和泉の日記。

気が向いたときに、ちょっとだけ。

5番目のマキオ:2

2007-12-02 20:35:45 | 小説――「RUMOR」
深夜――24時、少し前。部室に4人が集まった。
「みんな遅い!ロアは待ってくれないんだからね!?」
一番乗りの小麦は、当たり前の様にノリノリだ。
っていうか。
「・・・パジャマ?」
「ん?なーに?ハル君」
「パジャマ、だよな」
「うん、パジャマ。何か文句ある?」
見事に、パジャマだった。
水色でヒラヒラした、だけど少し暖かそうなワンピースタイプ。
さすがにそれだけじゃ寒いのか、上から赤のカーディガンを羽織っている。
「文句はないけど・・・なんで?」
「んー、さすがにこの時間に外出って親に言えなくて。窓から抜け出してきたのよ!」
小麦は、悪戯っ子のように笑った。
「お前、窓からって」
確か、小麦の部屋は、2階だったはずだ。
・・・馬鹿って凄い。
それでも寒いだろうとか靴はどうしたんだとかその格好でバトる気なのかとか。
突っ込みたいことは山ほどあったが、僕はもう諦めることにした。
「さ、行きますよ」
最終的には、その委員長の号令に従う形で僕らは体育館へと移動することになった。
やっぱり二条は委員長気質だ。
それが分かってるからこそ、生徒会長選挙の際には僕も清き一票を投じたのだけど。
「委員長の仕切りだと、俺としても楽で助かるわけよ」
「あんたそれでも顧問ですか」
「ケッケッケ」
僕の全力の冷たい突っ込みに、伊崎先生は有り得ない嗤い声で返してきた。
この人はもう、ダメだと思った。

夜の体育館は、異様に広い。そして寒い。
学生服で大丈夫だろうと思っていたけど、軽いコートくらいは必要だったかもしれない。
小麦みたいに、テンションだけで暑さ寒さを感じなくなる人間の方が異常なのだ。
「さて、それでは早速、初期配置についてですが――」
体育館のおおよそ北側がステージ、南が入り口という間取り。
北東の角をA、南東をB、南西をC、北西をDとする。
「――ということで、皆さんA~Dの中でご希望はありますか?」
チョイ待ッた、と言い、伊崎先生が挙手をする。
「て言うかさ、灯りは付けねーの?」
「・・・先生、考えて発言してくださいね?」
「うわ、酷ッ。そのリアクション酷ッ」
この話のポイントである「暗闇」を理解してない発言をする先生もどうかと思うが。
取り敢えず、流そう。ひとつずつ突っ込んでいったらきっと身が持たない。
「委員長、僕はAのポジションでいいかな」
と、僕は自分の初期配置を提案した。
「構いませんよ。あ、できれば私はDが良いのですが」
――D、か。やっぱりそう来る、、、、よな。
「先生と神荻さんは、どうですか?」
「あたしはどこでもいいよ。ロアが出るなら」
「俺もどーでもいいや」
先生の場合は、やる気がないだけのような気がする。
「では、神荻さんはB、先生はCでお願いします。それから――」
きっ、と、そこで何故か小麦を睨む。
「神荻さんは、戦闘には参加しないで下さいね」
「な――」
と、僕が突っ込もうとした刹那。
「嫌よ。あたしだって闘う」
素早く、小麦が切り返した。口調は至って冷静だ。
・・・もっと、キレるかと思ったんだが。
「っていうか、むしろいいんちょさんが引っ込んでればいいのよ」
――早速だが、前言撤回。
うん、コイツ、間違いなくキレてるよ。めっちゃ睨んでるし。鼻息荒いし。
ま、そりゃそうか。なんたって、小麦だしな。
しかし、委員長も負けていない。
「いいえ、ここは引きません。神荻さん、あなた――怪我してるでしょう」
「何のこと?」
「とぼけないで頂けますか。先日の切断魔ジャック・ザ・リッパーの件を、私が知らないとでも?」
ニッ、と勝ち誇ったかのような笑みを浮かべ、委員長は挑発する。
そうか、その手で来たか。
つまり。
委員長も、ロアと闘いたいのだ。
おそらくは、小麦と異なる理由で。
「右手、骨折していたでしょう?そんな状態で参戦されても足手まといです」
「小麦、お前・・・」
そこで、伊崎先生が意外そうな顔をした。
そいえば、この人は知らないんだったっけ。小麦が見得張ったせいで。
「あー、まぁ、うん・・・折れたね」
渋々ながら、認めた。が、しかし。
「でも!あれはある意味事故だからね?楽勝だったのは本当だし」
ね、ハル君っ!とそこで僕に振ってくる。
やめてくれ。そんなタイミングで僕に振るのは。
あー、3人の変な視線を感じる。
僕は、仕方なく、軽く目を逸らしながら答えた。
「あぁ、確かに楽勝だったな。結局、蹴り一発で倒したし」
「そんなこと、どうでもいいんです」
じゃあ最後まで聞くなよ。途中で止めてくれたっていいじゃないか畜生。
僕は少しだけ、哀しくなった。
「問題は、今あなたが怪我をしているという事実でしょう」
「は?」
きょとんとする小麦。
そう。
小麦にすれば、きょとんとする他ないだろう。だって――

