成語や慣用句は、うまく使うと、たちまち中国語の表現力を、数段階向上させてくれるし、なにより、くだくだ説明せずとも、一言で言いたいことを表してくれる。逆に、中国語の読解や聞き取りの際のキーワードとなり、その意味が頭に浮かぶかどうかで、文全体の理解度が変わってくる。
今回は、その構造と使い方について、胡裕樹主編《現代漢語》重訂本 上海教育出版社1995年の説明を見て行きたい。
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(一)熟語の範囲と慣用句の性質
語彙(“詞滙”)の中で、多くの独立して運用されることば以外に、いくつかの固定された語句は、一般の人々がいつも使用し、言語の建築材料、語彙の構成部分となっている。これらを総称して“熟語”という。熟語の範囲は相当広く、慣用句、成語、歇后語、諺語、格言等を含む。そのうち、慣用句と成語の使い方は最も注意する必要がある。
慣用句は一般の人がよく知っている既成の固定語句であり、しばしば完全な意味単位として運用される。しかし中にはばらばらにされたり、別の語句を挿入される場合があり、これらの固定性はそれほど強くない。例えば、“碰釘子”、“打游撃”、“咬耳朶”、“磨洋工”、“鑽空子”、“開倒車”、“触黴頭”、“拆墻角”、等である。
これらの構造はそれほど緊密ではない。例えば、“碰釘子”(peng4ding1zi断られる。ひじ鉄を食らう)は“碰了一個大釘子”(大きな障害にぶち当たった)と言う事ができ、また“碰了個軟釘子”(やんわりと断られた) “碰了個硬釘子”(きっぱりと断られた)と言うことができる。“鑽空子”(zuan4kong1ziすきに乗じてうまいことをする)は“鑽我們的空子”と言うことができる。
慣用句はよく練れていて、大多数は表現が正確で、生き生きとしている。例えば、“磨洋工 ”mo2yang2gong1は“拖延或浪費時間”(時間を延ばす。時間を浪費する→表面は働いていると見せかけて、実際は仕事をさぼっていること)ということを表し、“開倒車”kai1dao4che1は“向后倒退”(後退するする。逆行する)ということを表す。
まとめると、慣用句の使用も、言語の規範化の原則に基づかなければならない。方言性が強すぎたり、卑俗(“庸俗”)な意味のものは、あまり用いない、もしくは使わないようにすべきである。
・打游撃 da3you2ji1 かけもちの仕事をやる
・咬耳朶 yao3er3duo 耳打ちをする
・触黴頭 chu4mei2tou2 =倒黴 dao3mei2 ひどい目にあう。ばかをみる
・拆墻角 chai1qiang2jiao3 =拆台 chai1tai2 土台をぐらつかせる。失敗させる。みそをつけさせる
(二)成語の性質と構造
成語は一種の固定語句(“固定詞組”)であり、慣用句と性質が似ており、しばしば完全な意味単位として運用され、慣用句より更に安定している。一般の成語は、構造が緊密で、任意にその中の成分を交換することはできず、慣用句のようにばらばらにしていくつかの成分を挿入するようなことはできない。成語はまた、“学生会主席”、“復旦大学中文系”、“作家協会”、“青春之歌”などのような、事物の名称の固定語句とも異なる。これらは社会発展の中で生み出された事物であり、任意にばらしたり勝手に字を入れ替えたりすることはできないが、既成の話ではないので、成語とは区別される。成語は大多数が典故のある合成語句である。例えば、“自相矛盾”は成語であり、“矛盾”は単語(“詞”)である。“一字推敲”は成語であり、“推敲”は単語である。成語は、構造は緊密であるけれども、運用上は単語(“詞”)の等価物と見做されるが、まだ凝結されて単語にまではなっておらず、一種の固定語句(“固定詞組”)である。
成語の来源は多種多様である。主に書面から得られたものと口頭から伝わったものの二種類に区分できる。
書面から得られたもの。例えば、“完璧帰趙”、“負荊請罪”、“破釜沈舟”、“草木皆兵”等は、古代の歴史事実から得られたものである。
・完璧帰趙 wan2bi4gui1zhao4 少しも損なわず、そっくりそのまま返す(戦国時代、藺相如は秦の15の城と交換するため璧を持って秦に行ったが、秦王に誠意が見られなかったので、その璧を取り返し、無事に持ち帰ったことから)
・負荊請罪 fu4jing1qing3zui4 荊(いばら)の杖を背負って自分の罪を詫びる。心から過ちを認め、謝罪すること
・破釜沈舟 po4fu3chen2zhou1 鍋を壊し船を沈める。戦いに臨んで決意を示す。背水の陣を敷く
・草木皆兵 cao3mu4jie1bing1 草や木まで敵兵に見える。ひどくおびえる
“刻舟求剣”、“漁翁得利”、“濫竽充数”、“望洋興嘆”等は古代の寓話(“寓言”yu4yan2)の中から得られたものである。
・刻舟求剣 ke4zhou1qiu2jian4 剣を落として舟を刻む。状況の変化を考えず、頑なに古いしきたりにこだわること(昔、楚の人が川を渡る時、剣を水中に落とし、船べりに印をつけ、ここが剣を落としたところだと言ったという故事から)
