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二 合成詞の構成形式
前回は、詞が、それを構成する語素の数により、単純詞と合成詞に分かれること、また合成詞の中で、不定位語素と定位語素とが結合した語の種類、特徴を見てきました。今回は、引き続き、不定位語素どうしが結合した合成詞について、見ていきたいと思います。
(二)不定位語素が互いに融合して構成される合成詞
異なる不定位語素が互いに融合し構成される合成詞が、一般に言う「複合語」である。この種の合成詞は、現代漢語の主要なもので、最も数の多い、詞を構成する型(格式)であり、中国語の合成詞のほとんどがこの形式で構成される。
この種の合成詞の語素の結合方式は同じではなく、以下のいくつかの主要な種類に分類することができる。
1.連合式
二つの語素が並列に融合して構成されるもの。二つの語素の意味の関係の違いにより、これは更に二つに分かれる。一つは同義の語素の結合、一つは反意の語素の結合である。
同義の語素の結合の例は:
◆ 第一組
語言 智慧 思想 群衆 樹木 源泉 形態 真実
学習 生産 斗争 迷惑 捨棄 脱離 閲読 掩飾
◆ 第二組
江湖 手足 矛盾 線索 山水 筆墨 眉眼 皮毛
◆ 第三組
国家 兄弟 干浄 窓戸
意味の上から言うと、これらの詞の二つの語素の意味は並列で、平等である。しかし、その中にも違いは存在し、第一組の詞の二つの語素は、意味の上で完全に並列で、互いに説明したり、注釈をすることができる。第二組の詞は二つの語素が結合することで、これらの元の意味に関連して、より抽象的で、概括的な意味を表す。これらの詞は、語素の意味から解釈することができない。第三組の詞の意味は、常にその中の一つの語素を基礎とし、もう一つの語素の意味は、完全に消失しているか、或いは補足や引き立ての役割しか果たさない。
反意の語素の結合で構成される詞は、例えば:
高低 早晩 始終 東西 利害 往来 伸縮
長短 是非 反正 横竪 開関 収発 動静
これらの詞の意味は、一般に比較的抽象的であり、直接語素の意味から解釈することはできない。これらを使ったり理解する上で、当て推量する(“望文生義”)ことは避けるよう、注意しなければならない。
2.附加式
語素の間に附加、修飾の関係があるもの。この種類の詞は、常に前の語素が、後ろの語素を修飾、限定するので、詞全体の意味の構成では、後ろの語素が主になる。例えば:
紅旗 草図 壁画 内部 駝毛 火車 単干 狂歓
粗心 熱愛 筆談 晩会 深入 春耕 秋収 四季
意味の上から言うと、この種類の詞の最初の語素は異なった角度から二番目の語素を修飾、限定する。例えば、性質(“紅旗”)、所属(“駝毛”)、状態(“狂歓”)、方式(“単干”)、数量(“四季”)、程度(“深入”)、時間(“春耕”)などを表すことができる。
3.補充式
語素の間に補充説明の関係があるもの。この種類の詞は、常に後ろの語素が、前の語素を補充説明する。詞全体の意味の構成では、最初の語素が主になる。例えば:
認清 説明 改正 打倒 提高 抓緊 看透
降低 推翻 煽動 縮小 放大 打動 変成
これらの詞は何れも動詞であり、前の成分が動作を表し、後ろの成分が動作の結果や趨勢を表す。これらの中のいくつかの詞は、しばしば間に“得”を挿入することにより可能を表し、“不”を挿入することにより不可能を表すことができる。
また、例えば、
船只 槍支 房間 書本 物件 人口 花朶 馬匹
これらの詞は、前の語素が物を表し、後ろの語素がその物の計量単位を表す。このような構造も、一種の補充式と言うことができる。なぜなら、後ろの計量単位を表す語素は、それにより前に表示した物の語素を補充説明している、と言うことができるからである。
しかし、文法上は動詞、形容詞の後ろにのみ補語を伴うことができる。然るに、ここでは詞の構成上、名詞性の語素の後ろにそれを補充する語素が付帯している。このように、「名詞+量詞」の補充式により構成される詞は、或いは“造句法”と“構詞法”の構造方式が完全には一致しないという現象を代表しているのかもしれない。
4.陳述式
語素の間に陳述と被陳述の関係があるもの。この種類の詞の前の語素は陳述される対象であり、後ろの語素が陳述部分である。例えば:
眼花 心虚 胆怯 心細 性急 年軽
5.支配式
語素の間に支配と被支配の関係があるもの。この種類の詞の前の語素は動作や行為を表し、後ろの語素は動作や行為が支配する対象を表す。例えば:
帯頭 動員 簽名 耐労 示威 挙重 傷心 吹牛
知己 監工 司令
以上の五種類の類型は、最も簡単な、二音節の合成詞を分析して得られた結果である。現代漢語では二音節の合成詞が大部分を占める。したがって、この五種類の形式の合成詞はその典型的な意味合いを持つ。
しかし、二つの語素以上の複音節の合成詞では、詞の内部のそれぞれの成分の間の関係がずっと複雑であり、それらはしばしば様々な方式で何層かに分かれて次第に構成され、一種の「総合的」合成詞と言うことができる。このような詞については、異なる構造関係から、層ごとに分析していかなければならない。
例えば、“試験田”という詞は、先ず“試”と“験”の二つの語素の結合から、連合式の複合語素が構成され、更に“田”と結合して附加式の合成詞が構成されている。“人造絲”という詞は、“人”と“造”の二つの語素が結合して陳述式の複合語素を構成し、更に“絲”と結合して附加式の合成詞が構成されている。
私たちは異なる詞を構成する型から順番に分析してはじめて、これらの構造や層の関係を明確にすることができるのである。
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂本 上海教育出版社1995年
以上、2回にわたり、詞の構造について見てきました。それ以前に見てきた語素、そして詞、更に詞組により、語句は構成されていることになります。
通常、語学学習では、先ず文法、中国語で言うと語法から入りますので、いきなり品詞の分類云々の説明がされますが、それだけでは分かりにくかった語句の違いが、こうした分析により、理解しやすくなると思います。