「そんな怪我モンとっくに治ってるわよ、、、、、、、、、、

2人は、声を失う。
やむを得まい。あの事件から、まだ1週間も経っていないのだ。
骨折がその僅かな間で完治するはずがない、と思っているに違いない。
2人はまだ、小麦のことを、分かっていない、、、、、、、んだ。
「そんな、いくらあなたでも、そんな馬鹿なことって・・・」
動揺する委員長。
うん、らしくない。
あまりにらしくない表情に、僕はちょっとばかりゾクリとする。
平たく言うと、萌えた。
「本当よ。ほら、見て見て。なんなら触ってもいいわよ?」
小麦は自らの右手をヒラヒラと振ってみせる。
2人は、その手をまじまじと見つめたが――すぐに本当であると理解したらしい。
順応力が高いことで。僕なんか、最初は全く信じなかったけどな。
――小麦の回復能力は、異常なまでに高い。
それはあくまでも、対ロア戦で負った負傷に限定されるのだけれど。
切り傷程度ならその場で、骨折でも丸1日あれば完治してしまう。病院要らずだ。
はっきり言って、小麦は死なない。
だから、小麦は強い、、のだ。
「分かった?分かったら、あたしも闘うからね」
むう、と小さく唸りながらも、それ以上誰も反論はしなかった。
代わりにと言っては何だが、小麦も委員長が闘うことを拒絶はしなかった。
無事、共闘の同盟を結んだと言えよう。
上出来、上出来。

結局。
最初の案の通り、A-僕、B-小麦、C-先生、D-委員長という配置となった。
僕からスタートし、最後の委員長が――居る筈のない5人目の肩を叩くことになる。
・・・まさに、委員長の計画通りだ。
そして。
「じゃあ、始めます!」
委員長の号令に従い、僕らはスクエアを開始した。
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5番目のマキオ:1

2007-11-17 20:58:44 | 小説――「RUMOR」
秋も深まり、随分と寒く感じられるようになったある日の放課後。
天文学部員、二条三咲にじょうみさきが言った。
「気になる噂を耳にしたので、少々調べてまいりました」
噂――ここでいう噂とは、所謂都市伝説フォークロアに限定される。
なぜならば、ここは天文学部部室であり僕らはその部員であるからだ。
――説明になってない、なんてことは僕が一番よく分かってる。
そこで、彼女は何故かちらりと僕の方を見た。
「こういうことは、柊君の役目かもしれませんけれど。怒らないで下さいね」
そんなことはどうでもいい。
というか、それで怒ったら僕が調査しか出来ないみたいじゃないか。
調査しか出来ないんだけどさ。
取り敢えず僕は、気にすることないさ委員長、とだけ言っておいた。
「私は委員長じゃありません」
そうかそういえば今期はもう委員長じゃないんだったね――と、
分かりきったことを言う。
「――で?で?何か面白いことでもあったの?いいんちょさん」
小麦は既に乗り気だ。その隣で香気アロマをふかす伊崎先生も、ニヤニヤしている。
この人たちは即座にトップギアだからね。尊敬するよ、ホント。
「まったく、相変わらず人の話を聞かないんだから――概要は、こうです」
そして、やや低目のトーンで、委員長改め生徒会長は語り始めた。

ある日、我が校の恥とも言うべき不良が4名、夜中の体育館で
たむろしていたそうです。馬鹿なことに、お酒を飲み、タバコなど吸いながら。
そこで、その中の一人がこういう話を持ち出したのですよ。
スクエアをやろう、と。
――スクエア、ご存知ですか?
まず、ひとつの部屋の4隅に各一人配置スタンバイします。
そうですね、部屋の4隅をそれぞれ角A、B、C、Dとし、それぞれに不良W、X、Y、Z
が陣取ることにしましょう。
まず、不良Wは角Bへと歩き不良Xの肩を叩く。肩を叩かれた不良Xは角Cへ移動して
不良Yの肩を叩く。
これをA、B、C、D、A・・・と繰り返し、グルグルと回り続けるという、
降霊術の一種です。
もうお分かりでしょうけど、これは絶対に1周で終わるのですよ。
最後の不良Zは角Aへ移動しますが、既に不良Wは角Bへ移動済みなのですから。
角Aには誰も居ない。
だから、これは論理的に絶対に続かない。
だけど――これが、続いてしまった、、、、、、、
じゃあ、誰も居ないはずの角Aにいたのは、誰でしょう?