・漁翁得利 yu2weng1de2li4 漁夫の利。“鷸蚌相争,漁人得利” yu4bang4xiang1zheng1 yu2ren2de2li4(シギとドブガイが争っているうち、どちらも漁師に捕られてしまったという寓話から)ともいう。
・濫竽充数 lan4yu2chong1shu4 員数を揃えるために不良品を混ぜてごまかす。(斉の宣王は竽(う)(笙に似た楽器)の音が好きで、竽のできる人300人を雇ったところ、竽のできない南郭先生が混じって俸給をもらっていたという故事から)
・望洋興嘆 wang4yang2xing1tan4 偉大な事物を目の前にし、自分の小ささを嘆く。何かしようとして、自分の能力不足を嘆くこと。
“一鼓作気”、“未雨綢繆”、“水落石出”、“山窮水尽”、“隔靴掻痒”、“虎頭蛇尾”、“膠柱鼓瑟”、“畳床架屋”、“粉身砕骨”、“赴湯蹈火”、“前仆后継”、“奴顔婢膝”等は、古典作品や古代から伝わる辞句の中から得られたものである。
・一鼓作気 yi1gu3zuo4qi4 張り切って、一挙に物事を成し遂げる
・未雨綢繆 wei4yu3chou2mou2 雨が降らぬうちに窓や戸を修繕する。転ばぬ先の杖(“綢繆”は囲み塞ぐこと)
・水落石出 shui3luo4shi2chu1 水落ちて石出づ。物事の真相が明らかになる
・山窮水尽 shan1qiong2shui3jin4 窮地に陥る。途方に暮れる
・隔靴掻痒 ge2xue1sao1yang3 靴を隔てて痒い所を掻く。言葉ややり方が不徹底でもどかしいこと。
・虎頭蛇尾 hu3tou2she2wei3 初めは盛んだが、終わりは振るわない。竜頭蛇尾。
・膠柱鼓瑟 jiao1zhu4gu3se4 琴柱(ことじ)に膠(にかわ)す。(琴柱を膠で固定すると調律を変えることができないことから)物事にこだわって、融通のきかないたとえ。
・畳床架屋 die2chuang2jia4wu3 屋上屋を架す。無用なことを重ねてすること。
・粉身砕骨 fen3shen1sui4gu3 粉骨砕身する。ある目的のため、身命を惜しまず努力すること。
・赴湯蹈火 fu4tang1dao3huo3 水火も辞せず。どんな苦しみや危険も恐れないこと
・前仆后継 qian2pu1hou4ji4 前の者が倒れたら後の者が続いて行く。先人の屍を乗り越えて行く
・奴顔婢膝 nu2yan2bi4xi1 卑屈にこびへつらう
口頭から伝わったもの。例えば、“七手八脚”、“改頭換面”、“南腔北調”、“得過且過”、“一不作二不休”等である。また多くの人々が成語構造の規律に基づき作って来たものがある。例えば、“呆頭呆脳”、“昏頭昏脳”、“東揺西擺”、“東拼西湊”、“歓天喜地”、“咒天罵地”、“有条有理”、“無知無識”等である。
・七手八脚 qi1shou3ba1jiao3 誰もかれもが一度に手を出す。寄ってたかって何かをする。
・改頭換面 gai3tou2huan4mian4 内容はそのままで、うわべだけ変えること
・南腔北調 nan2qiang1bei3diao4 なまりがひどい共通語。南北各地の方言が入り混じっていること。
・得過且過 de2guo4qie3guo4 (1)その場限りのことをしてお茶を濁す。その日暮らしをする。(2)(他人の過失を)深くとがめず、できるだけ大目に見る。
・一不作二不休 yi1bu4zuo4, er4bu4xiu1 やり出したからには手を引けない。乗りかかった船。
・呆頭呆脳 dai1tou2dai1nao3 頭が鈍感である。間の抜けたさま。
・昏頭昏脳 hun1tou2hun1nao3 (1)ぼんやりしている。頭が混乱している(2)間が抜けている
・東揺西擺 dong1yao2xi1bai3 足元がしっかりしていなく、安定していない。思想、考えが固まっておらず、動揺しやすいこと
・東拼西湊 dong1pin1xi1cou4 (1)方々から寄せ集める(2)無理算段する
・歓天喜地 huan1tian1xi3di4 大喜びする。狂喜する形容
・咒天罵地 zhou4tian1ma4di4 口から出るまま、わめき散らす
・有条有理 you3tiao2you3li3 物事の筋道が通っている
書面から来たものであれ、口頭から伝わったものであれ、成語は総じてたいへん強い固定性を持っており、変更がきかない(“一成不変”)。
いくつかの成語は、その中にめったに見ない(“生僻”sheng1pi4)、或いは難解(“晦渋”hui4se4)な字を含むので、一般の人は容易に理解できず、一部を変えることがある。例えば、元々“屡戒不悛”lv3jie4bu4quan1(何度注意しても改めない)であったものが“屡戒不改”(“屡教不改”ともいう)に改められた。元々“揠苗助長”ya4miao2zhu4zhang3 (苗を引っ張って伸ばす。功を焦って方法を誤り、失敗すること)であったものが“抜ba2苗助長”に改められた。
