
第20回東京国際映画祭
映画が見た東京
~変わりゆく町、変わりゆく人~
「十九歳の地図」 1979年 プロダクション群狼 監督:柳町光男
舞台は東京北区。上京して新聞配達をしながら予備校に通う少年。地図に×を付けた気にくわない家にいたずら電話をかけてゆく。大人を憎む少年と負け犬中年男の下流人生。中上健二の同名短編小説の映画化。
変りゆく東京を味わうのなら私にとって断然この映画でありました。
新聞配達に回る地域が滝野川、中十条なので北区と言っても自分の育った地元は登場しないと思っていましたが、少年(本間優二)と今野(蟹江敬三)が竹田かほり等をナンパしようとする坂道。この右手に自衛隊跡地が見えるがここは現在では自然観察公園になっている。子供のころからさんざん遊んだ地。
今野が小便女・カサブタのマリア(沖山秀子)に洋服をプレゼントする店は「アリスの森」だし・・・
1979年当時、主人公と同年だったわけだ。対照的に暢気でぽーっとした19歳でしたが・・・
貧しい家が沢山出てくるが確かに北区にはこのようなスラム街がいっぱいあった。
79年とはいえまだまだ貧乏はあった。「どですかでん」ほどではないがこのリアルさがなかなか良い。そしてチョッピリ中途半端な富裕層もある。(北区だから知れている。我が家もエセ富裕層って所だったと思う
)
新聞代の集金という場面を使って当時の町をリアルに描き出す。
飛鳥山公園の回転展望台も懐かしい。
「どういう風に生きていけばいいのか解らないな」という30男の蟹江敬三。8階から飛び降りてもなかなか死ねないビッコのマリアとの愛欲シーンは壮絶。
沖山秀子が素晴らしい演技を見せてくれる。
負ける事の意味を知っている大人の蟹江。同僚がキックボクシングのデビュー戦でボロ負けしているのを「根性が無い」だのと罵る若者たちに「友達が一生懸命やっているのにその言い草は何だ」と諭す。泣かせるねぇ。でも学生の金を盗んで惨めに殴られている。
チョイ役で出ているキャストが素晴らしい。
柳家小三治はタクシーの運ちゃんで小便しながら浅草から乗せた女をいただいちゃった話をしてくれる。相変わらずいい味です。
柳家小里んは蟹江敬三が強盗に入った八百屋の主人。なまじ腕に憶えがあるために重症を負わされている?
貧しいスラムのおばさん白川和子は功徳のある話を聞かせようと少年を家に引き入れようとする。息子(小学低学年)が父親に似て暴力的で金魚を握りつぶして遊んでいる。上の兄はすでに母親に暴力を振るっていると言う。この白川和子が冴えない眼鏡に前歯には銀まで入っているのに妙に色っぽくて驚く。
少年が描く地図はだんだんエスカレートして詳しくなる。雲形定規まで使って丁寧に仕上げていく。反面出鱈目な書き順が不気味さを増す。
この状況だと凶悪犯罪に話が行ってもおかしくないが、いたずら電話止まり。そりゃ辛い。
うまくいかない少年と中年のダメダメの閉塞感がとても良い。
牛乳は盗むけど真面目に新聞配達する勤労青年なんだから・・・
板橋文夫のJazzも良い青春映画。
国際映画祭という事で英語字幕入り。
「どうせ、トルコの女だろ」に
「Turkish Lady」
これじゃ、トルコ共和国からイチャモン付けられてもしょうがない。

映画が見た東京
~変わりゆく町、変わりゆく人~
「十九歳の地図」 1979年 プロダクション群狼 監督:柳町光男
舞台は東京北区。上京して新聞配達をしながら予備校に通う少年。地図に×を付けた気にくわない家にいたずら電話をかけてゆく。大人を憎む少年と負け犬中年男の下流人生。中上健二の同名短編小説の映画化。
変りゆく東京を味わうのなら私にとって断然この映画でありました。

新聞配達に回る地域が滝野川、中十条なので北区と言っても自分の育った地元は登場しないと思っていましたが、少年(本間優二)と今野(蟹江敬三)が竹田かほり等をナンパしようとする坂道。この右手に自衛隊跡地が見えるがここは現在では自然観察公園になっている。子供のころからさんざん遊んだ地。

今野が小便女・カサブタのマリア(沖山秀子)に洋服をプレゼントする店は「アリスの森」だし・・・
1979年当時、主人公と同年だったわけだ。対照的に暢気でぽーっとした19歳でしたが・・・

貧しい家が沢山出てくるが確かに北区にはこのようなスラム街がいっぱいあった。
79年とはいえまだまだ貧乏はあった。「どですかでん」ほどではないがこのリアルさがなかなか良い。そしてチョッピリ中途半端な富裕層もある。(北区だから知れている。我が家もエセ富裕層って所だったと思う

新聞代の集金という場面を使って当時の町をリアルに描き出す。
飛鳥山公園の回転展望台も懐かしい。
「どういう風に生きていけばいいのか解らないな」という30男の蟹江敬三。8階から飛び降りてもなかなか死ねないビッコのマリアとの愛欲シーンは壮絶。

沖山秀子が素晴らしい演技を見せてくれる。
負ける事の意味を知っている大人の蟹江。同僚がキックボクシングのデビュー戦でボロ負けしているのを「根性が無い」だのと罵る若者たちに「友達が一生懸命やっているのにその言い草は何だ」と諭す。泣かせるねぇ。でも学生の金を盗んで惨めに殴られている。

チョイ役で出ているキャストが素晴らしい。
柳家小三治はタクシーの運ちゃんで小便しながら浅草から乗せた女をいただいちゃった話をしてくれる。相変わらずいい味です。

柳家小里んは蟹江敬三が強盗に入った八百屋の主人。なまじ腕に憶えがあるために重症を負わされている?
貧しいスラムのおばさん白川和子は功徳のある話を聞かせようと少年を家に引き入れようとする。息子(小学低学年)が父親に似て暴力的で金魚を握りつぶして遊んでいる。上の兄はすでに母親に暴力を振るっていると言う。この白川和子が冴えない眼鏡に前歯には銀まで入っているのに妙に色っぽくて驚く。

少年が描く地図はだんだんエスカレートして詳しくなる。雲形定規まで使って丁寧に仕上げていく。反面出鱈目な書き順が不気味さを増す。
この状況だと凶悪犯罪に話が行ってもおかしくないが、いたずら電話止まり。そりゃ辛い。
うまくいかない少年と中年のダメダメの閉塞感がとても良い。
牛乳は盗むけど真面目に新聞配達する勤労青年なんだから・・・


国際映画祭という事で英語字幕入り。
「どうせ、トルコの女だろ」に
「Turkish Lady」
これじゃ、トルコ共和国からイチャモン付けられてもしょうがない。


私はちっとも知らなかったので勉強になります。
映画にあまり興味がなく、最近になって、年取ってから女遊びやギャンブルに嵌った如く劇場に行くようになってますが・・・
柳町監督ってそんなに凄い人だったんだ。メモ、メモ・・・「火祭り」っていうのはなんか怖そうな印象がるけど本間優二と繋がるんですか。
秋吉さんが絶賛されていた作品も興味ありますね。