「ロアね!」
話を聞き終えた小麦は、嬉々としてそう言った。
だけど。
「小麦」
「何?」
「今の話、分かってないだろう?」
「分かってるわよ。体育館で4人でグルグル回ったらロアが出るんでしょ?」
やっぱり分かってねぇ。いや、ある意味分かってるのか?
「神荻さんの言う通り、ロアでしょうね」
僕らのやり取りの後半部を華麗に無視して、二条は言った。
「ここからが、私の調査内容。今回のキーパーソンは、誰が何と言おうと
 ――不良Zです。
 彼は確かに、角Aで誰かの肩を叩いたのだそうですよ。それも、何回も。
 最初は、不良Wが悪ふざけしているのだと思ったのだそうです。
 体育館の中に灯りはなかったらしく、余程目を凝らさないと誰が誰だか
 分からなかったみたいで。
 ・・・でも、冗談にしてはくどい。
 それに、何より・・・体が、ちょっと小さかったのだそうです」
「それは・・・どれくらい?小学生くらい?」
身を乗り出して、小麦が問う。
「ええ、小学生高学年か中学生くらい、だそうです。曖昧な感想ですが」
「子供のロア、か」
そういえば、僕らにとって子供のロアは初めてだった。
「――継続するスクエアに、さすがに4人はおかしいと思い始めた。
 そして、誰かが声を上げたのだそうです」

マキオがいる、、、、、、

ぞくり、と背筋に寒いものが走り、口元が痙攣するのを感じた。
嗚呼――この不条理な恐怖。ワケの分からない不安定こそが。
都市伝説フォークロアって感じ、ね」
小麦は、心底楽しそうだ。
多分、放っておいたら直ぐにでも部室を飛び出して体育館へ向かうことだろう。
しかし、もうちょっと。
もうちょっとだけ、待って欲しい。
「今回は、物騒な話はナシ?」
僕は、少し引っかかったことを質問した。
「ええ、今のところ危害を加えられるようなパターンの話は少ないようですよ」
ということは、危ない噂もないわけじゃない、といったところか。
まぁ都市伝説というのはそういうものだ。
広まっていく中で、細かくバリエーションが分かれていく。
だが、今回の話のキモは、きっとこの不条理さだ。
本当に、マキオは居たのか。
そもそも、マキオって誰だ。
何で、4人の中からその名前が出たんだ。
・・・全て、分からない。
理解できないということより、意味が、意義が分からない。
だから、物騒な話とは縁がないとは言わないまでも出る幕ではないのか。
下手に死人や怪我人が出ると、きっとこの不気味さは伝わらない。

――まだだ。
まだ、足りない。
このハナシには、きっと、もう一段深い領域エリアがある。

僕は思案する。考察する。検討する。
何が足りない?どんな情報が足りない?
そして、僕は――どう動くべきだ?
しかし――そこで、時間切れ。
「よし、じゃあ今夜、この4人で『スクエア』ってのをやるわよ!」
小麦は高らかに宣言した。
この4人――僕、小麦、委員長、伊崎先生。
僕はこの中の責任者である先生に視線を送る。
構わねェよ、と答える彼女と、一瞬だけ目が合う。
たったそれだけで、彼女は。
咥えた煙管キセルに歯を立て、ニヤリと嗤って視線を返してきた。
そして、即座に続ける。
「但し。お前らは一回家に帰るんだ」
「えー?めんどいよ、園絵ちゃん。どこかその辺に夜まで隠れてるからさ」
「うるせェよ。一回帰ッとかないと両親オヤが心配すんだろ?」
小麦が不満げに唸る。
まぁまぁ、神荻さん、私も一度帰ってシャワーくらい浴びたいですし――
と委員長がフォローを入れる。
それでようやく、小麦は納得した。
「よし、なら一旦解散だ。えーと、時間は?」
「24:00くらいだという話でした」
「オーケー、30分前までにここに集合ッてことで」
そして小麦と委員長は、ばらばらと部室を出て帰っていった。
僕は、先生とくだらない話をする振りをしてそれを見送り、
足音が充分に遠ざかったことを確認して言った。
「ありがとうございます、先生」
「なァに、大したことはしてないさ――それより」
「何ですか」
「納得してねェ、ッてなツラだな。今から調べるのか?」
咥えていた煙管を右手に持ち、くるくると器用に回す。
「はい、そのつもりですけど」
「大して時間はねェぞ?本当は明日に引き延ばしてやりたかッたが」
それは多分無理だろう。小麦が絶対に黙っていない。
だけど。
委員長のお陰で、僕の仕事は絞られている。
だから。
僕は、なるべく軽薄そうに、答えた。

