米国の研究者3人が受賞(トムソンロイター) - goo ニュース
ブラックバーン博士、グライダー博士、ショースタック博士がテロメア研究で医学・生理学賞を受賞されました。原生動物は染色体DNAを自ら分断してそれぞれの断片の末端にテロメアをくっつけて細胞内にあるもう一つの核に移し（こいつら核を二つ持ってんですよ）、そこで遺伝子を発現させて生命活動を行います。端っこにテロメア構造を付けることはとても大事でして、DNAの末端にテロメアがないと安定に保持されずに異物として分解処理されかねません。じゃあ、何が分断された染色体DNAの末端にテロメア構造をつけるのでしょう？　酵素があるはずです。現象をわからないまま受け入れるのは宗教。現象があるなら、それに至るプロセスを担うものが必ずあるはずというのが科学者の立場です。実体を分離される前からテロメア配列を付加する酵素はテロメラーゼと名付けられました。これら一連の研究を担ってきた人たちが今回の受賞者。私が大学院生時代によく勉強したおもしろい研究テーマのひとつです。後にテロメラーゼの活性を検出する方法はコロラド大のチェック先生のとこに留学していた石川先生（現、京都大学教授）が開発しました。実体を把握できてない酵素の活性ですよ。これはすごかった。僕が金沢に来て、当時のボスにテロメラーゼをやるようにいわれたのは、この大業績を引っさげて石川先生が東工大で活躍を始めた頃。ボスは知らなかったんだろうね・・・。テロメラーゼそのものでは勝てるわけないので、僕はテロメラーゼの分離ではなく、その制御因子を探すことにしました。その約２ヶ月後、Science誌にテロメラーゼの活性サブユニットがクローン化されて構造が明らかにされました。雑誌に出た時点から遡って、研究そのものは１年くらい前に目鼻がついていたはずです。やってなくてよかった。
女性研究者が２人も一度にノーベル賞を受賞するのは珍しいことだそうですが、テロメア研究では優れた女性研究者が多いのですよ。まあ、昔は歯牙にもかけてもらえないようなマイナーテーマだったのが一因なんですが、基礎研究ってのは流行してから飛びついたのでは絶対に一流になれない分野なのでコツコツやった者の勝ちなんですな。不勉強な方々が「この研究は素晴らしい」といいだした頃には、その研究は終わってるのです。
上の文で、受賞者の一人"Szostak"を『ショースタック』と表記しました。昔から、僕は彼の名前をこう呼んでたからです。マスコミ各社で読みがいろいろと違うようで、『ショスタク』『ゾスタク』『ソスタック』等々。皆さん、ショースタック博士と呼びましょう。"Greider"も『グレイダー』とか書いてるニュースがありますが、グライダー博士と僕は呼んでます。実は、実物を拝したことがあるのはブラックバーン博士だけです。他のお二人はお名前だけ。ブラックバーン博士は本当に人柄のやさしく頭の切れる尊敬すべき基礎科学研究者です。

医学部教授を諭旨退職処分＝補助金不正、私物も購入－名古屋大(時事通信) - goo ニュース
研究費をちょろまかして買ったのが腕時計や自転車だそうです。医学部教授ならポケットマネーで買えるだろうに・・・。まあ、個人が責任をとらされるだけ大学の先生はマシかな。役人は絶対に個人で責任をとらないよね。

満足度は北陸が１番 広告会社の住民アンケート(共同通信) - goo ニュース
確かに北陸は水も空気も美味いし、生活コストは安いかもしれません。無いものも多いんだが、それはそこにしか住んだことがない人にはわからないことなので、幸せとか満足ってものはそんなものかもしれません。もしかしたら、そこの住民がどれだけ外の良さを知らないかの度合いが満足度に反映しているのかもね。

本日のお酒：夢醸純米吟醸　極み