修辞の必要から、元の成語を新しく作り変えたり改造し、それにより新たな意味を表すこともある。例えば、“走馬観花”(“走馬看花”馬を飛ばして花見をする。大ざっぱに物事の表面だけ見ること)は“下馬観花”(“下馬看花”馬から降りて花を見る。じっくり観察し、調査・研究すること)に作り変えられた。“知難而退”(困難だと知って退く)は “知難而進”(困難だと知りながら進んでそれをやる)に作り変えられた。“能者多労”(有能な人ほど多く働く)は“労者多能”に作り変えられた。“挙一反三”(一つの事から類推して多くの事を知る) は“挙一反十”(一を聞いて十を知る)に作り変えられた。同時に、社会の発展や情勢の要求により、多くの語句が新たな成語になる趨勢が現れた。例えば、“又紅又専”、“百花斉放”、“求同存異”、“分秒必争”、“虚実并挙”、“両条腿走路”等である。成語の創造も、語彙が豊富となる一つの源泉である。
成語の構造も多種多様で、連合式と非連合式の二種類に大きく分けることができる。
■ “連合式”(“聯合式”)というのは、二つの語素や語句が並列融合して構成されることをいう。
連合式の成語も多種多様で、おおよそ、陳述的連合式、支配的連合式、附加的連合式の三種類に分けることができる。
“陳述的連合式”は、二つの“陳述式”の語句を結合させて構成されるもので、例えば、“天翻地覆”、“煙消雲散”、“興高采烈”、“風平浪静”、“瓜熟蔕落”、“苦尽甘来”等である。
■ “陳述式”というのは、語素の間に陳述と被陳述の関係があるものをいう。この形では、前の語素が陳述される対象であり、後ろの語素が陳述部分である。例えば、眼花、心虚、胆怯、心細、性急、年軽がそうである。
・天翻地覆 tian1fan1di4fu4 (1)極めて重大な変化(2)上を下への大騒ぎ。てんやわんやの大騒ぎ
・煙消雲散 yan1xiao1yun2san4 雲散霧消する。霧散する
・興高采烈 xing4gao1cai3lie4 上機嫌である。大喜びである。有頂天である
・風平浪静 feng1ping2lang4jing4 風はなぎ、波も静かである。何事もなく平穏である
・瓜熟蔕落 gua1shu2di4luo4ウリは熟れればへたから落ちる。条件が熟せば自然に成功すること
・苦尽甘来 ku3jin4gan1lai2 苦が尽きて楽が来る。苦労をし尽くして楽な背勝が始まる
“支配的連合式”は、二つの“支配式”の語句を結合させて構成されるもので、例えば、“提綱挈領”、“耀武揚威”、“発号施令”、“指天画地”、“有条有理”、“貪小失大”、“棄暗投明”、“避重就軽”、“畏首畏尾”、“患得患失”、“懲前斃后”等である。
■ “支配式”というのは、語素の間に支配と被支配の関係があるものをいう。この形では、前の語素が動作、或いは行為を表し、後ろの語素が動作、行為の支配する対象を表す。例えば、帯頭、動員、簽名、耐労、示威、挙重、傷心、吹牛、知己、監工、司令がそうである。
・提綱挈領 ti1gang1qie4ling3 綱を取る時は大綱を、衣服を取る時は襟を。問題の要点をつかむこと。
・耀武揚威 yao4wu3yang2wei1 武力を誇り威勢を示す。武力を笠に着て威張り散らす
・発号施令 fa1hao4si1ling4 命令を下す。指示を出す。号令をかける
・指天画地 zhi3tian1hua4di4 誰にも気兼ねせず話をする=“目中無人”
・貪小失大 tan1xiao3shi1da4小さな利益をねらって大きな損をする
・棄暗投明 qi4an4tou2ming2 暗きを捨てて明るきに投ずる。反動集団から離れ、革命的組織に参加するたとえ
・避重就軽 bi4zhong4jiu4qing1 重要な点を避けて二次的なものを取り上げる。きつい仕事を避けて楽な仕事をする
・畏首畏尾 wei4shou3wei4wei あれこれ気兼ねする。ああでもない、こうでもない、と思い切りが悪いこと
・患得患失 huan4de2huan4shi1 個人の損得にばかりこだわる
・懲前斃后 cheng2qian2bi4hou4 前の誤りを後ろの戒めとする
“附加的連合式”は、二つの“附加式”の語句を結合させて構成されるもので、例えば、“深謀遠慮”、“暴風驟雨”、“左顧右盼”、“前思后思”、“一暴十寒”、“千山万水”、“四分五裂”、“四通八達”、“千秋万歳”、“昏天黒地”、“半生半熟”、“昏頭昏脳”、“粗枝大叶”、“七手八脚”等である。
■ “附加式”というのは、語素の間に附加修飾の関係のあるものをいう。この形では、常に前の語素により、後ろの語素を修飾、制限する。したがって、語句の構成上、後ろの語素が主となる。例えば、紅旗、草図、壁画、内部、駝毛、火車、単干、狂歓、粗心、熱愛、筆談、晩会、深入、春耕、秋収、四季がそうである。
・左顧右盼 zuo3gu4you4pan4 (1)左を見たり右を見たりする。きょろきょろ見回す(2)あたりの情勢ばかりうかがって、決断できないこと
・一暴十寒 yi1pu4shi2han2(発音に注意)1日日光に当て10日冷やす。努力が長続きしないこと
・千山万水 qian1shan1wan4shui3 道が険しく遥かに遠いこと
・千秋万歳 qian1qiu1wan4sui4 千年万年。歳月のたいへん長いこと。
・昏天黒地 hun1tian1hei1di4 (1)外が暗い(2)意識がぼうっとする(3)ふしだらな生活(4)社会の秩序が乱れている
・半生半熟 ban4sheng1ban4shu2 (1)半熟。生煮え(2)不慣れだ。未熟である
・粗枝大叶 cu1zhi1da4ye4 大ざっぱである。いいかげんである
この他、四つの語素が並列した連合式があり、例えば、“青紅白”、“生老病死”、“魑魅魍魎”等がある。
・青紅白 qing1hong2zao4bai2 理非曲直。道理や道徳にかなっていることと反していること。“不分青紅白”:理非曲直を問わず。有無を言わさず。“”は黒色のこと。
“非連合式”の成語も多種多様である。(連合式が、二字の語句を並立させているのに対し、非連合式では、四字で一つの語句を形成している。)
例えば、“胸有成竹”、“名副其実”、“狐假虎威”、“人心大快”、“笑容可掬”、“坐立不安”、“啼笑皆非”、“左右為難”、“老少無欺”等は、皆、“陳述式”の構造に属している。
・胸有成竹 xiong1you3cheng2zhu2 胸に成竹(せいちく)あり。前もってちゃんとした考え(方法)がある
・笑容可掬 xiao4rong2ke3ju1 笑顔が晴れやかである・啼笑皆非 ti2xiao4jie1fei 泣くに泣けず、笑うに笑えない。進退極まり、どうしてよいか分からない
“好為人師”、“視為畏途”、“別開生面”、“飽経風霜”、“莫衷一是”、“莫名其妙”等は“支配式”の構造に属する。
・好為人師 hao4wei2ren2shi1 人の師になりたがる。知識をひけらかしたがる
・別開生面 bie2kai1sheng1mian4 新境地を開く
・飽経風霜 bao3jing1feng1shuang1 つぶさに辛酸をなめる
・莫衷一是 mo4zhong1yi1shi4 一致した結論に達することができない。意見がまとまらない
“勃然大怒”、“恍然大悟”、“百折不撓”、“層出不窮”、“一孔之見”、“一得之愚”、“不労而獲”、“不約而同”等は“附加式”の構造に属する。
“嫁禍于人”、“問道于盲”等は、“補充式”の構造に属する。
■ “補充式”というのは、語素の間に補充説明の関係があるものをいう。この種の語では常に後ろの語素により前の語素を補充説明する。全体の語義の構成上、第一の語素が主となる。
例えば:認清、説明、改正、打倒、提高、抓緊、看透、降低、推翻、煽動、縮小、放大、打動、変成。
これらの語句は何れも動詞であるが、前の成分が動作を表し、後ろの成分が動作の結果や趨勢、傾向を表す。
この他、いくつかのその他の構造の成語がある。例えば、“利令智昏”、“請君入瓮”、“引狼入室”、“指鹿為馬”等である。
・利令智昏 li4ling4zhi4hun1 欲得は頭をぼんくらにさせる。欲に目がくらむこと
・請君入瓮 qing3jun1ru4weng4 自分の案出した方法で、却って自分自身が懲らしめられること。(唐代、則天武后の命を受けた来俊臣が周興を取り調べるに当たり、周興をわざと招いて、「罪を認めない犯人をどうすればよいか」と尋ねた。周興が「犯人を炭火で炙った大がめ(“瓮”)に入れれば良い」と答えたところ、来俊臣はそのように瓮を用意し、「どうぞあなたがこの瓮にお入りください」と言い、周興に罪を認めさせた故事から)
・引狼入室 yin3lang2ru4shi4 狼を部屋に案内する。敵や悪者を味方の内部に引き入れて災いを招くたとえ。
・指鹿為馬 zhi3lu4wei2ma3 鹿を指して馬と言う。是非を転倒する。(秦の丞相趙高が謀反をたくらみ、群臣を試すため、二世皇帝に鹿を見せてこれは馬だと言った。二世は側にいる臣下に丞相が鹿を馬だと言ったが間違いではないか、と尋ねたところ、ある者は馬だと言い、ある者は鹿だと答えた。鹿だと答えた者は、後で全員趙高に殺された、という故事から。日本語の「馬鹿」はこの故事から出ているという説もある)
成語の構造からみて、中国語の成語には二つの特徴があることがわかる。
第一、中国語の成語には多種多様な類型があるが、大多数は四字で構成されており、すなわち四つの音節の形式を採っており、“四字格”と呼ばれる。四つの単音語素か或いは二つの双音語素(二音節の語素)を用いて、こうした四つの音節の整った形式を構成している。語彙(“詞滙”)の中で、語(“詞”)の双音化と成語の四音化は、正に中国語語彙の一つの特徴である。
第二、成語の類型の多彩さ(“豊富多彩”)は、正に中国語の語彙が極めて豊富であることを説明しており、中国語の修辞手段も極めて豊富で発達している。
【原文】胡裕樹主編《現代漢語》重訂本 上海教育出版社1995年
以上述べてきた成語の使い方については、次回、紹介する。
今回は、その構造と使い方について、胡裕樹主編《現代漢語》重訂本 上海教育出版社1995年の説明を見て行きたい。