「――充分、ですよ」

頼もしいねェお兄チャン――そう言って、先生は上機嫌に微笑んだ。
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放課後の切断魔:4(完)

2007-11-02 18:45:21 | 小説――「RUMOR」
「あら、神荻さん、ひいらぎくん。どうしたの?」
伊崎いざき園絵そのえは、優しく微笑みながらそう言った。
「部活のことでちょっと、お、お話があるのですが、お時間、頂けま、せんか?」
・・・小麦。舌、噛みそうだぞ。外国人かお前は。
伊崎先生は、その小麦の言葉を聞いて――
「ふむ――じゃあ、詳細は部室で聞きましょうか」
ほんの僅か、美しく整ったその口の端を歪めるようにして、確かに嗤った。

理科準備室。
ここが、僕達天文学部の部室だ。
放課後になると、僕と小麦は大抵ここでだべっている。ついさっきもそうだった。
時間は――18:20。
そうか、まだそんな時間か。
とはいえ、既に下校時間は過ぎている。
僕らがこうして部室にいてもお咎めがないのは、顧問の伊崎先生が居るからに
他ならない。
そのための天文学部だ、、、、、、、、、、
不意に遅くなっても、例外扱いされやすい。何せ、星を観察するというのが
表向きなのだから。
「――で」
部室のドアを閉めるなり、伊崎先生は荒々しく椅子に腰掛けた。
理科室に良くある、背もたれも何もない丸椅子だ。
そして、間髪入れず自分の机から煙管キセルを取り出し吸い始める。
ふう、とひとつ息を吐く。煙は出ない。何せ、タバコではないから。
「今日は、どうした?」
ブラウスの上に羽織ったストールを机の上に投げ捨てて、今度は明確に、
ニヤリと笑みを浮かべた。
部室――準備室内は薄い薬品の臭いで満たされている。
その中に、薬品に紛れるように専門書が並んだ本棚と、先生の机、丸椅子、
来客用らしいパイプ椅子があった。
「っつーか、寒くないんですか」
「寒くねェよ」
じゃあ何でストール羽織ってんだよ。
そんな僕の疑問を見透かすように、先生は言う。
「職員室内でのキャラ作りッてヤツだ。
 いやーん、私って冷え性だからー、秋になると寒くってェー。みたいな」
「カワイコキャラですね」
「カワイコキャラだな」
「厭なキャラですね」
「まァな。若干肩は凝る。でも利益もあるし、暫くはこのキャラで行く予定」
言いながら、丸椅子の上で胡座あぐらかき始めましたよこの人。
短めのタイトスカートのクセに。
この人の性格上、絶対わざとだ。
「で、話、いいかな。園絵ちゃん?」
そこで小麦が割って入る。
「小麦――」
足を踏むな。
そう言おうと思って小麦を見やる。
僕を見上げる小麦の目は、ちょっと、怒っていた。
何だと言うんだ。
――その疑問が顔に出た瞬間、更に足に力を込められるのを感じた。
うん。ご立腹だ。
「おー、スマンスマン。で、2人揃ッてどうした?」
「そりゃ、あたし達が2人揃って園絵ちゃんに話があるっていったら、分かるでしょ」
まァな――と言って、目をそらして煙管を一吸いする。
「今度のロアの仮面の下、園絵ちゃんだったのよ。何か、心当たり、あるよね、、、、?」
詳細を端折りに端折った、ど真ん中直球の小麦の言葉に――
先生は目を逸らしたまま、ばつの悪そうな苦笑を浮かべた。
そして、小さく舌打ちし、ガリガリと頭を掻きながら答えた。
「あァ、あるぜ。例の切断魔ジャック・ザ・リッパーの件だろ?――もう、ケリ付いたんだな。悪ィ」
「まぁ、大したことは――」
なかったよ、と、多分小麦は言おうとしたのだろう。だけど、先生はそれを
阻止するように続けた。
「あれはイマイチ不作だッたな」
不作て。
「噂の伝達速度はまァまァだと思うんだが、規模がな。
 ロアの能力を決定付ける直接要因は、何つッても規模だ。
 せめて学園全生徒約1500人くらいには広がらないとなァ」
この人は。
この人は――何をぬかしているのだ。
「じゃあ、わざと、狙って、噂を作ったとでも?」
「そうそう」
僕の詰問に、へらへらとした笑みを浮かべたままそう答えた。
ああ、腰が抜けそうだ。
「人騒がせにも程があるでしょう・・・」
わざとらしく溜息を吐く。そう――この人は、こういう人なのだ。
「だから、悪かッたよー、怒るなよー、大したことなかッたんだろー?」
その言葉で、小麦が咄嗟に折れた右手を背後に隠すのが分かった。
・・・こいつ、あくまで無傷楽勝完勝で通す気だな。
「だから、怒らないでくれよー、次は強いロアになるように頑張るからー」
「そんなモン頑張らなくていいですから」
「えー?そんな冷たいこと言うの?先生、哀しいですぅ・・・」
「知ったことじゃないです。何も先生が率先して捏造しなくていいでしょうに」
というか、そのキャラはどうにかならんのか。目に涙まで溜めやがって。
チッ、と再度舌打ちするのが聞こえた。絶対反省してねぇよコイツ。
「小麦からも『お兄ちゃん』に言ッてやッてくれよ」
「・・・何て?」
呆れ声で、小麦は問い返す。先生は真面目な顔で、こう言った。
「俺より強いロアに会いに行く」
死ねばいいのに。

