「新藤兼人平和映画祭」
「日本のいちばん長い日」1967年 東宝 監督:岡本喜八
昭和20年8月、ポツダム宣言受諾に紛糾、対立する閣僚と軍部、徹底抗戦を主張する青年将校たち、御前会議を経て玉音放送をおさめたレコードをめぐる攻防。運命と激動の一日がスリリングに描かれる。正確な考証のため岡本は4カ月かけて当時の資料を集めたという。キネ旬3位、脚本賞。
日本の夏は戦争映画を見る夏。
避暑地東京で今年の終戦記念日に新旧二本立て企画。
10時開場で終映後の半藤一利氏トークショーまで含め開放されるのは17時頃。いちばんとは言わずもかなり長い日になる。
岡本喜八の実録戦争モノだし、「シン・ゴジラ」に大きく影響を及ぼしている作品という事で昨年からこの夏の上映を狙ってました。
春のは一足早く、宮城事件を扱った「日本敗れず」を観て、ますます岡本喜八版は見なければという思い強まっておりました。
シンプルな「日本敗れず」で先に詳細を知ったのであの嗚咽ほどの感情の動きは無かったけれど間違いなくこちらも傑作。
少し範囲を拡げて、児玉基地の予科練出撃、民間を率いる横浜警備隊、徹底抗戦を決意する厚木基地など。
複雑な内容をテンポの良さとお馴染みの豪華キャストで2時間半越えも緊張感持続で引き付けられる。
会場掲示の当時パンフで岡本監督が制作への思いを綴った文章。
戦争体験者の監督があの狂気が何故起こり静まったか・・・
そこはエンタメ性に長けた監督手腕が生きますので、畑中少佐の黒澤年男、横浜警備隊長の天本英世あたりが熱烈に演じてくださる。
モノクロに映える黒澤年男の目を剥く狂気。
井田中佐の高橋悦史も見事なキャラ立ちで魅せる。
横浜警備隊隊長・佐々木大尉、歯のない天本英世の絶叫狂気。
児玉基地、飛行団長の伊藤雄之助の無念の演技。
飛び立った特攻兵は現実では敵艦発見に至らず戻ったそうです。(トークショーによる)
新玉美千代の紅一点感がGOOD! 鈴木総理邸の女中。
圧巻の阿南大臣・三船敏郎のハラキリに対して迸る血しぶき。血しぶきは当時のトレンドでしょう、仕方ない。
この政治映画手法は2015年版ではなく「シン・ゴジラ」の方に引き継がれるけどあちらはフィクション(理想の政治映像)こっちは史実だからなぁ。
平和と信念の政治家の両立は難しいのか?
豪華キャストの締めは加山雄三、日本放送協会アナ。あなたまで出ておられましたかとちょっとビックリ。
皇居脇でのゲリラ撮影も今では無理。
2015年版を挟んで原作者、半藤一利氏のトークショー
87歳とは思えない、矍鑠としておられ、お話もユーモアを交えて面白い。
このトークショーかなり事前に練られている節があり、貴重な資料のスライド撮影など、行き当たりばったりでないせいか珍しく飽きずに拝聴できた。
「戦争は始めるのは簡単だが終わらせる事のエネルギーは大変な物だ」といった言葉が印象的。
あと、半藤さんのお父上の的を得た言葉が素晴らしい。
1967年版では多く現場に赴き、監修チェックをなさったらしいが2015年版はロケ地が関西(既に東京では当時の景観撮影が無理なので)という事と高齢である事を理由にあまり関わられていない。
あまりの内容に違いからクレジットの原作者が1967年版では大宅壮一となっているので別物なのかと思ったが、これは当時に文春事情によるもので両作とも半藤氏が現作なんだそうな。
半藤氏には2015年版に思いっきりダメ出しして欲しかったが・・、映画関係者では無いので、ね。
2015年版にも意味はあるので。
池袋 新文芸坐
「日本のいちばん長い日」1967年 東宝 監督:岡本喜八
