JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」

2010-09-05 | 映画(DVD)
「石井輝男 怒涛の30本勝負!! 」

「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」1969年 東映 監督:石井輝男

昭和35年に起きた「東洋閣事件」を皮切りに、「愛のコリーダ」のモデルにもなった「阿部定事件」、それに引き続いて各地でおこった「象徴切り事件」、敗戦の年に七人の女を強姦・殺害した「小平義雄強姦殺人事件」、明治の代表的毒婦「高橋お伝事件」まで猟奇犯罪を実録タッチでショッキングに描ききる。

石井輝男監督のカルト全開な猟奇実録オムニバス。
狂言回しとして登場する監察医務院の執刀医村瀬(吉田輝男)女の死体解剖シーンから始まりワクワク。
この執刀医、自分の奥さんが謎の自殺をしてしまい、その謎の解明の参考にならないかと過去の猟奇女犯罪を調べにかかるんだけども、謎を解明したければもっと他にやる事あんだろ。どう考えたって、趣味で調べているとしか思えない。二枚目、吉田輝男の大真面目な表情が堪んない。

東洋閣事件(ホテル日本閣殺人事件)
ここでは犯人の宗方絹江を演じる藤江リカの色っぽさが前面に出されている。
宗像を知る人物が「恐ろしくなるくらいの色っぽさ」とか言ってましたが、妖艶な藤江リカに納得。
雨の中、情夫とともに死体を埋めてからの愛欲シーン。
らい病のような東洋閣主人の描写や腐乱死体に這い回る蛆虫などはいかにも石井監督。

ホテル日本閣殺人事件
オムニバスの1編だけでは勿体無い事件。
こいつで1本作って欲しい所ですが、あるんですね。
吉永小百合と西田敏行では期待できそうにありません。

お馴染みの安部定は賀川雪絵が可愛らしく演じる。
吉三に出会う前からの淫乱の資質が描かれていて興味深い。
吉三の若杉英二は、M変態男にもってこいの役者さん。決して二枚目じゃないところがよろしい。
賀川雪絵の安部定物語を一気に超越してしまう、衝撃の映像・・・ご本人登場!



橋の上でインタビューする執刀医・吉田輝男もこれには大いに満足であったことでしょう。

その後に起こった、象徴切り事件の数々。
由利徹の大学生すすむちゃんで笑いを取るものの、お婆ちゃん、金森あさみの色気違いで、マジ、気持ち悪くなっちゃう。ゲテモノの限界。

作品の完成度の高さは小池朝雄演じる小平義雄事件。
こちらもオムニバスの一編だけにしておくには惜しい。
この事件に関しては女性が猟奇殺人の餌食に。
モノクロに転じて、戦後の夏の暑い盛り。ギトギトの汗と舌なめずり。
買出しの途中で見つけた主婦への暴行シーンは出色。
取調べで異常な性癖を語る小池朝雄の眼。
処刑シーンまで、ちゃんと描く。

小平義男までで、もう御腹いっぱいなんですけど・・・、まだまだ猟奇女犯罪を調べ続ける。

高橋お伝(由美てる子)も色っぽい。
こちらも刑場でのシーンが良い。土方巽、カッコ良いです。

結局、女犯罪を調べてきたけど、妻の謎の自殺の真相は掴む事ができなかったって、そりゃ、当たり前でしょ。

実録物オムニバスですが総じて東映女優陣が一線級で無いにもかかわらず、その魅力が存分に発揮していてカルトな傑作になっているように思う。

シネマヴェーラ渋谷

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