――結局。
伊崎先生は、我が部の顧問として、研究目的で都市伝説フォークロアを捏造してみたのだそうだ。
養殖モノはやはり不味いというのが相場だな、とは本人の言。
こんな常軌を逸した秘密倶楽部の秘密顧問は、やっぱり常軌を逸していた。
そんなもの、最初から期待してないけど。
それと、切断魔ジャック・ザ・リッパーが足での攻撃に弱かった点については、
「あァ、確かに俺は足フェチだな」
と自らの性癖を暴露することで解決した。
というか何でこの人はこんな外見で中身はオヤジなんだろうか。
この人がこんなだから、生まれたロアもオヤジだったに違いない。

「ただ――ひとつ、腑に落ちんことがある」
「何ですか、先生?」
「俺は確かに都市伝説を捏造した。だけどな、俺がそれを話したのは一人だけなんだ」
「どういう――こと?」
小麦が、きょとんとした顔で問う。
「なのに。俺が話したのはたッた一人だけなのに――
 俺は、そいつを思い出せないんだ。
 いや、記憶はある。確かに話した。その前の日、寝る前にでッち上げた
 『噂』を初めて話したんだ。印象は深いさ。
 だけど、その相手だけ覚えていない。そして――噂はすぐに一人歩きを始めた。
 あとはお前らも知ッてる通り、噂の出元は有耶無耶だ。
 友達の友達から聞いたんだけど、ッてな」
そこで、一息、煙管を吸う。
ふう、と息を吐き出して――心底、面白そうに、心地良さそうに、唇を歪めて。

友達の友達、、、、、ッて、誰だろうな、、、、、?」

友達の友達――Friend of a Friend、F.O.A.F。
先生の話は、オリジナルのものだ。誰かに聞いたわけじゃない。
じゃあ、僕らが耳にした噂を広めた――先生が話をした最初の一人は、誰だ?
「友達の友達」とは、誰だ?
そいつは、確実に、居る。
意味も意義も目的も目標も能力も――、概要アブストラクトさえも分からないけれど。
どこかに、居る。
僕は、その得体の知れない存在に、恐怖に近い感情を覚えた。

――以下、余談。

「ところで、小麦」
「何よ?」
僕は、ついに痛みに耐えかねて、言った。
「いい加減、足が痛いんだけど。ってか何で僕は足を踏まれてるんだ?」
そこに何故か、先生が加わる。
「ヤキモチだよなー、小麦?『お兄ちゃんが先生に取られちゃう』ってな?」
「なっ、違っ・・・」
「取られる?」
「ああ、いけないわ柊くんっ、私達は教師と生徒なのよっ」
「何の話ですか」
本気で意味が分からん。分からんだけに悪質だ。身構えようがない。
「だってっ、柊くんが熱い眼差しで私を見てるんだものっ」
「見てません」
「見てたよ。なァ、小麦」
「見てたよ。ハル君」
最終的に、僕に戻って来てしまった。
「だから、そんなに見てませんって。ふつーです、ふつー」
「うん、ふつーに見てたよな?ぱんつ」
やっぱりアレはわざとかよ。
まぁそれは見たけどさ。
「あたしのも。戦闘中に見たよね?」
「それは見てねぇよ」
「即答!?」
「だって小麦、スカートの下ブルマじゃん。邪道だそんなもん」
「あー、邪道だなそれは。女子の風上にも置けん」
それは意味不明だけどさ。オヤジめ。
「え?え?悪いのあたし?あたしが悪いわけ?」
うんうん、と頷く僕と先生。
「おかしーなー、だってミニスカ+ブルマだよ?萌えない?」
萌えねーよ。っつか足し算になってないから。それは。
そもそも、お前は一体何を狙っていると言うんだ。
「ともかくっ」
素早く立ち直った小麦は、ようやく足をどけたかと思いきや――
「一発殴らせてね」
と、笑顔で言った。
「ちょ、おま――」
抵抗する暇もなく。
目の前の少女は、笑顔のまま容赦なく僕に平手打ちを食らわすのだった。
あー、眼鏡飛んだよ畜生。
そして、その元凶と言うべき天文学部顧問は、にやにやとしたまま。
大好きな香気アロマを吸引しながら。
幼馴染キャラも大変だな、虎春こはる――と他人事のように言ってのけた。
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放課後の切断魔:3

