新古今和歌集の部屋

明月記 治承の辻風

治承四年四月
廿九日辛亥 天晴る。未の時許り雹降る。雷鳴先づ兩三聲の後、霹靂猛烈。北方に煙立ち揚がる。人燒亡を称ふ。是れ飈なり。京中騒動すと云々。
木を抜き、沙石を揚げ、人家門戸并に車等皆吹き上ぐと云々。
古老云ふ、未だ此の如き事聞かずと。
前齋宮四条殿、殊に以て其の最となす。北壺の梅樹、根を露はし仆る。件の樹、簷に懸りて破壊す。權右中辨二條京極の家、叉此の如しと云々。

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