巷に陰謀論の風が吹きまくっています。
五輪開催の前日、今月の22日にも大きなノーマスクデモが開催され、800人の人間が銀座の表通りをノーマスクで行進しました。
よりによって、コロナ禍の第5波が直撃中のここトーキョーシティのド真ん中でです。
そして、今日24日のいまでも、彼等はこの「 ノーマスクデモ 」を再び大人数でやっている。
京都でも ――― あと名古屋でも( 名古屋デモは夕に変更された模様 )――― さらには札幌でも( これも変更されて旭川開催になったようですが )。
もう、ここまできたらこれは呻くしかない……。
こんな非常時になっても、金のために強引に五輪を開催しようという国自体がそもそもおかしいというのが大前提ではあるのですが、このような奇をてらう方法でもって自らをアピールする彼等のほうも、そうした国倫理の破綻状態に負けないくらいおかしくなっているんじゃないか、といわざるを得ません。
けれども、視点を海外にまでパンしてみれば、このような集団ヒステリーが起きているのは、なにも我が国ニッポンだけの話じゃないんですね。
オーストラリアでも現在こうした「 ノーマスクデモ 」が行われて、それが非常に問題になっている。
世界中がいまやこの種の「 急性アノミー 」に蝕まれて、どうにも収集のつかない騒乱状態になっているのです。
何なんでしょうね、この人たちの「 自己満正義ごっこ 」と対面したときにこちらが感じる、この決まりわるいいびつな感情は?
これらのデモの参加者の大部分は「 陰謀論者 」です。
もしくは、彼等の信奉する「 コロナはない 」言説に賛同するひとたちです。
彼等のアジテーター役を演じている人間よりも、その裾野を構成している一般に近いひとたちのほうが、僕は怖い。
明確な思想と主張から緻密に組立てられたデモより、自然発生的なあのロサンゼルス暴動のほうが怖いのとおなじ理屈です。
彼等は都市の無意識なんだ、と僕は思います。
都市がいままで抑えに抑えていた無意識がこうしたデモのかたちで噴出して、都市の掟を揺るがしにやってきているんだなって。
僕が生を受けるまえの時代のことですが、かつての江戸の「 ええじゃないか騒動 」や「 尊王攘夷運動 」なんかも、きっとこんな感じのノリだったのだろうなと、思うともなく思っている自分を見つけて少しばかり驚いたりもします ――― 。
さて、そういうわけで今回のテーマは、リチャードコシミズではありません。
今回の僕記事のテーマは、彼が元祖となって日本中に振り撒いた「 陰謀論 」そのものなのです。
陰謀論者リチャードコシミズが彼の後援組織「 独立党 」を結成したのは、2006年のことでした。
あれから15年 ――― 陰謀論の本家家元であった彼は僕等・査問委員会の活動もあって、旧日の勢いをすっかり失い没落してしまいましたが、彼の陰謀論ウイルスを継承したいわゆる「 リチャードコシミズの子供たち 」は、こんなにまで増えた。
そう、この記事は、彼を契機に陰謀論と出逢い、それを自分なりの思索(?)と仲間たちの情報交換などで大事に育てあげ、師匠・リチャードコシミズの言説とはまったく違うけれども実は本質クリソツな、「 ノーマスクデモ 」やら「 反ワクチン 」「PCR差止集団訴訟 」など、 そのような奇ッ怪な花を咲かせた子供たちについての物語なのです……。
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リチャードコシミズ独立党の門下からいちばん先に巣立っていったのは、誰を差し置いてもまずこのひとでしょう ―――
リチャードコシミズ独立党を抜けて、最初にメジャー(?)になったのは、なんといってもこの平塚正幸氏。
僕等は「 さゆふらっとまうんど 」と呼んでました。
都知事戦に出馬して一挙に名をあげて、「 コロナはただの風邪 」「 ノーマスクピクニック 」「 ノーマスクライブ 」などの一連のイベントを行い、都心の街々からも遠くの町々からもそれなりの顰蹙を買いました。
先日の住居侵入での逮捕で彼のダークイメージは決定的になり、「 斜めに構えたヒール 」像はもはや彼のポートレイトになったといってもいい。
面識もあるし話したことも幾度かありますが、僕は彼のことを買っていません。
とはいえ、国民主権党というかたちのあるものを、彼は一応残しています。
