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旧精神科医療は思想警察なのか?

2017精神障害者の自立と精神科病院の社会的使命についての考察

2017年01月19日 | 精神科看護
2017年では初のテーマになります。臨床を離れていますと、外から昔いた業界の情報が入って来ますが、なんだか懐かしいなぁ、でも大変な問題ではあるなぁと思います。
しかし、物事はシンプルに捉える必要があります。
精神科看護をすると、確実に、そのニーズについめ壁にぶち当たります。
まず持って、精神病自体が病気ではないという事実にぶち当たります。
このレベルまで学びが深められる人は本当に少ない、調査した訳ではありませんが、臨床において、精神科不要論について学んでいる人、その先駆けの内海聡氏やCCHRの存在を知っている人は全体の、5%もいません。
ひょっとすると医師レベルなら知ってるかな?とは思いますが、これは調査してみないとわかりませんよね。
本当に精神科看護を真面目に追求していれば、内海聡氏の著書にぶち当たるのは至極当然の流れなのです。
特に、精神保健福祉士として働くと、最初にぶち当たる壁は、
『患者を自立させるために、退院促進で頑張ると事務からど叱られる』という事実があることです。
完全な矛盾なのです。
『精神科病院には社会的入院が7万人いる』と厚労省が発表したのはつい数年前です。
全国の精神科病院の入院患者数は約33万人と私が現役で看護師をしていた当時に比べ三万人も増えています。
表向き退院促進に力を入れていると装い、実際は外来から入院へという患者囲い込みの流れが確実に増えてます。
病院経営として、早期発見早期介入、早期退院では経営できないと分かっているのです。
長期入院患者への診療報酬減算システムも付け焼き刃で、本丸の精神科病院の経営者は更にその上を行き、減算されても生き残れるようにうまく立ち回り対策しているのでしょうね。
厚労省は、患者の人権やら、社会的入院やら大義名分を挙げて、目先の医療費削減のために政策を打ち出していますが、実情精神病の患者が退院しても、生活力が著しく低いため、なんらかの社会との摩擦が生じ、問題を起こす前に住み慣れた病院に戻って来てしまうのです。
彼等には精神病院という、見えない鎖に繋がれている方が、弱肉強食で、魑魅魍魎が跋扈している、一般社会の方が汚れ、薄汚い世界だと本能的に知っているのです。
精神病院というのは、ほぼほぼ公費つまり税金で運用されており、我々の生活する一般社会とは隔離断絶され、のんびりとそれなりに質素ではあるが、仲睦まじく生活していると、一度でも精神科の臨床経験のある看護師は感じたことはあるだろう。
本物の精神科看護とは、その流れを崩さないことであり、患者達が穏やかに過ごせるように環境を整え、そのためには、自分もまず世の中の価値観を捨て、競争せず他人を非難せず、勝ち負けにこだわらず、穏やかな気持ちで過ごす、他人に接することこそが求められるのではないでしょうか?

『あれがやってない、これがやってない』とホールには一切出ず、詰め所でカリカリカリカリ仕事している人は、精神科看護には向いていません。
何故らなら、患者も、人としてそのような人の言う事を聴きたい、聞いてやろうとは考えないからなのです。
精神科看護で本当にやらなくてはならないことは、処方を切らさないことや、検査出しをすることではなく、公的補助、つまり確実に入院費、入院生活費が捻出されるよう書類が更新申請されているか?をソーシャルワーカーに確認することなのです。
何故なら、患者の生活に直結するからです。
過去記事でも、書いたかどうか不明ですが、私は『精神障害者は公務員である』と述べて来ました。
彼等の生活は公費で、賄われています。
そして、彼等をお世話する人は公費から給料が捻出されています。
精神障害者が公務員で、精神病院スタッフが準公務員というところでしょうか?

少し話を戻します。
精神障害者の自立とは何か?
それは、自分でバイトして復職しアパートを借り、生活することです。
つまり、民間人になることです。

現在、役所で働いている人、一般の公務員の人が、民間企業に天下り以外のルートで転職したらどう感じるでしょうか?
『やっぱりなんだかんだ言って、結果出さなくていい、公務員は幸せだったなぁ』と思うはずです。
公務員はその仕事内容は法律で全て決まっており、自分の自由意思で仕事できません。ですから、一見窮屈に感じる人は感じます。
実際私もそうでした。
しかし、民間企業で働くと、その逆で利益を出すためには、なんでもしなくてはいけません。しかも利益、結果が出るまでやり続ける必要があります。仮に利益が出るまでやり、システム化に成功したとしても、そのシステムは持って二、三年。
何故らなら、他の競合他社がそのシステムを真似してくるから同じシステムは通用しなくなるのです。
つまり、日々改良改善していかないと明日がない世界なのです。
それが民間企業の宿命です。
常に変化を求められるのが民間企業。
常に変わらない事を求められるのが公務員と考えられます。
ここで、精神病院に入院している患者を見てみると、彼等はどちらに属するでしょうか?

病院生活のルールを守るだけの生活をしていれば、三食昼寝付きの人生が保証されている


つまり、確実に公務員体質なのです。
そんな人達を、一度退院させ、社会復帰させると言っても…。
お役所仕事しかできない公務員を天下り以外のルートで民間企業に再就職させるようなものです。
相当、大変ですよ。
考え方が180度違うのですから。

目の前の仕事だけこなしていたら、夏冬ボーナスが貰える公務員とは違います。
社として業績がでなければ、ボーナスは当然カット。
休日出勤は当たり前。
定時に帰れるなんて夢のまた夢の日々です。
現在、精神障害者に対しての社会復帰とは、公的サービスを利用しながら、病気、障害と上手く付き合いながらも入院に頼らず社会の一員として生活していくこと
と言われてます。

民間企業で働くサラリーマンが
税金から生活費をもらい、足りない分を会社で働いて生活できればいいよ!

と言われてるようなものです。

おかしいでしょ?
私は矛盾を感じます。
復帰してません。
野球選手が、肘の手術を終え、二軍で軽いキャッチボールを開始したら復帰なのでしょうか?
それが復帰だと言うなら、そのプロ野球選手は来シーズンは確実に契約更新されず解雇されます。

つまり、医療、福祉の視点の社会復帰とは全くの嘘であり、彼等の言う自立とは完全な公務員としての紐付きなのです。
仮に何かご利益があると感じ、患者を退院させても不幸が待つだけだと言えます。

病院経営者、患者双方お互いに。

そう考えると精神科看護の極意は、
その人が心穏やかにくらせる環境維持と提供だとは思えませんか?

無理やり退院させて、過去に精神崩壊させられた一般社会に放り投げること、その社会に適応させていく事こそが正解なのでしょうかね?

本日はこの辺りで。


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