2007-10-29 00:45:53 | 小説――「RUMOR」
幼い頃。
小麦は、病弱で弱気で大人しい子だった。
幼馴染の僕を兄と呼び、兄のように慕い、頼ってばかりだった。
変わったのは、そう――中学生の頃。
僕が、ちょっと怖がらせようと思って当時盛んに噂されていた都市伝説を話した時だ。
小麦は、必要以上に怖がって。
学校をズル休みしやがった。
仕方なく小麦の家に見舞い――この場合やはり見舞いで正しいだろう――に行き、
謝罪と説得を試みた。
――そこで、小麦がキレた。
「ねえ、ハル兄。何であたしがこんなに怖がらなきゃいけないの?
 もうアッタマ来た!その噂話が本当か嘘か、確かめてやるッ!」
全力で暴走する小麦を、だけど僕は止められなかった。
まさか、「ロア」なんて化け物が実際に現れるなんて思わなかったからだ。
口ぶりとは裏腹にガタガタと震える小麦を放っておけなくて、僕もそれに付き添った。
そして、ロアは、現れた。
その瞬間、嗚咽のような嗤い声と共に、小麦の震えが止まった。
「そうか、やっぱりそうか。じゃあ――」

「こんなヤツ、もう怖くない、、、、

小麦は別人のようにハイテンションになり、あっという間にロアを退治した。
今の性格になったのは、まさにその時だ。
都市伝説が大好きで、噂を聞いては確かめずにいられない。
ロアと闘うのが大好きで、退治せずにはいられない。

――僕は。
責任を感じると同時に、元気になった小麦を見て、少し嬉しかった。
仕方ないなと苦笑しながら、僕は小麦に協力することを決めたのだった。

今、目の前で鉈を持ったロアと闘う小麦は、やっぱり底抜けに楽しそうだ。
これで良かった――と、一概には言えないけれど。
まぁ、当分はこれで良いんじゃないかなと、苦笑した。

「ハル君ッ!」

鉈をかわし続けながら、小麦が叫んだ。
「ちょっとヤバいかもっ」
大ぶりの鉈をひらりとかわし、相手の硬直時間に蹴りを叩き込む。
どこがやばいんだ。超押してるじゃん。
――と、そこで僕は気が付いた。
このロア、ちょっとデカい。
身の丈、多分2メートル程度の大男。
前身真っ黒のツナギに、大き目の鉈。
そして、不気味に笑みを浮かべた、真っ白の仮面。
この仮面こそが、ロアの唯一といっていい弱点だ。
ロアを退治するということは、仮面を割るということに他ならない。
でも・・・。
「いくらなんでも、仮面に手は届くだろっ?」
「届いたけどっ、手ェ折れたっ」
鉈をかわしながら、背後の僕に向かって右手を見せる。
この距離では確認はできない。だけど、おそらく本当だろう。
あー・・・ヤバ。
あの仮面、そんなに堅いのか?
「そういうわけで、最後の手段行ってみよう」
最後の手段?
そう言うなり、小麦は僕の方へ向かって走り出した。
ロアは当然、それを追う。
何だ、何をする気だ?
「ハル君っ、三角跳び、、、、っ!」
・・・マジで?
その意図をギリギリのタイミングで理解した僕は、腰を落として身構えた。
多分――小麦は軽いから、何とかなる、と思わなくもない。
まさに、ぶっつけ本番。
小麦は、僕の約1メートル手前で、その勢いのまま思い切り左足で踏み切った。
跳ねた右足が、僕の鳩尾辺りまで上がる。
僕は両手を組んで、バレーのレシーブの要領で、その右足を拾う。
ぐ、と小麦の右足に力が入り、背後に――ロアに向かって、もう一段跳ねた。
これなら、高さ文句ナシ。