彼の言葉に心を動かされたことも、ああ賢いなコイツと感じたことも全くありませんが、とりあえずは利口な立ち回りのできる奴である、ということはいえるでしょう ―――。
皆さんは覚えてられるでしょうか?――― 2番目のひとは彼女、Qanon の エリです。
彼女もリチャーコシミズ独立党の出身者でした。
在籍当時のHNは「 よかとよ 」―――。
自称・霊感もちで、人肉食の話題も好きで、僕からすると「 なんだコイツは 」といった感じだったのですが、彼女がリチャードコシミズと彼の陰謀論に心酔し、彼のためにHPを作ってやったこともあるほどの献身ぶりは誰もが認めるものでした。
RK独立党理論に Q を取り入れようと提言したのですが、それが受け入れられなくて、彼女は独立党を去ります。
そして、彼女は自身の okabaeri@9111 というHNで、Q の翻訳者としての活動をはじめます。
するとこれが当たった。
当時のアメリカ大統領ドナルド・トランプを英雄として発信されたネット上での Q anon のデマは、見るまに全米を覆い、世界中に拡散している最中でした。彼女はちょうどタイミングよく、その波に先んじて乗ることができたのです。
「 ディープステイト( 闇の政府 )こそ世界の本当の皇帝だ」
「フィクションと現実が混同して悲劇の場となったピザゲート事件 」
「 児童売春と小児性愛と人肉食をやっている悪の組織との対決 」
「 トランプは負けてない。バイデンは不正選挙で大統領になった 」
Q の言説はどれもこれもフィクション臭のする、一聴してデマだと分かる「 ペーパーバック陰謀論 」ばかりでしたが、擬似現実に焦がれる層からしてみたら、まさにこういったチープすぎる、半クラッシュした安手の噂話こそ好餌だったのでしょう。日本においてもこうした軽薄なクラッシュカルチャーに自ら染まりたがる人間は相当数いて、Q の窓口であったエリは瞬く間に彼等間でのスターになりました。
彼女が先のさゆふら氏( 注:平塚氏のこと ) と異なるのは、彼女の名声(?)が彼のものとちがい国際的なものであったという点です。
実際にエリは米ネットで記事になりましたから。
以下に、ソーシャル・フォレンジック社の創業者であるジェフ・ゴルバーグ氏が、エリのアカウントについて語った記事を、参考までに貼りつけておきます。翻訳は僕。重要な部分はあかねさんに手伝ってもらいました。
<グローバルな集団妄想:ダミーアカウントが広範なサポート幻想を作り出す動向を Twitter 社はいかに許可すべきか?>
https://blog.goo.ne.jp/iidatyann2016/e/d6b50bd62f8a6e8f528e545e5cf69d46/?img=42165eea8af5df39b49567655f246b45
しかし、このような虚名が長続きする道理がありません。米連邦議会襲撃により失墜したドナルド・トランプの後を追うように、エリもアカウントをすべて停止され、いまでは彼女の動向を知るものは誰もいなくなってしまいました……。
そして僕がリチャードチルドレン3番目の血脈として紹介するのが、前2記事でも話したこの寺尾介伸氏です。
上のふたりと同様、彼もRK独立党の出身です。
2016年、持ち前の行動力ゆえにリチャードコシミズに疎まれ、例の「 工作員認定(笑) 」とやらでRK独立党から弾かれて、その後は、彼本来の理想である市民運動に戻ったものだとばかり僕は思っていました。
僕自身は彼のそういう新しい道程を応援したい気持ちでもいたんですよ、本当のところ。
ユニークな議員通信簿やら辺野古問題に取っくんでいる噂を聴いて、頑張ってほしいなあ、などと呑気に思っていた。
でも、応援どころの話じゃなかったのですよ。
「 コロウソ 」
「 ノーマスク 」
「 自治体への電凸攻撃 」
「 PCR差止の集団訴訟 」
なんだ、彼もまた、結局リチャードの作った陰謀論レールの上を辿って走るだけの男だったのか……。
肩の力が抜けました。彼は、全然新しいことなど始めていなかった。
リチャードコシミズからは離れたものの、彼の脳は2016年離脱当時からの「 陰謀脳 」のままだったのですよ。
個人的に僕は彼のことを「 リチャード3世 」と呼んでます。
だって、やっていることがまるきり同じですもの、「 コロナはウソ 」「 ワクチン差止集団訴訟 」なんでしょう?
