今日3月3日より、全国政治協商会議が開催されます。また、続いて3月5日よりは、全国人民代表大会が開催されます。この二つを合わせて“両会”と言いますが、これから10日間、北京には全国から国会議員さんが集まり、年1回の政治の季節を迎えます。
それに合わせ、今日は、中国の政治体制について、確認していきたいと思います。
添付の図をご覧ください。
◆中国の政治体制 (筆者作成)
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中国の政治体制の全体を1枚にまとめてみました。
中国の政治は、共産党が一党独裁する体制となっています。2011年時点で、共産党員は全国に8000万人います。何れも厳格な審査を経て入党が認められるので、8000万人というのは大変な数字です。 この共産党の組織の中央が、「中共中央」と呼ばれるところで、中国共産党中央政治局に、任期5年の政治局常務委員が、現在は9名おられます。9名の名前は図に示した通りで、この順番が序列になっています。夜7時の中央電視台のニュースは、必ずこの序列順で主な内政、外交行事の様子が紹介されます。 これら9名の方は、今年で任期が満了し、今年10月の党大会で改選されます。
共産党トップの総書記である胡錦涛さんは、既に2期10年勤めているので、今回で引退となります。胡錦涛さんは、国の顔である国家主席、及び軍のトップである、中央軍事委員会主席を兼ねています。
2番目の呉邦国さんは、立法府である、人民代表大会の委員長、いわば国会議長です。
内閣に当たる国務院総理、温家宝さんは序列3位です。
4番目の賈慶林さんは全国政治協商会議の主席。全国政治協商会議については、後で説明します。
6番目の習近平さんが、胡錦涛さんの後の次期共産党トップといわれています。現在は、中央軍事委員会の副主席、国家副主席、また共産党の幹部養成学校である中央党学校校長です。
7番目の李克強さんは、温家宝さんの後の国務院総理に就任するのではないかと言われています。現在も、国務院副総理の一人です。
9番目の周永健さんは、司法を管轄する中央政法委員会の書記です。
そして、この共産党の下に、三権を司る、全国人民代表大会(立法)、国務院(行政)、最高人民法院(最高裁判所に相当=司法)、及び軍隊である人民解放軍が置かれています。
人民解放軍は、その生い立ちから、1927年の第1次国共合作の失敗後、南昌蜂起等の武装蜂起をきっかけに編成された中国工農革命軍を母胎に、共産党の軍隊として設立されましたので、党の直轄です。日本の防衛白書では、兵力は160万となっていますが、非戦闘要員もいますので、2009年末現在で230万人を抱えています。尚、これには武装警察(60万人)を含みません。
軍の中枢の中央軍事委員会の主席は胡錦涛ですが、副主席は3人で、習近平以外の2人は制服組で、郭伯雄 、徐才厚。お二人とも共産党中央政治局委員なので、党大会の時は壇上に座っているメンバーの一員として、TVカメラを通じて見ることができます。
さて、全国人民代表大会は一院制の立法府です。全体会議は年1回、3月に開催されます。任期は5年。現体制は第11期で、今年が最終年度。来年3月に新体制となります。議員は香港、マカオの代表も含め、各地区の代表で構成され、約3000名です。常設機関として、全人代常務委員会があり、概ね2カ月に1度委員会が開催され、法律方案の審議が行われます。
この全国人民代表大会、略称、全人代の権限は大きく、国家主席の任命、国務院総理、副総理、国務委員、省庁に相当する各部の部長(大臣)の任命、最高人民法院(最高裁)院長の任命、最高人民検察院院長の任命を行います。
全人代とは別に、全国政治協商会議があります。こちらは、共産党員だけでなく、民主党派と呼ばれる共産党以外の政党の代表、及び無党派人士の代表の参加する議会ですが、立法権はありません。しかし、広く人民の声を反映し、重要な案件については、全人代に審議要請をすることができることになっています。
民主党派は全部で8つあり、主に台湾との関係の問題について提案を行う、主に台湾出身の人たち、或いは教育界や医師、科学者などの学識経験者の団体であり、また活動は共産党の指導を受けることになっていますので、どちらかというと、各種の議題について、より専門的な視野から意見具申をする、という位置付けになっています。
国務院は内閣で、この傘下に各省庁(中国では“部”といいます)、中央銀行である中国人民銀行、そして税関総署が置かれています。
最後に、国家主席ですが、これは以前はどちらかというと名誉職であったのですが、昨今は外交の顔として、位置付けが重要になってきています。英語表記は、Presidentです。
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