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(一)熟語の範囲と慣用句の性質
語彙(“詞滙”)の中で、多くの独立して運用されることば以外に、いくつかの固定された語句は、一般の人々がいつも使用し、言語の建築材料、語彙の構成部分となっている。これらを総称して“熟語”という。熟語の範囲は相当広く、慣用句、成語、歇后語、諺語、格言等を含む。そのうち、慣用句と成語の使い方は最も注意する必要がある。
慣用句は一般の人がよく知っている既成の固定語句であり、しばしば完全な意味単位として運用される。しかし中にはばらばらにされたり、別の語句を挿入される場合があり、これらの固定性はそれほど強くない。例えば、“碰釘子”、“打游撃”、“咬耳朶”、“磨洋工”、“鑽空子”、“開倒車”、“触黴頭”、“拆墻角”、等である。
これらの構造はそれほど緊密ではない。例えば、“碰釘子”(peng4ding1zi断られる。ひじ鉄を食らう)は“碰了一個大釘子”(大きな障害にぶち当たった)と言う事ができ、また“碰了個軟釘子”(やんわりと断られた) “碰了個硬釘子”(きっぱりと断られた)と言うことができる。“鑽空子”(zuan4kong1ziすきに乗じてうまいことをする)は“鑽我們的空子”と言うことができる。
慣用句はよく練れていて、大多数は表現が正確で、生き生きとしている。例えば、“磨洋工 ”mo2yang2gong1は“拖延或浪費時間”(時間を延ばす。時間を浪費する→表面は働いていると見せかけて、実際は仕事をさぼっていること)ということを表し、“開倒車”kai1dao4che1は“向后倒退”(後退するする。逆行する)ということを表す。
まとめると、慣用句の使用も、言語の規範化の原則に基づかなければならない。方言性が強すぎたり、卑俗(“庸俗”)な意味のものは、あまり用いない、もしくは使わないようにすべきである。
・打游撃 da3you2ji1 かけもちの仕事をやる
・咬耳朶 yao3er3duo 耳打ちをする
・触黴頭 chu4mei2tou2 =倒黴 dao3mei2 ひどい目にあう。ばかをみる
・拆墻角 chai1qiang2jiao3 =拆台 chai1tai2 土台をぐらつかせる。失敗させる。みそをつけさせる
(二)成語の性質と構造
成語は一種の固定語句(“固定詞組”)であり、慣用句と性質が似ており、しばしば完全な意味単位として運用され、慣用句より更に安定している。一般の成語は、構造が緊密で、任意にその中の成分を交換することはできず、慣用句のようにばらばらにしていくつかの成分を挿入するようなことはできない。成語はまた、“学生会主席”、“復旦大学中文系”、“作家協会”、“青春之歌”などのような、事物の名称の固定語句とも異なる。これらは社会発展の中で生み出された事物であり、任意にばらしたり勝手に字を入れ替えたりすることはできないが、既成の話ではないので、成語とは区別される。成語は大多数が典故のある合成語句である。例えば、“自相矛盾”は成語であり、“矛盾”は単語(“詞”)である。“一字推敲”は成語であり、“推敲”は単語である。成語は、構造は緊密であるけれども、運用上は単語(“詞”)の等価物と見做されるが、まだ凝結されて単語にまではなっておらず、一種の固定語句(“固定詞組”)である。
成語の来源は多種多様である。主に書面から得られたものと口頭から伝わったものの二種類に区分できる。
書面から得られたもの。例えば、“完璧帰趙”、“負荊請罪”、“破釜沈舟”、“草木皆兵”等は、古代の歴史事実から得られたものである。
・完璧帰趙 wan2bi4gui1zhao4 少しも損なわず、そっくりそのまま返す(戦国時代、藺相如は秦の15の城と交換するため璧を持って秦に行ったが、秦王に誠意が見られなかったので、その璧を取り返し、無事に持ち帰ったことから)
・負荊請罪 fu4jing1qing3zui4 荊(いばら)の杖を背負って自分の罪を詫びる。心から過ちを認め、謝罪すること
・破釜沈舟 po4fu3chen2zhou1 鍋を壊し船を沈める。戦いに臨んで決意を示す。背水の陣を敷く
・草木皆兵 cao3mu4jie1bing1 草や木まで敵兵に見える。ひどくおびえる
“刻舟求剣”、“漁翁得利”、“濫竽充数”、“望洋興嘆”等は古代の寓話(“寓言”yu4yan2)の中から得られたものである。
・刻舟求剣 ke4zhou1qiu2jian4 剣を落として舟を刻む。状況の変化を考えず、頑なに古いしきたりにこだわること(昔、楚の人が川を渡る時、剣を水中に落とし、船べりに印をつけ、ここが剣を落としたところだと言ったという故事から)
・漁翁得利 yu2weng1de2li4 漁夫の利。“鷸蚌相争,漁人得利” yu4bang4xiang1zheng1 yu2ren2de2li4(シギとドブガイが争っているうち、どちらも漁師に捕られてしまったという寓話から)ともいう。
