振鉾(えんぶ)【風俗博物館より】
舞楽会の最初に舞台を鎮めるために行う舞楽。左方と右方から交互に鉾を持った舞人が舞台に登場し、笛と太鼓(たいこ)と鉦鼓(しょうこ)のみで舞い、最後に左右両方で舞い合わせて先霊に供するという。左右ともに襲(かさね)装束で右肩を脱ぎ、左方は金の帯、右方は銀の帯を締める。
正式の舞楽には、朱の高欄(こうらん)の付いた高舞台が使用される。高舞台上に、さらに萌黄色の緞子の打敷(うちしき)が敷かれた敷舞台を置く。舞人は、高舞台の前後に付いた階を昇降して、舞台に登場・退出する。写真は振鉾。楽人は便宜上舞台上に座っているが本来は別の席で演奏する。
蘭陵王(らんりょうおう)【風俗博物館より】
左舞(さまい)。北斉の蘭陵王長恭は、武勇の誉れが高い将軍であったが、容貌(ようぼう)が美しかったので、味方の兵士が彼に見とれて戦さをしようとしなかった。そこで恐ろしい仮面を着て勝利したという。その故事に基づく。龍を頭に戴き、顎(あご)を吊った仮面が特徴。走舞(はしりまい)という勇壮な舞で、一人で舞う。
◆蹲落(らくそん)【風俗博物館より】
右舞(うまい)。左舞の蘭陵王に対する答舞(とうぶ)。両者は番舞になっている。ふつうはふたりで舞い、「納曽利(なそり)」が正式な名称であるが、現行では一人で舞うときにかぎって「落蹲」とよぶ。雌雄の龍が遊ぶ姿といわれ、双龍舞の別称がある。