「これでどうだっ、足フェチ野郎!」

反転した勢いを利用して器用に空中で体を捻り、右足で蹴りを繰り出す。
ロアは――硬直している。
さすがに驚いたのかどうか知らないが、これはチャンスだ。
そのまま、鮮やかなまでに右足が仮面にヒットした。
綺麗に、小麦が着地する。
僕は、よろめいて尻餅をつく。
そして、棒立ちのロアの、仮面にヒビが入る。
「やっぱりね」
にやりと、小麦が笑った。そして、似た笑みを浮かべた仮面に向かって言い放つ。
「足フェチには、タマラナイでしょ?」
――だから、跳び蹴りか。
全く無茶をする。それは勿論、今に始まったことではないのだけれど。
そして。
ぼろぼろと、切断魔ジャック・ザ・リッパーの仮面が崩れ落ちる。
ここからが、重要だ。
ロアには必ず、仮面がある。
その仮面を破ると――その下には、都市伝説を一番最初に流した人物の顔があるのだ。
つまり、「仮面を破壊する」イコール「ロアを退治する」イコール「噂の出元が分かる」と。
そういった等号関係にあることになる。
「さあ、今回の犯人は、だ~れかな~?」
歌うように、上機嫌に小麦が言った。

仮面の下には、よく見知った、学園の先生の顔が張り付いていた。

「小麦・・・」
立ち上がった小麦は、その顔を確認する。そして。
「おっけー、じゃあハル君――職員室、行こっか」
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放課後の切断魔:2

2007-10-21 23:37:31 | 小説――「RUMOR」
僕の属性は安楽椅子探偵だと自負している。
目的に必要な情報を、何気ない会話から聞き出し、引き出し、推理する。
順列を組み替え、語呂を合わせ、遠隔地にいながら目的に向かって収斂させる。
それこそが、僕の本来のスタンスだ。

「――という手法を、僕としては主張したいのだけれど」
「却下」
相変わらず一言で片付けられた。
小麦は、いつでも現地調査フィールドワーク主義なのだ。
そして、その決定に僕は逆らえない。逆らう権利がない。
そんなわけで――僕らは今、くだんの裏門傍にいる。
時刻は、17:50。問題の時刻まで、あと9分。
まぁ、こうなるんだろうなと思ってはいたんだけどね。うん。これホント。

――じゃあ、今から行こう。
僕からの報告を聞いた彼女は、それだけ言ってさっさと教室からここまで
移動してしまった。
案の定、噂を実践するのだという。
つまり。

①17:59に学園の裏門から外に出て。
②最初の声は、敢えて無視して。
切断魔ジャック・ザ・リッパーの質問を受ける。

ということ。
それはまぁ、いいとして。
「質問には、何て答えるのさ」
その一点が、どうしても気になった。
YESと答えても。NOと答えても。ついでに無視しても、NGだ。
見事なまでの八方塞がり。将棋で言えば、詰んでいる、、、、、
「ハル君はさ」
と、小麦は僕を見ずに、呆れた風に言った。
「頭が良いのに、バカだよね」
なんじゃそれは。
取り敢えず、そんな謂れのない侮辱は無視して。
「・・・あとさぁ」
もうひとつ、突っ込んでおく。
「何よ」
「スカート、さっきより短くなってね?」
「そこはほら、乙女のヒミツってヤツ?」
そして振り向いた小麦は、晴れやかな笑顔でこう続けた。
「ま、小麦ちゃんの活躍を、そこで黙って見ていなさい」

――そして、17:59ジャスト。
小麦の右足が、裏門から一歩、外へ出た。
そのままゆっくりと、歩を進める。
裏門を出た先には、薄暗い山道が続いている。
木々の隙間に、飾り程度のアスファルトが延びているが、基本何もない。
5歩、6歩、と進んだところで一瞬小麦の足が止まった。
しかし、それも一瞬のこと。直ぐに何もなかったかのように再び歩き始める。
多分。
聞こえたのだ。何者かの、声が。
僕には、聞こえない。学園の敷地内に残る僕には、何も聞こえない。

そうか。そういう理屈か、、、、、、、
あー。はいはい、なるほどね。分かったよ、仕方ないなぁ。
ホント、嫌なんだよね。直接的過ぎて、美学がない。僕のキャラじゃない。
だから僕は、嫌々、あくまでも嫌々、裏門から足を踏み出した。
時計は、まだ17:59を示している。
3、40秒程遅れたけど、僕の時計には秒の表示はない(というモード設定だ)から
大丈夫だろ。
すたすたと、小麦の元へと駆け寄る。その時――
「ハル君、ストォーーーップ!」
振り向かず、僕を制止するように左手を挙げて小麦が叫ぶ。そしてそこで足を止めた。
「来たよ、来た来た来たァッ!」
――声。
曰く。

「足、いるか?」

・・・本当に、聞こえた。
周囲を見回す。当然のように誰もいない。
小麦は――震えている。
そして、僅かに漏れる嗚咽にも似た――嗤い声。
あぁ。
もう、僕には止められない。
小麦は、答える。
正答が用意されていない、質問に。