・濫竽充数 lan4yu2chong1shu4 員数を揃えるために不良品を混ぜてごまかす。(斉の宣王は竽(う)(笙に似た楽器)の音が好きで、竽のできる人300人を雇ったところ、竽のできない南郭先生が混じって俸給をもらっていたという故事から)
・望洋興嘆 wang4yang2xing1tan4 偉大な事物を目の前にし、自分の小ささを嘆く。何かしようとして、自分の能力不足を嘆くこと。
“一鼓作気”、“未雨綢繆”、“水落石出”、“山窮水尽”、“隔靴掻痒”、“虎頭蛇尾”、“膠柱鼓瑟”、“畳床架屋”、“粉身砕骨”、“赴湯蹈火”、“前仆后継”、“奴顔婢膝”等は、古典作品や古代から伝わる辞句の中から得られたものである。
・一鼓作気 yi1gu3zuo4qi4 張り切って、一挙に物事を成し遂げる
・未雨綢繆 wei4yu3chou2mou2 雨が降らぬうちに窓や戸を修繕する。転ばぬ先の杖(“綢繆”は囲み塞ぐこと)
・水落石出 shui3luo4shi2chu1 水落ちて石出づ。物事の真相が明らかになる
・山窮水尽 shan1qiong2shui3jin4 窮地に陥る。途方に暮れる
・隔靴掻痒 ge2xue1sao1yang3 靴を隔てて痒い所を掻く。言葉ややり方が不徹底でもどかしいこと。
・虎頭蛇尾 hu3tou2she2wei3 初めは盛んだが、終わりは振るわない。竜頭蛇尾。
・膠柱鼓瑟 jiao1zhu4gu3se4 琴柱(ことじ)に膠(にかわ)す。(琴柱を膠で固定すると調律を変えることができないことから)物事にこだわって、融通のきかないたとえ。
・畳床架屋 die2chuang2jia4wu3 屋上屋を架す。無用なことを重ねてすること。
・粉身砕骨 fen3shen1sui4gu3 粉骨砕身する。ある目的のため、身命を惜しまず努力すること。
・赴湯蹈火 fu4tang1dao3huo3 水火も辞せず。どんな苦しみや危険も恐れないこと
・前仆后継 qian2pu1hou4ji4 前の者が倒れたら後の者が続いて行く。先人の屍を乗り越えて行く
・奴顔婢膝 nu2yan2bi4xi1 卑屈にこびへつらう
口頭から伝わったもの。例えば、“七手八脚”、“改頭換面”、“南腔北調”、“得過且過”、“一不作二不休”等である。また多くの人々が成語構造の規律に基づき作って来たものがある。例えば、“呆頭呆脳”、“昏頭昏脳”、“東揺西擺”、“東拼西湊”、“歓天喜地”、“咒天罵地”、“有条有理”、“無知無識”等である。
・七手八脚 qi1shou3ba1jiao3 誰もかれもが一度に手を出す。寄ってたかって何かをする。
・改頭換面 gai3tou2huan4mian4 内容はそのままで、うわべだけ変えること
・南腔北調 nan2qiang1bei3diao4 なまりがひどい共通語。南北各地の方言が入り混じっていること。
・得過且過 de2guo4qie3guo4 (1)その場限りのことをしてお茶を濁す。その日暮らしをする。(2)(他人の過失を)深くとがめず、できるだけ大目に見る。
・一不作二不休 yi1bu4zuo4, er4bu4xiu1 やり出したからには手を引けない。乗りかかった船。
・呆頭呆脳 dai1tou2dai1nao3 頭が鈍感である。間の抜けたさま。
・昏頭昏脳 hun1tou2hun1nao3 (1)ぼんやりしている。頭が混乱している(2)間が抜けている
・東揺西擺 dong1yao2xi1bai3 足元がしっかりしていなく、安定していない。思想、考えが固まっておらず、動揺しやすいこと
・東拼西湊 dong1pin1xi1cou4 (1)方々から寄せ集める(2)無理算段する
・歓天喜地 huan1tian1xi3di4 大喜びする。狂喜する形容
・咒天罵地 zhou4tian1ma4di4 口から出るまま、わめき散らす
・有条有理 you3tiao2you3li3 物事の筋道が通っている
書面から来たものであれ、口頭から伝わったものであれ、成語は総じてたいへん強い固定性を持っており、変更がきかない(“一成不変”)。
いくつかの成語は、その中にめったに見ない(“生僻”sheng1pi4)、或いは難解(“晦渋”hui4se4)な字を含むので、一般の人は容易に理解できず、一部を変えることがある。例えば、元々“屡戒不悛”lv3jie4bu4quan1(何度注意しても改めない)であったものが“屡戒不改”(“屡教不改”ともいう)に改められた。元々“揠苗助長”ya4miao2zhu4zhang3 (苗を引っ張って伸ばす。功を焦って方法を誤り、失敗すること)であったものが“抜ba2苗助長”に改められた。
修辞の必要から、元の成語を新しく作り変えたり改造し、それにより新たな意味を表すこともある。例えば、“走馬観花”(“走馬看花”馬を飛ばして花見をする。大ざっぱに物事の表面だけ見ること)は“下馬観花”(“下馬看花”馬から降りて花を見る。じっくり観察し、調査・研究すること)に作り変えられた。“知難而退”(困難だと知って退く)は “知難而進”(困難だと知りながら進んでそれをやる)に作り変えられた。“能者多労”(有能な人ほど多く働く)は“労者多能”に作り変えられた。“挙一反三”(一つの事から類推して多くの事を知る) は“挙一反十”(一を聞いて十を知る)に作り変えられた。同時に、社会の発展や情勢の要求により、多くの語句が新たな成語になる趨勢が現れた。例えば、“又紅又専”、“百花斉放”、“求同存異”、“分秒必争”、“虚実并挙”、“両条腿走路”等である。成語の創造も、語彙が豊富となる一つの源泉である。
成語の構造も多種多様で、連合式と非連合式の二種類に大きく分けることができる。
■ “連合式”(“聯合式”)というのは、二つの語素や語句が並列融合して構成されることをいう。
連合式の成語も多種多様で、おおよそ、陳述的連合式、支配的連合式、附加的連合式の三種類に分けることができる。
“陳述的連合式”は、二つの“陳述式”の語句を結合させて構成されるもので、例えば、“天翻地覆”、“煙消雲散”、“興高采烈”、“風平浪静”、“瓜熟蔕落”、“苦尽甘来”等である。
■ “陳述式”というのは、語素の間に陳述と被陳述の関係があるものをいう。この形では、前の語素が陳述される対象であり、後ろの語素が陳述部分である。例えば、眼花、心虚、胆怯、心細、性急、年軽がそうである。
・天翻地覆 tian1fan1di4fu4 (1)極めて重大な変化(2)上を下への大騒ぎ。てんやわんやの大騒ぎ
・煙消雲散 yan1xiao1yun2san4 雲散霧消する。霧散する
・興高采烈 xing4gao1cai3lie4 上機嫌である。大喜びである。有頂天である
・風平浪静 feng1ping2lang4jing4 風はなぎ、波も静かである。何事もなく平穏である
・瓜熟蔕落 gua1shu2di4luo4ウリは熟れればへたから落ちる。条件が熟せば自然に成功すること
・苦尽甘来 ku3jin4gan1lai2 苦が尽きて楽が来る。苦労をし尽くして楽な背勝が始まる
“支配的連合式”は、二つの“支配式”の語句を結合させて構成されるもので、例えば、“提綱挈領”、“耀武揚威”、“発号施令”、“指天画地”、“有条有理”、“貪小失大”、“棄暗投明”、“避重就軽”、“畏首畏尾”、“患得患失”、“懲前斃后”等である。
■ “支配式”というのは、語素の間に支配と被支配の関係があるものをいう。この形では、前の語素が動作、或いは行為を表し、後ろの語素が動作、行為の支配する対象を表す。例えば、帯頭、動員、簽名、耐労、示威、挙重、傷心、吹牛、知己、監工、司令がそうである。
・提綱挈領 ti1gang1qie4ling3 綱を取る時は大綱を、衣服を取る時は襟を。問題の要点をつかむこと。
・耀武揚威 yao4wu3yang2wei1 武力を誇り威勢を示す。武力を笠に着て威張り散らす
・発号施令 fa1hao4si1ling4 命令を下す。指示を出す。号令をかける
・指天画地 zhi3tian1hua4di4 誰にも気兼ねせず話をする=“目中無人”
・貪小失大 tan1xiao3shi1da4小さな利益をねらって大きな損をする
・棄暗投明 qi4an4tou2ming2 暗きを捨てて明るきに投ずる。反動集団から離れ、革命的組織に参加するたとえ
・避重就軽 bi4zhong4jiu4qing1 重要な点を避けて二次的なものを取り上げる。きつい仕事を避けて楽な仕事をする
・畏首畏尾 wei4shou3wei4wei あれこれ気兼ねする。ああでもない、こうでもない、と思い切りが悪いこと
・患得患失 huan4de2huan4shi1 個人の損得にばかりこだわる
・懲前斃后 cheng2qian2bi4hou4 前の誤りを後ろの戒めとする
“附加的連合式”は、二つの“附加式”の語句を結合させて構成されるもので、例えば、“深謀遠慮”、“暴風驟雨”、“左顧右盼”、“前思后思”、“一暴十寒”、“千山万水”、“四分五裂”、“四通八達”、“千秋万歳”、“昏天黒地”、“半生半熟”、“昏頭昏脳”、“粗枝大叶”、“七手八脚”等である。
■ “附加式”というのは、語素の間に附加修飾の関係のあるものをいう。この形では、常に前の語素により、後ろの語素を修飾、制限する。したがって、語句の構成上、後ろの語素が主となる。例えば、紅旗、草図、壁画、内部、駝毛、火車、単干、狂歓、粗心、熱愛、筆談、晩会、深入、春耕、秋収、四季がそうである。
・左顧右盼 zuo3gu4you4pan4 (1)左を見たり右を見たりする。きょろきょろ見回す(2)あたりの情勢ばかりうかがって、決断できないこと
・一暴十寒 yi1pu4shi2han2(発音に注意)1日日光に当て10日冷やす。努力が長続きしないこと
・千山万水 qian1shan1wan4shui3 道が険しく遥かに遠いこと
・千秋万歳 qian1qiu1wan4sui4 千年万年。歳月のたいへん長いこと。
・昏天黒地 hun1tian1hei1di4 (1)外が暗い(2)意識がぼうっとする(3)ふしだらな生活(4)社会の秩序が乱れている