彼こそリチャード理論の王位継承者ですよ。本来なら2世なんでしょうが、2世だといくらか語呂がわるいんで(笑)
あと、リチャード3世とやるとシェークスピアの代表作とちょうど被るじゃないですか。
それゆえの命名だと、まあ了解されてください ―――。
記事冒頭から2番目のフォトは、2021年7月22日の「 東京ノーマスクデモ 」のときのもので、このなかに写っている MEIKO さんという女性は、このノーマスクデモと寺尾氏のPCR差止集団訴訟の原告になるだけのために、はるばるドイツから来日された方です。当然、寺尾氏とも会っています……。
さらにいうなら、彼の主催する「 PCR差止集団訴訟 」というのも、寺尾氏の独創ではありません。
彼が主導している「 集団訴訟 」は、かつてのリチャードコシズミの「 不正選挙裁判 」のリメイクです。
リチャードコシミズは行政訴訟することで法廷を自分の芝居の舞台として設定し、多くの原告者と傍聴人とともに一世一代の陰謀論芝居を演じ切りました。
それと同じ演目を上演しようって腹なのかしら? だとするとそんなのは彼の独創でも新思想でもなんでもない。
過去にリチャがやった法廷の当たり芝居で自分も衆目を集め、ネット視聴を取ろうといった個人の欲目しか見えてこない。
ひょっとしたら彼は新しく生まれ変わっているのかも……? ――― などとナイーヴに考えていた僕のほうが大甘でした。
そう、平塚正幸氏、Qanon のエリ、そして、バレバレこと寺尾介伸氏 ――― この3名は3名とも、あの当時の「 リチャードコシミズ独立党 」から全然解脱できていなかったのです。
物理的には本家から離れて、時も流れ、本家とのいざこざや争いなども徐々に忘れがちになってきて、それぞれ自分なりの道筋を見つけて独自に動いているようにも見えたのだけど、実は、精神的には全員が全員RK独立党員のころのまんま、行動様式も思考方法もかつての「 リチャードコシミズ方式 」の鋳型通りに動いて生きていたのです。
これは僕にとっても苦すぎる認識でした。
陰謀論の呪縛とは、かようなまでに根深く、1度それを信じたひとの心を縛り凍結させるものだったのです……。
そうして、このリチャードコシミズの子供たちが、少しでも新方向の展開を ――― と考えてはじめたものが、皆さんもすでにご承知の、あの愚かしい「 ノーマスクデモ 」というイベントであったのです!!
これに関しては僕の言葉なんてどうでもいいや ――― 街のひとたちの実際の肉声を聴きましょう ――― 。
陰謀論は21世紀の病です 。
リチャードコシミズ、平塚正幸、岡林英里、Q、寺尾介伸 ――― 彼等は僕等から遠い特別なひとたちではありません。
むしろ僕等の隣人といっていいようなひとたちなのです。
そうした隣人のようなひとがああした陰謀論を信じ、あのようなノーマスクデモを敢行した。
彼等は自分の行為が間違っているとは思っていない。正しいと思っている。
コロナなどという病は政府とマスコミが作り出したウソであり、存在しない病だと真剣に思っているのです。
今世紀最大の陰謀論は、あの米連邦議会襲撃を招いたあの Q です。
Q は去年から今年にかけて、北米大陸をかつてないほどの勢いで席巻しました。
その半年後のいま、僕等の国でそれとおなじような現象が周回遅れで起こっている。
僕等の「 いま 」を読み解く Key は「 陰謀論 」です ―――「 陰謀論 」とはなにか?
しかし、残念ながらここでスペースが尽きました。
いくらなんでも長すぎるんで、陰謀論解析については次号に回したいと思います。
今日の僕の記事は以上です ――― お休みなさい。