JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

斎藤慎爾・編 「スポーツ小説名作集 時よ止まれ、君は美しい」

2008-03-04 | BOOK


またしてもヒョイっとアンソロジーを買って読んだ。
目次を見て「一刀斎は背番号6」が入っていたので即購入・・・
昨年シネマヴェーラで映画の上映があって、ちょっと興味があったけど結局行かなかった。原作者は五味康祐。

スポーツ題材の読物を読んでいるっていうのは結構楽しいもので・・・でも、必然、ノンフィクションが中心になります。スポーツ小説っていうのはどうでしょう?
流石に野球の国であるからして、このアンソロジーも10編中5編が野球題材。
残りは剣道1、ボクシング2、陸上1、ワンゲル1・・・・

三島由紀夫 「剣」
三島由紀夫は比較的短いものをいくつか読んだだけなんだけど、三島由紀夫のイメージ(ストイックな肉体派とかなんとか・・・・)を勝手に作り上げていたので、それに最もピッタリ符合した作品でした。冒頭の剣道道場の稽古描写が映像的。とても視覚に訴えてきて・・・やはり凄い才ですね。

安部公房 「時の崖」
ボクサーの心理。新潮文庫の短編集の表題にもなっているので期待したけど、普通だった。

安岡章太郎 「球の行方」
スポーツ小説集に、この手のものをさりげなく投入しているところが憎い。10歳の頃の劣等意識を自虐的に・・・、確かに安岡章太郎にはこの手のものが良くあるようだ。堀江敏幸の小説にも出てくる「サアカスの馬」も読んでみたい作品。

山川方夫 「昼の花火」
この作家は初めて知りました。交通事故で夭折している。こういう不意の出会いがあるのもアンソロジーの楽しさ。
19歳の青年が4つ年上の女とある距離を縮めることなく交際していて、野球無知のその女と学生野球を観戦している。ポツリと女は秋に結婚すると言う。別離が来たのだが女と一緒にいる幸福を感じる。
情景がなんとも好ましい。
俄然、他の作品も読みたくなりました。文庫でも入手可能なようなので・・・

井上靖 「チャンピオン」
面白かった。落ちぶれたチャンピオンのモノローグ。
とにかく、引退せずに戦い続ける。消耗し続ける。
このように消耗する選手が戦前から戦後にかけては結構居たのかしら?

倉橋由美子 「100メートル」
ローマ・オリンピックの100メートル王者ハリー(西独)がモデルという。
今や短距離は黒人選手が絶対的な天下なので違和感もあった・・・

井上ひさし 「ナイン」
強豪少年野球チームのその後。

清水義範 「いわゆるひとつのトータル的な長嶋節」
口調のパロディ?
長嶋だけを取上げているタイトルが気にいらない。
内容は長嶋節と村山実節を対比して面白がるというもの。江本節もチョイ登場。

五味康祐 「一刀斎は背番号6」
野球娯楽小説として、こういうのは楽しい。
当時のプロ野球選手が実名で登場するのも嬉しい。「巨人の星」にも通ずる所。
国松彰がまだ駆け出しのピッチャーとして登場。別所は一刀斎にコテンパンにプライドを傷つけられる。
10割打者の一刀斎というのがめちゃくちゃで良い。
それにしても何故最後の打席になってしまったのかには触れられてないので???
長編の「一刀斎は背番号6-色道修業の巻」というのがあるらしい。しかし、未完だそうだ。

石原慎太郎 「北壁」
読み応えある短編ドラマではあったけれど、スポーツは見るものでしかない運動音痴の身としては登山はわからん。登山中継の観戦をした事ないので・・・・

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