「足、いるかって?決まってるじゃない。
 あたしのカワイ~イ足は必要だけど、他人の足を貰うなんてマッピラ御免!」

それは、YESでもなく、NOでもなく、無視ですらない。
意地悪ナゾナゾの仕掛けを見破った前提の、イレギュラーな回答。
「足・・・あし・・・アシ・・・いるか・・・」
依然、声の主は見えない。声だけが聞こえてくる。
だけど、声が聞こえるだけなんて。
そんなの――悪いけど、小麦の相手じゃない。
「はん。なぁにこの程度のことでバグってんのよ。くッだらない!」
見えない相手に、小麦が凄む。
「あ・・・し。足。脚。よこせ。あし、よこせえええ。足脚あしアシ」
おお、いい感じに壊れてきたぞ、切断魔ジャック・ザ・リッパー
「欲しい?小麦ちゃんの、カワイイあんよ」
一転、猫なで声で小麦が聞き返す。
そして、膝上20cmはあろうかというミニスカート(校則違反)を両手でつまみ、
ゆっくりと焦らすように持ち上げていく。チビのくせに足の長いヤツだ。
「ホラホラ。ねぇ、欲しいの?」
1cmずつ、1mmずつ、小麦の白い太腿が、露になっていく。
――道理で。道理で不自然だと思ったんだ。そのための、ミニか。
全力で馬鹿らしい。
だけどとことん、小麦らしい。
するり、するりと。
小麦は、スカートを持ち上げて。
もうちょっとで、見えそうなところまで持ち上げて。
言った。

「だけど、お前みたいなヤツには死んでもあげない」

そこで、僕の視界が混乱する。
確かに、そこには何もなかったはずなのに。
小麦が、スカートから手を離して、不自然に体を左に捻った刹那。
――鉈が、回避した小麦の肩を掠めた。

さあ――ついに、お出ましだ。
都市伝説フォークロアが具現化した、怪物。
語り継がれる、実体無き化け物。
小麦が誰よりも出会いを望み。
小麦が何よりも生き甲斐を見出す。
人々の好奇と興味と猟奇と狂気の産物。

僕らはそれを、短く「ロア」と呼ぶ。
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放課後の切断魔:1

2007-10-13 18:09:27 | 小説――「RUMOR」
年齢、17歳。
身長、149cm。
体重、スリーサイズ、非公開。
成績、中の下。
趣味、いじめっ子いじめ。
以上、幼馴染・神荻小麦かみおぎこむぎのプロフィール。

――17:59ちょうどに学園の裏門から出ると、男の声が聞こえる。
そこで振り向けば何も起こらない。
しかし、声を無視すると今度は明確に聞こえてくる。
「足、いるか?」
これに対して考えられる対応は、概ね以下の3つだろう。
つまり、①YESと答える、②NOと答える、③更に無視する。
大抵の人間は③だろうか。
これらの対応の結果は、それぞれ次の通りだ。

①YESと答える:
 「じゃあやろう」と聞こえて、手に何かを掴まされる。
 振り向いても誰もいない。
 手に掴まされたものは、切断された他人の足。

②NOと答える:
 「いらないなら、貰うぞ」と聞こえて、片足を切断される。
 振り向いても誰もいない。
 切断面は非常に鋭利な刃物で切られたようになっている。

③更に無視する:
 「聞こえない耳はいらんよな」と聞こえて、両耳を切断される。

これが、今僕らの学園で密かに囁かれている「切断魔ジャック・ザ・リッパー」の概要だ。

「――とまぁ、こんなわけなんだが」
僕は、手帳をパタンと閉じて彼女――神荻小麦にそう言った。
「感想は?」
「ベタだなぁ」
一蹴された。シンプルなヤツだ。
「それ以前に、そのネーミングセンスはどうなのよ?」
「僕が名付けたわけじゃないから何とも言えん」
「大方、どこかしら切られるからそんな名前なんだろうケド。
 安直過ぎんのよね。っていうか何よ。被害者は全部売春婦なの?」
「んなこたねぇよ」
というか、そんな設定普通は知らん。
「ま、これが高校生の発想の限界なのかねー」
言って、小麦は呆れた風にため息を吐いた。
――だけど、その実少しワクワクしていることを、僕は知っている。

小麦は、超が付くほどの都市伝説マニアだ。
だが、ここまでならば17歳、女子高生といったフレーズと結びつかない
こともない。
問題はその先。
コイツは、ひとつの都市伝説についてひとしきり調べ終えると――

そいつを、退治してしまう。

これは、小麦と、僕と、都市伝説についての物語だ。
信じる、信じないは君の自由。
ただ、どっちにしたって退屈はしないと思う。
友達の友達に聞いた話なんだけどさ――。
そう言って、明日学校で隣の席のヤツにでも聞かせてみれば、
それが分かるんじゃないかな。

それじゃ、話を始めよう。
小麦と、僕と、都市伝説フォークロアの物語。
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