
青
かは竹の葉こし
の色にまかふ哉
玉のすだれにかくる
あふひは

黄
枝かはすきしの
やまぶき花ちりて
こがねの露に波ぞ
こえける

赤
しぐれつる雲も
日影に染められて
もみぢをおろす
峰の木がらし

白
しら雲の八重たつ
みねの山桜空にも
つゞくたぎつかは
かせ

黒
むば玉のやみの
うつゝにかきやれど
なれてかひなきとこ
のくろかみ
拾遺愚草員外
十五首
青
かはたけのはこしの色に紛ふかな玉の簾にかくる葵は
黄
枝交はす岸の山吹花散りて黄金の露に波ぞ越えける
赤
時雨つる雲も日影に染められて紅葉をおろす峰の木枯し
白
白雲の八重立つ峯の山桜空にも続くたぎつ川風
黒
烏羽玉の闇の現にかきやれどなれてかひなき床の黒髪

○田先生筆
片岡氏
天明六丙午年春
平成29年6月10日 壱