・半生半熟 ban4sheng1ban4shu2 (1)半熟。生煮え(2)不慣れだ。未熟である
・粗枝大叶 cu1zhi1da4ye4 大ざっぱである。いいかげんである
この他、四つの語素が並列した連合式があり、例えば、“青紅白”、“生老病死”、“魑魅魍魎”等がある。
・青紅白 qing1hong2zao4bai2 理非曲直。道理や道徳にかなっていることと反していること。“不分青紅白”:理非曲直を問わず。有無を言わさず。“”は黒色のこと。
“非連合式”の成語も多種多様である。(連合式が、二字の語句を並立させているのに対し、非連合式では、四字で一つの語句を形成している。)
例えば、“胸有成竹”、“名副其実”、“狐假虎威”、“人心大快”、“笑容可掬”、“坐立不安”、“啼笑皆非”、“左右為難”、“老少無欺”等は、皆、“陳述式”の構造に属している。
・胸有成竹 xiong1you3cheng2zhu2 胸に成竹(せいちく)あり。前もってちゃんとした考え(方法)がある
・笑容可掬 xiao4rong2ke3ju1 笑顔が晴れやかである・啼笑皆非 ti2xiao4jie1fei 泣くに泣けず、笑うに笑えない。進退極まり、どうしてよいか分からない
“好為人師”、“視為畏途”、“別開生面”、“飽経風霜”、“莫衷一是”、“莫名其妙”等は“支配式”の構造に属する。
・好為人師 hao4wei2ren2shi1 人の師になりたがる。知識をひけらかしたがる
・別開生面 bie2kai1sheng1mian4 新境地を開く
・飽経風霜 bao3jing1feng1shuang1 つぶさに辛酸をなめる
・莫衷一是 mo4zhong1yi1shi4 一致した結論に達することができない。意見がまとまらない
“勃然大怒”、“恍然大悟”、“百折不撓”、“層出不窮”、“一孔之見”、“一得之愚”、“不労而獲”、“不約而同”等は“附加式”の構造に属する。
“嫁禍于人”、“問道于盲”等は、“補充式”の構造に属する。
■ “補充式”というのは、語素の間に補充説明の関係があるものをいう。この種の語では常に後ろの語素により前の語素を補充説明する。全体の語義の構成上、第一の語素が主となる。
例えば:認清、説明、改正、打倒、提高、抓緊、看透、降低、推翻、煽動、縮小、放大、打動、変成。
これらの語句は何れも動詞であるが、前の成分が動作を表し、後ろの成分が動作の結果や趨勢、傾向を表す。
この他、いくつかのその他の構造の成語がある。例えば、“利令智昏”、“請君入瓮”、“引狼入室”、“指鹿為馬”等である。
・利令智昏 li4ling4zhi4hun1 欲得は頭をぼんくらにさせる。欲に目がくらむこと
・請君入瓮 qing3jun1ru4weng4 自分の案出した方法で、却って自分自身が懲らしめられること。(唐代、則天武后の命を受けた来俊臣が周興を取り調べるに当たり、周興をわざと招いて、「罪を認めない犯人をどうすればよいか」と尋ねた。周興が「犯人を炭火で炙った大がめ(“瓮”)に入れれば良い」と答えたところ、来俊臣はそのように瓮を用意し、「どうぞあなたがこの瓮にお入りください」と言い、周興に罪を認めさせた故事から)
・引狼入室 yin3lang2ru4shi4 狼を部屋に案内する。敵や悪者を味方の内部に引き入れて災いを招くたとえ。
・指鹿為馬 zhi3lu4wei2ma3 鹿を指して馬と言う。是非を転倒する。(秦の丞相趙高が謀反をたくらみ、群臣を試すため、二世皇帝に鹿を見せてこれは馬だと言った。二世は側にいる臣下に丞相が鹿を馬だと言ったが間違いではないか、と尋ねたところ、ある者は馬だと言い、ある者は鹿だと答えた。鹿だと答えた者は、後で全員趙高に殺された、という故事から。日本語の「馬鹿」はこの故事から出ているという説もある)
成語の構造からみて、中国語の成語には二つの特徴があることがわかる。
第一、中国語の成語には多種多様な類型があるが、大多数は四字で構成されており、すなわち四つの音節の形式を採っており、“四字格”と呼ばれる。四つの単音語素か或いは二つの双音語素(二音節の語素)を用いて、こうした四つの音節の整った形式を構成している。語彙(“詞滙”)の中で、語(“詞”)の双音化と成語の四音化は、正に中国語語彙の一つの特徴である。
第二、成語の類型の多彩さ(“豊富多彩”)は、正に中国語の語彙が極めて豊富であることを説明しており、中国語の修辞手段も極めて豊富で発達している。
【原文】胡裕樹主編《現代漢語》重訂本 上海教育出版社1995年
以上述べてきた成語の使い方については、次回、紹介する。
胡裕樹主編《現代漢語》重訂本は日本語で書かれた本なのでしょうか。それとも、稲賀様の翻訳なのでしょうか。
私が訳しました。
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胡裕樹主編《現代漢語》对我近年来教日本人中国语帮助很大。现在又从您的博客学习日语翻译。再次感谢您。
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