岩国矯正歯科クリニック(山口県)院長の矯正日記

院長が、健康・矯正に関すること、日々の出来事などを綴っています。

日本矯正歯科学会の「ある議論」

2018-11-22 11:33:04 | 矯正歯科に関すること
 今年の慶事に、本庶佑京大名誉教授がノーベル医学・生理学賞を受賞されたことを挙げられます。本庶佑氏が宇部高校出身と知り、親近感を覚えます。研究に対する姿勢は厳しいのでしょう、インタビューでの発言は過激な内容を含んでいました。。

「『ネイチャーやサイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割。』まず、論文に書いてあることを信じない。自分の目で確信ができるまでやる。それがサイエンスに対する基本的なやり方。つまり、自分の頭で考えて、納得できるまでやるということです。」

 日本矯正歯科学会のとあるセッションでこの文を引用して、ある米国の論文に関して議論していました。「『ネイチャーやサイエンスに出ているものの9割は嘘』なのだから、学会誌に掲載されている論文では、もっと疑ってかかろう。」という気持ちがあるのでしょうか、結論を導く方法を批判する方が質問していました。割と米国での主張を取り入れる傾向にある日本では、珍しいと光景でした。

「長いものには巻かれろ」という気持ちもありますが、心の中ではガリレオの「それでも地球は回っている」と主張を曲げない感じですかね。

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矯正学会のアライナー型矯正装置の推奨例と非推奨例

2017-03-06 18:34:29 | 矯正歯科に関すること
矯正歯科の最大の学会である日本矯正歯科学会からアライナー型矯正装置の使用指針が出ました。今までは、アライナー型矯正装置の利用に関して会員が手探りでした。

推奨例と非推奨例とは、次ぎの通りです。

【推奨される症例】
1) 非抜歯症例で、以下の要件を満たす症例
・軽度の空隙を有する症例 ・軽度の叢生で歯列の拡大により咬合の改善が見込まれる症例 ・大きな歯の移動を伴わない症例
2) 矯正治療終了後の後戻りの改善症例
3) 抜歯症例であっても歯の移動量が少なく、かつ傾斜移動のみで改善が見込まれる症例
4) 金属アレルギーを有する症例

【推奨されない症例】
1) 抜歯症例
・犬歯が遠心傾斜している症例
・前歯部が大きく舌側傾斜している症例
・歯の大きな移動を必要とする症例
・大きな回転、圧下・挺出を必要とする症例
・患者の協力度が低い症例
2) 乳歯列期、混合歯列期で顎骨の成長発育や歯の萌出の正確な予測が困難な症例
3) 骨格性の不正を有する症例

日本矯正学会から指針の中には、診断と治療計画、治療における留意点、施設基準と術者の資格、リスク対策などが掲載されています。

マルチブラケット装置を嫌がる患者さんへ、アライナー型矯正装置を勧めることがありえます。手軽さと審美性に勝る利点はありますが、治療の仕上げまで達し、保定後までに咬合を長く維持するには、難点がありえます。日本矯正学会所属の矯正歯科医だけでなく。広く歯科医に衆知されることを、望みます。

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最新 アメリカ矯正事情 インビザライン編

2017-02-17 13:36:57 | 矯正歯科に関すること
アメリカ国内で開業している著明な矯正専門歯科医から教えてもらった話です。

彼自身でも症例を選んで、インビザラインを使用して治療しています。非抜歯症例だけでなく、便宜的に抜歯をした場合もあるとのことです。一方で、一般開業医や他の矯正専門歯科医がインビザラインを使用して患者さんの後戻りを、ブレイスで治療していることも多々あります。

彼は専門家ですので、患者さんがインビザラインを希望しても、その歯並びには適切でない治療と説明し、了解を得られるほど信頼感がある方です。また、その歯並びに適切である場合には、インビザラインを用い治療をしています。

つまり、歯の並び方だけでなく、周囲組織や咬合の状態まで、所定の診断をちゃんとしているということです。

不正咬合を診断してインビザラインを用いるのが不適切か、適切かの見極めの甘い歯科医師や矯正歯科医が、インビザラインをいることが分かります。

彼は、最後こんなことを話していました。自分は矯正歯科の専門家として、最後の砦となるように、後戻りをした症例をブレイスで治療しています。他医院で以前に治療したことのある再治療であっても、新規に始める方と同様に、報酬も患者さんに提示してますがね。

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矯正歯科 VS 美容審美歯科

2015-05-22 18:04:28 | 矯正歯科に関すること
5月21日の朝、私はテレビを見ていました。TBS系列の情報番組で、 大手S美容審美歯科を訪れる人にお願いしたアンケートに基づき番組を制作していました。

歯のどこを治療したいと思って、S美容審美歯科を訪れたかというアンケート・ランキングです。

1位 歯を再建したい。(捻転している上顎両切歯を削って、根治して、審美的な補綴物を装着する)
2位 歯並びを良くしたい。(マウスピースを入れて、短期間で矯正する)
3位 出ている歯茎を直したい(笑った時に見える上顎前歯の歯肉の量を減らすために、歯頸部の歯肉を5mm程度切除して、根治して、マージンを歯根側に5mm程度移動させて、審美的な補綴物を装着する)
4位 歯を白くしたい。(オフィス・ブリーチで、1時間半程度で歯を白くする)

どのケースも自費診療で、比較的に短期間に患者さんの要望に添う治療でした。ホワイトニングの治療は、一般的方法だと思いました。

1位、3位、4位の症例は、術前、治療中、術後の状態を放送していました。

しかしながら、<マウスピースを入れて、短期間で矯正する症例>に関しては、唯一治療後の状態を映像で出していません。

私の見た限り、上顎前突で、便宜抜歯が必要なケースです。それを非抜歯のまま、マウスピースを入れただけで、場合によれば1ヶ月で治ると説明していました。

短期間で歯並びを治したいという患者さんの要望に添う営業方針なんでしょう。しっかりと適切な症例を選択して治療をして欲しいと感じたのは、田舎の矯正歯科医だからなのしょうか。

都会では、ウエディング矯正やスピード矯正なるものをアピールして、間近に迫った結婚式までに短期間で綺麗な歯並びになりましょうというのを聞いたことがあります。都会には、いろんな矯正歯科の需要があるのが事実でしょう。

しかしながら、・・・・・・・

手前味噌、自己の正当化、あるいは言い過ぎになるので、私の主張は控えます。

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日本矯正歯科学会のHPのガイドライン

2015-03-09 17:07:56 | 矯正歯科に関すること
公益社団法人 日本矯正歯科学会のHPのガイドラインが通知されました。従来、医療広告法と厚労省のガイドライン(平成24年9月)が定められていました。現在、厚労省のガイドラインではHPは広告の範疇ではないとされています。

今回、日本矯正歯科学会としてのガイドラインが発表され、会員だけでなく会員が非常勤で勤務する医療機関でも遵守を求められています。

その中で、【治療方法および矯正治療装置の掲載】の部分の5項目中の4項目の部分に、私は注目しました、

<1~3、5は省略>
4.学術的に不適切と思われる治療法や装置の説明ならびに用語は掲載すべきではない。
例)ブライダル矯正、スピード矯正、プチ矯正

このような過激なネーミングには、HPの閲覧者に強い印象を与える動機が推察されます。その場合は、広告や宣伝と扱うという事でしょう。HPにも、学問的な裏付け、倫理性、歯科医師としての品格が問われています。

学会がHPに関して見解を公表して、会員に注意を促しています。広く衆知されることを、期待します。

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