JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「赤線最後の日 昭和33年3月31日」

2008-04-30 | 映画(DVD)
あゝ懐かしのあの灯あの夜・・・
最後の肌に顔を埋め
抱いて歌った蛍の光!

お眼鏡さん寄ってらっしやい!
ネオンまたたく赤線最後の夜
艶然と漂客に声をかけ
狂おしく燃え上がる一夜妻の哀歓!

「赤線最後の日 昭和33年3月31日」1974年 日活 監督:白鳥信一

赤線街のサロンを舞台に、売春防止法が施行される前夜の、娼婦と客との交情を哀歓たっぷりに描き出した佳作。廻しをして稼ぎまくる若くてドライなヨー子(芹明香)、初体験の青年を親切にもてなす(康子)中島葵など個々の女性の背景も丁寧に描かれ、深夜十二時になると「蛍の光」の合唱で締め括られる・・・

昭和33年3月31日と言えば親の命日は忘れてもこの日は忘れやしないと男どもが言うとっても悲しい記念日だ。と言っても私は生まれていませんが・・・
前夜に酒を飲みながら働く女性たちの行く末を案じる言葉を吐いたのは志ん朝師だけじゃないだろう。
ザル法といわれた売春防止法施行の話は他にも多く映画で取上げられているだろうが、この日にちをタイトルに持ってきた所が日活の功績。偉い!

若いカップル(女はひろみ麻耶)が現代(1974年当時)の赤線街に紛れ込み「死んだ街」という科白で始まる。

これはとても真面目に撮られた日活ロマンポルノという印象でした。

ひとみ(宮下順子)と益夫(風間杜夫)の純愛は恥かしくなるほどですが・・・
圧巻はヨー子の芹明香。ドライに廻しをとっての騙しあい。もっと偉いのは登場する男客たち。そんなヨー子に怒るわけでもなく嬉々として通ってきて騙されている。わずかにヨー子が「星の流れに」を口ずさみながら(清純「肉体の門」でもお馴染み)無反応に応対している時の客が「情緒無ぇなぁ」とこぼす場面があるけど、それでも遊びとして割り切っている。なんて男って悲しくも健気なんでしょう。粋な女遊びは大推奨なのです。



今回の高橋明はひとみのタチの悪いヒモ役。風間杜夫とすれ違い風間が落とした学生証を拾ってあげる。お互いひとみとの関係は知る由もなし・・・

再び現代に戻り若いカップルは赤線街の安ホテル内
「今、赤線があったらあんたも行く?」
当たり前だろうが!行かなくっちゃ男の子じゃない!

ラピュタ阿佐ヶ谷 「愛と官能のプログラム・ピクチュア 日活ロマンポルノ名作選」

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