ヨーロッパ旅行に行っても、グルメ嗜好で星付きレストランへ行こう、などということはない。まず、その町に和食レストランがあれば、そこへ行く。
なければ、庶民的なレストランのテラス席で、できるだけ簡素に済ませる。イタリアなら前菜 (or メインディッシュ) にパスタ。あと野菜サラダは必ず。時にデザートとコーヒー。
アメリカ人やオーストラリア人も含めて西洋人の、年齢とともに横へ横へと広がった肥満体を見ると、彼らの食生活の不健全さを思わざるを得ない。
とは言え、2千年、3千年の歴史をもつ主食の小麦。この小麦の食べ方を工夫し、文化にまで高めたフランスパンや、イタリアのパスタは、さすがに美味しく、2500年の伝統のある日本のご飯に勝るとも劣らない。これに野菜l料理がプラスされれば、それで十分なのでは、と思う。ただし、欠かすことができないのはワインの一杯だ。
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寿司は、いまや、世界の料理になった。かつては日本人旅行者や現地駐在員を目当てにしていたフランスやドイツの和食レストランも、いまや西欧人の客ばかりで、ご夫婦で箸を上手に使って寿司を食べ、熱燗を傾けているといった景色が当たり前になった。
日本酒も、欧米で、広まってきている。
にもかかわらず、日本の居酒屋で、いつのころからか、洋風居酒屋なるものが多くなった。メニューに、韓国料理やベトナム料理やイタリア料理が含まれているのは結構だ。問題なのは、砂糖菓子のように甘い味付けだったり、奇妙に甘酸っぱい味の国籍不明の料理を出すことだ。そういえば、有名回転寿司の寿司も、甘い。ネタの悪さを、砂糖や酢を多めに入れた濃い味付けでごまかしているのだ。
戦後、日本が貧しかった時代、西洋はあこがれであった。その「西洋風」の名のもとに、安価に大量生産され、テレビで宣伝され、家庭に入ってきたソースやケチャップ。その異様な味で育つと、こういう味が好みとなるのかも。
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秋の夜長、愚痴はよそう。
さんま、さんま
そが上に青き蜜柑の酸をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。
佐藤 春夫
白玉の/歯にしみとほる/秋の夜の
酒はしづかに/飲むべかりけり
若山 牧水