JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

実相寺遺作 「シルバー假面」

2007-01-02 | 映画(DVD)
実相寺昭雄の遺作となった「シルバー假面」
まったく新しいシルバー仮面。
その企画設定を聞いただけでワクワクしてしまう作品で大きな期待を持って行ってきましたよ、レイト・ショー。

全3話のDVDオリジナル作品として制作されたが、高まる期待の中、劇場で3作品を一挙特別先行上映のはこびとなった。

第壱話「はなやしき」 監督:実相寺昭雄

第弐話「於母影」 監督:北浦嗣巳

第参話「鋼鉄のマリア」 監督:服部光則

脚本は中野貴雄(第弐話は小林雄次も)

企画設定を知った時、亡くなる前になんと好き勝手し放題の仕事をしてくれたのだろうと思わずニヤニヤしてしまったわけだけれども(期待の高まりはこちらの記事でも)

時代を大正9年に置き、ヒーローを日独混血、否、森鴎外とエリスの間に生まれた娘にしてしまうなんて、素晴らしい発想。
でも、やりたい放題のやりすぎで観客を取り残して暴走!これもいかにも実相寺という感じで苦笑。

疲れていた事もあるけれど途中見事に睡眠(第2話中盤と第3話序盤)
退屈になっちゃったんだから仕方がないけど、やっぱり勿体無かったな。

南無阿弥陀仏の文字とかお地蔵さんとか、いつものお決まりカットで始まると嘲笑を抑えながら嬉しくて哀しい。
浅草のダンテ劇場を舞台にしての明るく軽快なマーチと、弁士役の怪しい寺田農と、滑り出しでますます期待が高まったのですが・・・
石橋蓮司の悪玉「カリガリ」、島田久作の明瀬元次郎と実相寺作品のお馴染みさんに
第3話ではひし美ゆり子おばさままで敷島教授役で出演されています。

確信犯とも思えるニーナ(ヒロイン、ザビーネ)の棒読みセリフの放置とか、日本ではドイツ語でしゃべりながら、舞台をドイツに移した第2話では母エリスとともにカタコトの日本語で押し通すなど遊び心も感じられたし、退屈させるストーリーの中、変身シーンだけが従来のヒーロー物の雰囲気を出して浮きまくっていたのも良かったですかね。
傘で逃亡を図るカリガリ、森鴎外とカリガリの知的(?)な勝負。格闘シーンでの映像とかもお約束。ドイツ表現主義とかワーグナーのニーベルンゲンの指輪、小人(赤星満)の登場、後の江戸川乱歩、ヒットラーまで登場しますから。

大正時代のSFでその後世界が、日本が、どのような悲劇を生んでいくのかを予言する事により現実世界へと導いていく。面白いじゃないですか(着想は)

いい意味でも悪い意味でも実相寺監督の遺作として相応しい作品だったんじゃないでしょうか。

書店で「舞姫」をもう一度抜き読みしてみたけれど、やっぱりこれは凄いや。肩凝るけれど短いし、再読してみようかな。細かい所が解らなくても一向に意に介せず読めばよい。実相寺作品も同様ですナ。

劇場大盛況でございました。
2006年12月30日 渋谷 ユーロスペース



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