(月の巻)
父大江雅致母越前守
和泉式部 平保衡の也。上東門院女
房。和泉守橘通貞之
妻也。
あ いま
ら 一度の
ざら 逢
ん こと
このよ も
の が
外の な
思出
に
(花の巻)
和泉式部
あらざらん
このよの
ほかの
おもひでに
いまひと
あふ たびの
事
も
がな
後拾遺集恋三にこゝちれ
いならずはべりける比
いならずはべりける比
ひとのもとにつかはし
けるとあり。
○うたのこゝろは心地例なら
ずしてよにながらふべく
もあらずなりにたれ
ばしなんのちのよに
もおもひいづべくこ
のよにていまひ
とたび君とぞ
逢よしもがなと
ねがひたるなり。
改観抄にあらざ
らんこのよのほか
めづらしくよめり
といへり。
新古今集に
あらざら
ん
のち
しのべ
とや
そでの
香
を
花
立花
に
のこし
おき
けん
※改観抄 百人一首改観抄 契沖著
※新古今集に あらざらん~
新古今和歌集巻第八 哀傷歌
子の身まかりにける次の年の夏彼
の家に罷りたりけるに廬橘の董り
ければよめる
祝部成仲
あらざらむ後忍べとや袖の香を花たちばなにとどめ置きけむ
よみ:あらざらむのちしのべとやそでのかをはなたちばなにとどめおきけむ 隠削
意味:自分が死んだ後も偲ぶようにと思って、我が子は袖の香を橘にしていたのであろうか。花橘の香を嗅ぐとあの子を思い出してならない。
作者:いわいべなりなか1099~1191成実の子日吉神社禰宜で正四位上石見介。歌林苑の会衆。