アニマルカム通信

ヒト(まつやま)とイヌ(ぐり子)の日常

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ゴダールの3D映画

2015-12-14 15:10:52 | 日常
昨日はジャン・リュック・ゴダール監督による2014年の作品『さらば、愛の言葉よ』を見ました。

一時期、商業映画からの決別を表明していたことでも知られる、フランス映画界の巨匠が3D映画?
非常に興味津々だった本作ですが、見るとまぁさすがはゴダール!って感じ。

まず、物語はあるようなないような感じでめちゃシュール。
あらすじ自体はとても簡潔なものですが、ナゾの映像や音響が突然入ってきたりするのでまぁ~落ち着きないったら。(^^;)
ただ、これほどまでに3Dを感じる作品って他にないよな~ってぐらいの奥行き感。
それもそう、実は本作の3D映像はことごとく掟破りをしているので、「3Dでこれやっちゃうと気分悪くなるからダメ」なことも平気でやっちゃってるんですよね。
究極は左右の目に全く違う映像を見せるってシーンがあるんですが、どちらか片方の目を閉じると別のシーンを楽しめる代わりにそれを両目で見ると・・・全く何が何だかです。

とにかく見てる間中、頭の中は「???」なわけですが、映像が美しくて目が離せない。
その後に解説書と監督のインタビュー映像を見て色々と納得。
似た風貌の男女の物語が同じように二度繰り返されるんですが、ここがまず3D的な構造となってます。
3D映像というのは、右目と左目に違った角度から見える映像を見せることで奥行きを感じさせるといったトリック手法。
これを物語そのものにも仕掛けてるってわけ。
似た発音なんだけど、意味は全く違うって「言葉遊び」もその意味じゃ3D的と言えるからかな?何度か映像の中だったり巨大な文字だったりで表現されてました。
それと、これだけ3Dの実験映像を山盛り作って、監督さんも3D映画好きなの?って思ったらむしろその逆なのだそうです。
その辺はまぁ、商業映画嫌いだったりご自身も認めるへそ曲がりな性格だったり・・・う~ん、私もへそ曲がりなところ多々あるから分かる気はします。(とはいえ、商業映画は大好きですが。^^)

とにかく、本作は映画と言っても商業主義的な作品ではなくてアート作品ですから、「楽しめるかどうか?」って気持ちで見る作品では決してありません。
普通ならぶつ切りの映像とぶつ切りの音楽にイライラし、そしてなにより難解なストーリーに途中退場必至でしょうが、84歳の巨匠が(今年で85歳)何を思い何を表現しようとして本作を作ったのか?そこに興味が持てる人なら「また見たい」って感じられる、非常に奥深くてチャレンジ精神にあふれた傑作だと思います。

ただ一点、一部3D映像に奥行きがありすぎるがゆえに、字幕が非常に読み辛いと感じるシーンがいくつもあって・・・
二度目に見る時にはもっと映像に集中したいから、字幕は消そ~っと。