昭和20年8月、ポツダム宣言受諾に紛糾、対立する閣僚と軍部、徹底抗戦を主張する青年将校たち、御前会議を経て玉音放送をおさめたレコードをめぐる攻防。運命と激動の一日がスリリングに描かれる。正確な考証のため岡本は4カ月かけて当時の資料を集めたという。キネ旬3位、脚本賞。
日本の夏は戦争映画を見る夏。
避暑地東京で今年の終戦記念日に新旧二本立て企画。
10時開場で終映後の半藤一利氏トークショーまで含め開放されるのは17時頃。いちばんとは言わずもかなり長い日になる。
岡本喜八の実録戦争モノだし、「シン・ゴジラ」に大きく影響を及ぼしている作品という事で昨年からこの夏の上映を狙ってました。
春のは一足早く、宮城事件を扱った「日本敗れず」を観て、ますます岡本喜八版は見なければという思い強まっておりました。
シンプルな「日本敗れず」で先に詳細を知ったのであの嗚咽ほどの感情の動きは無かったけれど間違いなくこちらも傑作。
少し範囲を拡げて、児玉基地の予科練出撃、民間を率いる横浜警備隊、徹底抗戦を決意する厚木基地など。
複雑な内容をテンポの良さとお馴染みの豪華キャストで2時間半越えも緊張感持続で引き付けられる。
会場掲示の当時パンフで岡本監督が制作への思いを綴った文章。
戦争体験者の監督があの狂気が何故起こり静まったか・・・
そこはエンタメ性に長けた監督手腕が生きますので、畑中少佐の黒澤年男、横浜警備隊長の天本英世あたりが熱烈に演じてくださる。
モノクロに映える黒澤年男の目を剥く狂気。
井田中佐の高橋悦史も見事なキャラ立ちで魅せる。
横浜警備隊隊長・佐々木大尉、歯のない天本英世の絶叫狂気。
児玉基地、飛行団長の伊藤雄之助の無念の演技。
飛び立った特攻兵は現実では敵艦発見に至らず戻ったそうです。(トークショーによる)
新玉美千代の紅一点感がGOOD! 鈴木総理邸の女中。
圧巻の阿南大臣・三船敏郎のハラキリに対して迸る血しぶき。血しぶきは当時のトレンドでしょう、仕方ない。
この政治映画手法は2015年版ではなく「シン・ゴジラ」の方に引き継がれるけどあちらはフィクション(理想の政治映像)こっちは史実だからなぁ。
平和と信念の政治家の両立は難しいのか?
豪華キャストの締めは加山雄三、日本放送協会アナ。あなたまで出ておられましたかとちょっとビックリ。
皇居脇でのゲリラ撮影も今では無理。
2015年版を挟んで原作者、半藤一利氏のトークショー
87歳とは思えない、矍鑠としておられ、お話もユーモアを交えて面白い。
このトークショーかなり事前に練られている節があり、貴重な資料のスライド撮影など、行き当たりばったりでないせいか珍しく飽きずに拝聴できた。
「戦争は始めるのは簡単だが終わらせる事のエネルギーは大変な物だ」といった言葉が印象的。
あと、半藤さんのお父上の的を得た言葉が素晴らしい。
1967年版では多く現場に赴き、監修チェックをなさったらしいが2015年版はロケ地が関西(既に東京では当時の景観撮影が無理なので)という事と高齢である事を理由にあまり関わられていない。
あまりの内容に違いからクレジットの原作者が1967年版では大宅壮一となっているので別物なのかと思ったが、これは当時に文春事情によるもので両作とも半藤氏が現作なんだそうな。
半藤氏には2015年版に思いっきりダメ出しして欲しかったが・・、映画関係者では無いので、ね。
2015年版にも意味はあるので。
池袋 新文芸坐
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