カエサルの言葉＜見たい現実しか見ない＞

三井不動産会長岩沙弘道氏が日経ビジネス氏に紹介していた文より引用です。

ー　ローマの英雄カエサルは＜一般の人は見たい現実しか見ない＞と言いました。しかしリーダーは、問題から目をそらしてはいけない。・・・社長就任後はバランスシートの問題処理に正面から取り組みました。　ー

見たくない現実は、見ても、何ら解決策をとらないので、見えないと同じということでしょう。
不都合な現実を見ないということです。

ある講習会での題が、＜ひとは聞きたいようにしか聴かない＞でした。聞いた内容は、省略されて歪曲されて一般化されているということです。話す人の前提や知識と、聞く人の前提や知識とは、隔たりがあります。聞いた内容を完全に咀嚼して理解するのには、無理があります。興味や関心を持つ面が、人によって様々です。省略されて歪曲されて一般化していくのでしょう。

人は思っていることしか話さない。
人は感じたいことしか認知しない。

これは、私が作った言葉です。

私を気遣って助言してくれた言葉を、その時点で認知して、私の生き方に活かすことができていたらとの後悔を込めています。向上心があり、素直の気持ちがあれば、見て聴いて認知できるはずです。

　

元ヤクルト宮本慎也氏の＜意識力＞

元ヤクルト宮本慎也氏は、今年から野球解説者として活躍しています。私は存じ上げなかった方なのですが、解説している内容が深いと感じていました。

宮本慎也氏の書いた＜意識力＞を読みました。野球関係の話題が多いでのすが、我々にも参考になる教訓が書いています。

結果が出ない時に心掛けていたことは、＜できることをきちんとやる＞ということだった。野球だったら、基本に立ち返ること。・・・誰でもできることを本気で取り組むのだ。

レギュラーになれる選手とそうでない選手の間には大きな違いがあると思っていた。それは、失敗への対処の仕方だ。レギュラーになれない選手は、自分のスタイルにこだわるあまり、変わることができない。・・・失敗を認めなければ、成長は止まってしまいます。失敗を認めて初めて、矢印は自分に向かう。失敗を取り返せるのは自分自身しかないのだから。

プレッシャーがあるから、準備を入念にしようと思える。できる限りの準備をして、それでも結果が出なかったらまた＜準備が足りなかった＞と思うことができる。自分に満足してしまった時点で、成長は止まってしまうのだ。

＜言い訳は進歩の敵である＞

これは、痛烈な言葉です。成長している人間は、言い訳は言わない。反省し準備を完璧にするのでしょう。

　

変える勇気・変えない冷静さ・識別する知恵

今週の日経ビジネス誌において、榮太楼総本舗会長細田治氏が＜ニーバーの祈り＞を紹介しています。

米国マサチューセッツ州の神学者ラインホールド・ニーバー氏の言葉は次ぎの通りです。

＜神よ　変えることのできるものについてそれを変えるだけの勇気を我に与えたまえ。

変えることのできないものについてそれを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、変えることのできるものと変えることのできないものとを識別する知恵を与えたまえ。＞

変える勇気と変えない冷静さ、そして識別する知恵。人が生きる上で持ちたい力、それはビジネスの世界でも求められます。伝統と革新は相反するものではありません。商いとは時代対応業。何より大切なのは、お客様の価値観を常につかんでいくことです。

私は、変えるべきものを変えることの難しさを痛感しております。怠けて、変えない選択をすることがありがちです。ですので、意志的に変える勇気を持とうと努めていました。

しかし、＜ニーバーの祈り＞には、変えない冷静さと同列に評価しているのが新鮮でした。

細田治氏に＜商いとは時代対応業。何より大切なのは、お客様の価値観を常につかんでいくことです。＞も、さすが老舗の社長の言葉です。本質を突いていると思います。

時代に対応していること、お客様が求めているこに変革していけばこそ、生き残れるのですね。

　

歳を取ったら、＜きょうよう＞と＜きょういく＞が大事

最近続けざまに、人生の先輩方が教えてくれました。歳を取ったら、＜きょうよう＞と＜きょういく＞が大事だと。

何を突然言い始めたのかと、思ったのは勘違いでした。てっきり、＜教養＞と＜教育＞と思ったからです。

＜きょうよう＞とは、今日する用事のことです。＜きょういく＞とは、今日行く所です。

歳を取ると、毎日が日曜日です。やることが、皆無です。

退職すると、今日する用事も今日行く所もない生活になって、生活が単調になるという弊害が生じます。

この弊害を防ぐために、また人に会い話し脳に刺激を与えるるために、今日する用事と今日行く所が大事ということです。

孤独では、感動も刺激も少ないです。

駄洒落とも笑い話だとも言い切れないような感じがします。<今日用>と<今日行く>に価値があります。


　

日本臨床矯正歯科医会の例会へ出席

日本臨床矯正歯科医会6月例会が東京で開催されました。私も参加しました。岩国に空港ができ、東京まで一っ飛びで来れます。以前に比べて、東京へ来るのが、苦ではありません。

この会の構成員は、矯正歯科で専門開業している矯正歯科医師で、経験年数も5年以上の方となっています。同質の構成員ですので、当面の課題や関心事が共有できて、私には安心感のある集まりです。同質性が、持ち味です。

今回、日本歯科材料工業協同組合の小川清史理事が薬事法に関して、講演されました。矯正歯科材料業者とは隣接業界ですが、矯正歯科医師とは視点が違います。我々の盲点を指摘されたり、海外情報を提供されたり、厚労省の指導の背景を説明したり、時事的な最新情報を知らせてくれたり、私にとって役に立つ情報が盛りだくさんの提供でした。ある意味で、異質性に存在感がありました。

迷いに迷った人生を送ってきた私です。現在は、矯正医としての自分の立ち位置が、朧げながら明瞭になってきました。悲しいことに、自分との同質性に親近感を持つ一方で、異質性に無関心になりがちです。これが現実です。

無駄のない時間で判断したいのは、山々です。しかし、情報源が同質者だけからに限定されると、視野が狭くなりがちです。自分に都合の良い情報だけが、耳から入り易いのも、事実です。聞きたいことだけを聴くのが人間です。

異業種の方の情報の大半は、一見自分には関係無いようにも思います。異業種の方の膨大な情報の中で、自分に関係のある情報は何かと選別する鋭い感性も必要です。得てして異質性な情報こそが、自ら起動修正させるための貴重な情報になること痛感しました。あくまで、視る視点は、良き治療をするため、良き人生を送るため、です。