Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

夏休み読書月間 (22) 数学者の20世紀

2005-08-21 | Education
  8/14の blog で紹介した,彌永昌吉(いやなが しょうきち)先生の,前作「数学者の20世紀」が,金曜日に Amazon から届く.
 とりあえず,一回目読了.前作はとはちがって,本文中に数学的な話しが書いてある部分もあるので,2-3回読み直すことになると思う.

 全体的に,数学に関わることで,彼方此方に,これまで知らなかったことが沢山あった.また,やはり,語学==>広い意味での異文化との交流と,専門の探求には,相乗効果があるのだと,強く感じた.
 
 大学院のころ今井功先生にならった, 超関数 の創始者であるシュワルツ先生の写真を初めてみて,22年前の講義を思い出した.

 彌永先生は,平均からみるとだいぶご長命だが,長生きすると,一つつらいことがあることが実感された.自分より年長の先生や先輩方だけでなく,後輩や教え子の追悼文を書く役がまわってきてしまうのだ.

 数学者,科学者,教育等に興味のあるすべての方にオススメする.
 

数学者の20世紀―弥永昌吉エッセイ集1941-2000
彌永昌吉(著)
岩波書店

このアイテムの詳細を見る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水道の民営化?

2005-08-21 | Environment
   きららぎけいすけ氏のblog にもとりあげられているが,8/20の NHKスペシャル は,興味深い内容だった.

 もちろん,水道サービスを民営化しても,うまくいっている地域もあるだろう.
 しかし,私は,水道サービスの民営化には反対である.「安心して飲める水」の供給は,電力や通信のように技術やサービスを「競う」性質のものではない.


 今回の番組では,マニラの水道民営化の失敗,カリフォルニアのある小さな町で水道公営化の是非を問う住民投票,ウェールズの水道の公営->民間会社->NPO運営変遷などの状況について,ドキュメンタリー的な構成になっていた.
 
 それにしても,どうして,フィリピン政府は,このような「詐欺のまがい」の話しに乗ってしまったのだろう?
 端からみると,フランスの世界的企業が地元財閥と結託して,マニラの市民の水道を人質にし,世界銀行のお金を食い物にしたとしか言えない.おそらく,世界銀行の中にフランスの某企業の意向に協力しているグループがいるのだと思う.
 
 番組の取材の中で,民営化で値上がりしたマニラの低所得者層の人への水道料の請求書が,600ペソ==1180円(Yahooのレートから概算)だといっていた.
 2001年の人口一人あたりの国民所得(GNI)でみると,フィリピンは926ドルしかない.ちなみに,アジアの他の国の2001年のGNIは,日本 32576ドル,台湾 12551ドル,韓国 8917ドル,中国 908ドルである.日本の1/30程度のGNIで,水道料金は,日本の1/4-1/2では,とてもまともな値段とは言えまい.
 だいたい,水道の水で,コレラに感染するなんて,どうかしている.
 フィリピン政府にも,問題はありそうだ.


 日本のODAは,どこかのミサイルをつくり海軍や空軍を増強していている国にではなく,水道や井戸の整備などの基本的人権に関わる社会インフラの構築に困っている国を支援するために使うべきだ.


 以下の本は,以前にも紹介したように思うが,水の問題に興味のある方に,オススメである.
 NHKの番組では名前が伏せられていた,マニラの水道を破綻させた,フランスの某多国籍企業がどこかもわかる.

 「はじめに」の2ページ目は,『淡水危機は,動かしがたい現実である.その現実に直面政府と国際機関は,「ワシントン・コンセンサス」に基づいて,水の私有化と商品化を提唱しだした.水に値段をつけろ,彼らは言う.水を売り出して市場にその未来を決定させろ,と.世界銀行や国連によれば,水は人間の必需品であっても人間の権利ではない.この言葉の解釈の違いはきわめて重要だ.金がある者にとって,必需品はいくらでも手に入る.しかし,人間の権利を売るのは許されないはずだ.』という,過激なフレーズで始まる.
 原書は読んでいないが, 鈴木主税 先生 の訳は相変わらず,スムースである.


「水」戦争の世紀

集英社

このアイテムの詳細を見る

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする