「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

2004リスボンの悲劇を、2016サンドニでフランスに引き渡したポルトガル

2016年07月11日 17時54分09秒 | 世界のサッカー

EURO2016決勝フランスvsポルトガル戦。一昨日の書き込みではクリスティアーノ・ロナウドの大会となるか、フランスの新しいスーパースター候補グリーズマンの大会となるかに焦点をあてましたが、試合は意外な結果で終わりました。 (ここからは翌日午前追記しました)

私は決勝当日、たまたま朝テレビをつけましたら、テレビ朝日の生放送が流れていました。前後半終了で0-0のまま延長戦に入るところでした。

中継アナウンサーの話を聞いてびっくりしました。なんとクリスティアーノ・ロナウドが負傷交代してしまったというのです。ケガの程度も心配でしたが、これだとフランスの有利は動かないと思われました。

けれどもアナウンサーは「ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドが退場したあと、団結しているように見えます」とコメントしていました。

そして結果は、延長後半にポルトガルが1点を奪うと、それを守り切っての優勝です。なんという結末でしょう。

この結果を見て私が思ったのは、ポルトガルが自国開催のEURO2004、決勝で伏兵ギリシャに敗れてしまい。開催国の初優勝を夢見てリスボンのスタジアムに集まったサポーターを悲劇のどん底に落としてしまった屈辱の記憶を、今度はサンドニの地で開催国フランスに引き渡したということです。

ポルトガルは、これで2004年の悲劇から解放され、フランスは、当分の間、この悲劇と向き合っていかなければなりません。フットボールの世界は、見ている第三者にとっては常にスペクタクルに満ちたシナリオのないドラマですが、当事者にとっては何と過酷な試練となることでしょうか。

我が日本代表は、かつて1993年秋に「ドーハの悲劇」を体験、4年後の1997年「ジョホールバルの歓喜」によって悲劇から解放されましたが、いずれも異国の地でした。これが仮に国内で、その試合の結果によってW杯出場権を得られるか失うかの瀬戸際という試合を迎えるとしたら心臓が締め付けられる思いです。

負けたフランス代表が、オランド大統領の慰労昼食パーティに招かれたニュースが今朝のテレビで流れてしました。大会MVPに選ばれたグリーズマンをはじめイレブンの顔は決して晴れやかではありませんでしたが、パーティ会場の外に詰めかけたサポーターから温かいねぎらいの声をかけられ、いくぶん笑顔を取り戻したようだとレポーターがコメントしていました。

15~16シーズンのサッカーシーンが、これですべて幕を閉じました。コパ・アメリカ決勝でアルゼンチンがチリに敗れた試合といい、今回のEURO決勝といい、結末を見終わったあとは、いろいろ複雑な思いが入り混じった気持になりました。

シーズンの終わり方というのは、その年によっていろいろ気持になるものです。13~14シーズンはブラジルW杯があってシーズンが終わったわけですが、準決勝で開催国ブラジルがドイツに歴史的事件ともいうべき大敗を喫して、最後はドイツが王者然として大会を制した年でした。

この時はドイツの強さにただただ放心状態というか、ドイツの強さをいやが上にも知らされてシーズンを終えた記憶が鮮明です。

さしずめ今年のシーズンは、メッシとC・ロナの明暗、そしてポルトガルからフランスに悲劇が引き継がれたことを記憶していくことになるでしょう。

(この項のタイトルを、最初のものから一部変更しました。ご了承願います。修正1回目7月12日午前、修正2回目7月15日午前)

 

 

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明暗くっきりメッシとC・ロナ。そして躍り出たグリーズマン

2016年07月09日 15時19分42秒 | 世界のサッカー

前回の書き込みから2週間空いてしまいました。コパ・アメリカは終わりEUROもファイナル直前まで来ました。

なんといっても明暗くっきりなのが、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドです。現在、サッカー界の世界最高峰に君臨する二人。

メッシはコパ・アメリカの優勝トロフィーを掲げられなかったばかりか、その10日後にはスペインの裁判所から脱税容疑について禁固刑の有罪判決を受けてしまいました。メッシの憔悴ぶりや、いかばかりでしょうか。

一方のクリスティアーノ・ロナウド、欧州チャンピオンズリーグのタイトルをとった勢いをEUROまで持ち込み、スペイン、イタリア、ドイツといった強敵が次々と脱落する中、自国ボルトガルを決勝にまで導きました。

まだタイトルには手が届いていませんがブックメーカーの優勝予想では強豪7ケ国のうち最低評価だったことを考えれば望外の活躍と言えるでしょう。もっとも欧州選手権に関しては過去5大会コンスタントにベスト8以上の成績を残している彼らにしてみれば「望外の活躍だと?バカ言うな、今度こそ優勝だ」と意気込んでいるのかも知れません。

EUROに関するブックメーカーの優勝予想ナンバーワンは、グループリーグ直前でも準決勝4チーム決定後もフランスでした。準決勝4チームではドイツと同率でしたから、この2つが激突した準決勝が事実上の決勝戦というのが大方の予想ということになります。

さて、そのフランス代表のエース、これまではカリム・ベンゼマでしたが彼は今大会、スキャンダルを起こしたことで招集を見送られていました。

そのため私は、ジルーというFWを名前だけ知っている程度の知識しかありませんでした。とうの昔に代表を引退していたフランク・リベリーを「今大会は出ないのだろうか」と思っていたぐらいです。

ところが、今大会、アントワーヌ・グリーズマンという選手が主役の座に躍り出ました。この選手、ブックメーカーのオッズでも得点王の第2位にランクされていた選手で、むしろ驚きでも何でもない活躍というわけです。

さらに私が自分の無知ぶりに気づいたのは、彼が所属しているチームが、私が最近信奉しているシメオネ監督率いるアトレチコ・マドリーの選手だということです。どうも、これまで選手の表記がグリエズマンだったりしていたことも影響したかも知れません(相当言い訳がましいですが・・・。彼自身はグリエズマンと呼ばれるべきだと話しているとかいないとか・・・。)

いまスカパーでは、5月まで行われていた欧州チャンピオンズリーグをグループリーグから2~3試合づつ再放送しています。グリーズマンはCLで7得点をあげており、中でも圧巻は準々決勝バルセロナ戦の2Lg、一人で2得点を叩き出し見事逆転勝ち上がりの立役者になりました。

これらも含めてスカパー再放送のチャンスをできるだけカバーしたいと思います。

このバルセロナ戦2Lgの直前予想で、戦いのキーマンにグリーズマンをあげていた日本人サッカージャーナリストを見つけました。小宮良之さんです。web版スポルティーバ掲載の2016年4月13日付けコラム「バルサ戦のカギ握るアトレティコのグリーズマン。『10クラブで落とされた』」がそれです。見事な慧眼です。ぜひご一読を。

ちなみに落とされた10クラブというのは最近のことではなく、13歳以前の頃、プロクラブの下部組織への入団の時みたいで、よくある「うまいけど小柄すぎた」という理由からのようです。

そのグリーズマン。メッシ、C・ロナのあとのバロンドール候補という声も出ているとのこと。今大会フランスが優勝したら、C・ロナを差し置いてバロンドール当確ということになるかも知れません。 注目です。

いずれにしても何年か後に「2016年6~7月がメッシ、C・ロナ時代の終焉時期」と言われるのは間違いないでしょう。少なくとも、バルセロナとレアル・マドリーという宿命のライバルチームで幾度となく覇を競い合った時代が終わりを迎えるでしょうから。

グリーズマンがメッシ、C・ロナ後のスーパースターの座を不動のものにするまでの最大の敵はケガです。まず、このシーズンオフ、ほとんど身体を休ませられないまま新シーズンに突入しなければなりません。

これまでもスーパースター候補生が何人も、この魔のシーズンオフのせいで脱落していきました。ただただグリーズマンがケガをせずに次のオフまで持ちこたえて欲しいと願うばかりです。

もう一つ、グリーズマンが乗り越えなければならない壁。それは大舞台の修羅場ともいえるPKの場面です。5月のチャンピオンズリーグ決勝レアル戦、これを決めれば同点に持ち込めるという場面で得たPKを任されたグリーズマン。真のエースと呼ばれるかどうか最終選考のような、このPKを決めることができませんでした。

これが初めての大仕事でしたから、やむを得ないと言えるかも知れません。けれども、次は決めなければならないでしょう。そういう強いメンタルを持つこともスーパースターの条件だからです。そういう彼に対して、アトレチコは2020年までの現行契約をさらに1年延長したそうです。

その契約延長を発奮材料にしたのかどうか、フランス代表ではEURO準決勝のドイツ戦で、先制できる絶好の場面でPKを任されて、見事に決めてみせ、重圧から解放された後半には自ら得点して、難敵ドイツ撃破の立役者になりました。スーパースターの階段を一歩登ったのかも知れません。

欧州CL準々決勝のバルセロナ戦2Lgといい、EURO準決勝のドイツ戦といい、まさに天王山とも言うべき大一番で輝けるという点では、スーパースターの資質を十分備えているようです。

このあとも、彼がメンタルトレーニングなどのサポートを得て、どんな場面にも動じない強靭な精神力を培うことを期待しましょう。

それにしてもメッシはどこへ行くのでしょう。バルサ残留なんていう選択肢があるのでしょうか? そしてC・ロナ、モウリーニョが監督に就任したマンUへの復帰?といった噂がないではありませんが、それこそEU離脱問題が影響しそうなプレミアリーグです。視界不良のリーグになりつつあります。

さぁ、EURO2016が終われば、次はリオ五輪サッカー日本代表戦、そしてロシアW杯アジア最終予選と、再びジャパンブルーに熱くなる時が来ます。

いつまでも若々しいのに、いつの間にか50歳台になっている川平慈英さんのフレーズを拝借して若々しく「クーッ!!!」です。 

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今年のEURO、注目度の低さは24年ぶり?

2016年06月05日 08時19分09秒 | 世界のサッカー

はじめに、このブログへの訪問者数が20000IPを突破しました。本当にありがとうございます。

さる3月24日の書き込みで、PV数が30000回、訪問者数が15000IPをほぼ同じ時期に突破したことをご報告しましたが、今回は訪問者数が先に区切りの数字を超えました。

私の書き込みは、いつも、ついつい長くなってしまい、自分でもまずいと思いながら、結局「バカは死ななきゃ治らない」と同じ。おそらく今後もダメでしょう。

そんな駄文のブログを訪問していただいてる方、このブログのどんな点がいいと思っておられるのか、それがなかなかわからないのが悩みです。

そのうち何かコメントをしてくださる方がいるかも・・・、と気長にお待ちしようと思います。ともあれ、これからも、皆様の訪問を励みにサッカーの世界の素晴らしさ、幅広さ、奥深さといったことを書き続けていこうと思います。

どうぞ、よろしくお願いします。

さて、欧州各国のレギュラーシーズンが終わり、チャンピオンズリーグも、私の期待むなしくレアル・マドリーにビックイヤーを持っていかれました。シメオネ監督率いるアトレチコが、今後も戦力の引き抜きにめげす、近い将来頂点に立つことを密かに応援していこうと思います。

今日の話題は、今月相次いで行われるコパ・アメリカ2016と、EURO2016です。実は1年前の2015年6月15日の書き込みで「コパ・アメリカがいつになく熱い」といったことについて触れました。

今年はコパ・アメリカとEUROが共に開催される年ですから、いやが応にも比較してしまいます。

今年のコパ・アメリカはイレギュラーな開催ですよね。昨年やってまた今年ですから。

なんでも今年がコパ・アメリカ100周年だそうで、記念大会として南米大陸と北中米大陸合同で行うため名称も「コパアメリカセンテナリオUSA2016」と長たらしく、開催国もアメリカというわけです。

昨年同様、今回のコパ・アメリカも、バルセロナの3トップをはじめ、レアル・マドリーそしてマンCの10番など、引き続きキラ星のような選手が並ぶ大会になるはずでした。

一方のEURO、昨年の書き込みでは、コパ・アメリカに出ないスター選手ということで「クリ・ロナ、ロッベン、ファンペルシー、ルーニー、ノイアー、ゲッツェ、イニエスタ、ピルロ、そんなところではないか」と名前をあげました。

そして今年、あげた選手のうちロッベン、ファンペルシーの名前が見当たりません。それもそのはず、二人がいるオランダは32年ぶりに予選敗退してしまったというのですから。

こうなると華のある選手がますます少ないEURO2016ということになってしまいます。しかも今回から出場国が24に増え、これまで本大会で出られなかったようなチームも出るということで、少し大会の価値が落ちたような感じがします。

欧州では、アルバニア、アイスランド、北アイルランド、ウェールズといった国が夢にまでみた本大会出場を果たしたということで、大いに盛り上がることでしょう。

それが出場国拡大の理由のようですから、遠いアジアのサッカーファンがとやかく言うことではありませんが、少なくとも「なんとしても見たい」という意欲が落ちていることは確かです。

こんな気分になったのはいつ以来だろうと思い,さかのぼってみました。すると1992年に行き当たりました。24年前のことです。

この年は優勝候補の最右翼といわれていた旧ユーゴスラビアが内戦の制裁を受けて出場権をはく奪され、かわりに出場したデンマークが優勝をさらってしまうというレアケースのような大会でした。

この頃は、日本ではまだJリーグが始まっておらず、海外サッカーといえば一部のコアなファンだけの楽しみで、テレビ放送もテレビ東京さんの独壇場、他の局は見向きもしない時代だったと思います。

しかし、その次のEURO1996ドイツ大会からは出場チームが16に増え、ちょうどワールドカップに出てくるようなチームがズラリと並んだミニW杯と形容される大会になって、ワクワク感が一気に高まったのです。

この大会からWOWOWさんが放映権をとり全試合放送、しかもショーアップされた形で放送してくれましたので、実際、グループリーグを終えてベスト8の激突になった頃から、これにブラジルとアルゼンチンさえ加えればワールドカップじゃないか、という感じになりました。

20年後の今回、片やコパ・アメリカは、スター選手勢ぞろいの大会として注目を浴びながら始まりました。

遅れて大会がスタートするEURO2016、今ひとつ影が薄い気がするのは私だけでしょうか。

コパ・アメリカを放送するスカパーさん、EUROを放送するWOWOWさん、コパ・アメリカのほうはいち早くチャンネル契約をしましたが、EUROのほうはチャンネル契約していません。

ただ、ここにきてコパ・アメリカのワクワク感がずいぶん削がれてきています。ブラジル・ネイマールがリオ五輪出場のため欠場、メッシはスペインでの裁判の関係でコンディションがどうか、ルイス・スアレスもケガのためグループリーグ出場が絶望的、さらに昨日、コロンビア、ハメス・ロドリゲスが肩の負傷のため途中交代。

キラ星のはずのスター選手が次々といなくなる可能性が出てきました。じゃぁ、WOWOWさんに加入してEUROを見ようか、いやいや、まるで本大会の1年前に行われる地域予選を見るような大会では、少なくともグループリーグは興味が湧きません。

というわけで、悩ましい6月のサッカーシーンになりました。それより、まずは6日(月)の、なでしこアメリカ遠征第2戦と、7日のキリンカップ・ボスニア戦のほうがワクワク感一杯です。

 

 

 

 

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毎年5月20日頃は、CL決勝のホイッスルを静かに待つ時期

2016年05月18日 08時32分30秒 | 世界のサッカー

欧州サッカーシーンは、まもなく「宴のあと」の静けさを迎えますが、その宴のクライマックスこそ、欧州チャンピオンズリーグファイナルということになります。

毎年ベスト8の激突あたりから白熱してきます。なにしろ、4~6チームぐらいは、どこが優勝してもおかしくないチーム同士のつぶしあいです。

4月はじめからファイナルまでの1ケ月半、サッカーファンの多くが一喜一憂、しかも世界中が見守る中での激闘です。そういうスケール感を考えただけでもサッカーの世界、フットボールの世界の壮大さを感じるのです。

話が横道にそれますが、私は1993年のJリーグ開幕を機に、日本のサッカー文化の道のりを克明に記録し続けていこうと思い立ちました。

それ以降、Jリーグのみならず海外サッカーにも目を向けるようになったのですが、CS放送でほとんどの試合を見れるようになったことが大きいと思います。

その頃の欧州サッカーへののめり込み具合を、時々、当時のCMのフレーズを使い「寝てもサッカー、覚めてもサッカー」と表現するのですが、それぐらい魅力満載の世界でした。

その思いは20年経った今でも少しも変っていません。欧州各国リーグの栄枯盛衰はあるのですが、欧州全体を網羅しているチャンピオンズリーグの上質感、スリリングでエキサイティングな高揚感は、少しも衰えていません。

今年のファイナルはリーガ・エスパニョーラ同士、しかもマドリッドダービー、それをミラノでやるというのですから・・・。さきほど話した各国リーグの栄枯盛衰のなせる仕業でしょう。

レアルはジダン監督、アトレチコはシメオネ監督。一昨シーズンは同じカードでレアルが延長戦を制したのですが、今シーズンは五分五分と見るのが大方でしょう。

ここで一旦筆をおきます。また後で加筆します。少しお待ちください。

少し時間を作りましたので書き上げてしまいます。

アトレチコは今やすっかりリーガ・エスパニョーラ3強の地位を確保しています。レアル、バルサの2強多弱と言われていますが、シメオネ監督以降のフルシーズンはすべて3位以内、常に優勝争いに絡んでいますから見事なものです。

シメオネ監督の指導者としての資質については、2015年1月5日の書き込みで紹介しています。シメオネ監督本として、日本では「シメオネ超効果」というタイトルで発刊されたのを読んだわけですが、選手時代の悪役イメージに染まっていた私をガラリと変節させました。

私が、その後もシメオネ監督の凄さを感じているのは、毎年のように活躍した主力選手をプレミアなどのビッグクラブに引き抜かれているのに、その後釜として加入した選手の力を引き出し、戦力ダウンを感じさせない戦いを演じているからです。

レアルにしてもバルサにしても能力の高い選手にとっては、選手生活の到達点にあたるクラブですから、戦力として力を発揮すれば放出や引き抜きに合うことはほとんどありません。レアルのC・ロナもバルサのメッシもそうやって何年ものあいだ在籍し続けているのです。

ところがアトレチコで活躍した選手は、セルヒオ・アグエロしかりジエゴ・コスタしかり、すぐに移籍して抜けており、後に加入した選手は知名度の低い選手ばかりです。にもかかわらずシメオネ監督は堂々とCL決勝にチームを導いています。準々決勝ではバルサを撃破しての進出です。

私のシメオネ礼賛はますます高まるばかりです。

一方のレアル、リーガタイトルを逃しましたからCLタイトルは何としても死守したいところです。それにしてもジダン監督は、よく、この「俺が、俺が」集団を束ねているものです。まだ監督としてのジダンの手腕・力量についてはよくわからないのですが、CLを制覇しようものならジダン監督の名声は一気に高まるでしょう。

なにしろ選手としても監督としてもCL制覇という数少ない栄光を手にするのですから。

興味が尽きない決勝です。私個人としては、あの貴公子フェルナンド・トーレスに活躍して欲しいところです。トーレスはスペイン代表としても絶対的エースになれずにいながら、節目になる試合で活躍して命脈を保ってきた選手です。

シメオネ体制下でトーレスを呼び戻した狙いが、いま一つわかっていないのですが、今度の決勝でその答えが出そうな淡い予感を持っています。

楽しいですねぇ、一つの試合についてだけでも、これだけの材料があるのです。C・ロナなどレアルのスター選手について触れていないのに。

決勝までまだ10日もあります。日を追うごとにネッ上に両チーム関連の情報が増えてくるでしょう。世界中の目が注がれるクライマックスまでの10日間、じっくり楽しみたいと思います。

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コパ・アメリカ、欧州CLそしてJリーグの明日を思う

2015年06月15日 19時10分52秒 | 世界のサッカー
世界のサッカーカレンダーは、サマーバカンスに入ったばかりだが、今年は少し趣きが違う。

まず、総本山のFIFAがスキャンダルに大揺れで、しばらく機能不全に陥りそうだ。

つぎに、大会関連で、今年のコパ・アメリカがいつになく熱い。欧州各国リーグに所属するスター選手の、いかに多くがコパ・アメリカ出場国の選手であったかが、今更ながらわかる。

コパ・アメリカに出場しない欧州リーグのスター選手をあげたほうが早いかも知れない。クリ・ロナ、ロッベン、ファンペルシー、ルーニー、ノイアー、ゲッツェ、イニエスタ、ピルロ、そんなところではないか。

バルセロナの3トップをはじめ、レアル・マドリーそしてユベントスの10番が南米組だ。ただバルセロナのルイス・スアレスが出場停止なのは本当に残念だ。そのルイス・スアレスの国ウルグアイは2010年南アフリカW杯で、強力3トップを擁してベスト4に進出、中心のディエゴ・フォルランは得点王、大会MVPに輝いている。

そのウルグアイ代表にあって、フォルラン引退、ルイス・スアレス出場停止の中、残ったカバーニがどれだけ暴れてくれるか。また、ブラジW杯で日本と対戦したコロンビア代表の中で、ケガのため選考から外れたファルカオの活躍にも期待している。

逆にこれまでスター選手の宝庫といわれてきたブラジルに、ネイマール以外目立った選手がいないのは、大異変といっていいだろう。ベスト4にどこが勝ち上がるか楽しみだ。

しかし、心配なことが一つある。ケガだ。コパ・アメリカに出場する多くの選手が、昨年6月のブラジルW杯を戦ってから、少しの休暇を経て各国リーグに散り、長いシーズンを戦った後、またコパ・アメリカだ。

メッシ、ネイマール、ハメス・ロドリゲスといった世界サッカー界の宝物が壊れてしまわないか、心配だ。この3人を含め、何人かは次のシーズン、ケガに悩まされることは疑いない。彼らは殺人的な試合数をこなしている。

以前から指摘されながら、なかなか改善しない問題だ。今回のFIFAスキャンダルの結果としての改革が、選手の保護という視点からも進むことを切望している。今回、FIFA理事に選出された日本の田嶋幸三氏には、この点について遠慮せずリーダーシップを発揮していただき成果をあげて欲しい。

もう一つのナショナルチーム大会が女子W杯。我らが「なでしこジャバン」が前回優勝国として出場するのは鼻が高い。日本が活躍することだけは望んでいないであろう某隣国は、果たしてどの程度活躍するだろうか。

私は、なでしこジャパンが連覇できるとは思っていないがベスト4には勝ち上がって欲しいものだ。がんばれ!なでしこジャパン。

さて、決勝が終わってから、ずいぶん日数が経ったが14~15欧州チャンピオンズリーグにも触れたい。当初の私の期待は、やはりスペインリーグの3チームだった。13-14シーズンは、ベスト8でアトレチコとバルセロナがつぶし合ったので、今シーズンこそ、この3チームがベスト4に残ればいいなと思っていたら、またもやベスト8でマドリッド同士がつぶし合った。

ベスト4は、バルセロナvsバイエルン、レアル・マドリーvsユベントス、スペインの2チームと2つの名門チーム、まぁ申し分ない組み合わせといえる。

そして決勝はバルセロナvsユベントス、結果はバルセロナの順当勝ちといったところか。

ただ、バルセロナの勝ち方は、確かにイメチェン路線だった。昨シーズンまでの、どんな狭いスペースでも繋ぎ切ってしまう、メッシを中心とした、イニエスタ、シャビ、アレクシス・サンチェス、セクス・ファブレガスらのメンバーによるパスサッカーから脱皮した。

それを1年でやり切ってしまったルイス・エンリケ監督は凄いという話になる。近年のバルセロナを確固たるチームにしたグアルディオラ監督、昨年取り上げたアトレチコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督に続き、リーガ・エスパニョーラの監督というのは、どんなに才能の宝庫なんだろうと思う。

もう一つ、ユベントスのことも印象的だった。辛口で鳴らすイタリアメディアもユベントスの健闘を讃えたという。それが正直な感覚というものだろう。

長くささやかれてきたカルチョの世界の疑惑が白日のもとにさらされ、その元凶としてユベントスはセリエB落ちというペナルティを受けたチームだ。

そうした中で、アレッサンドロ・デル・ピエロ、ダヴィド・トレゼゲ、ジャンルイジ・ブッフォン、パベル・ネドヴェドなどが残留して、06-07シーズン、セリエBを1年で脱出したことが大きかった。

それでもユベントスがしばらく欧州リーグ戦から消えたことで、イタリアサッカーの地盤沈下が進んだことは否めない。インテル・ミラノがモウリーニョ監督を擁して09-10シーズンの欧州チャンピオンズリーグを制したと言っても、イタリアサッカーの復権とはみなされていない。

ユベントスは、10-11シーズンに、アントニオ・コンテ監督が就任して、それまで5連覇を続けてきたインテルからセリエAのスクデットを奪還すると、その後は一度も覇権を渡さず4連覇している。

そうした実績の延長戦上に、今回の欧州チャンピオンズリーグ決勝進出があると思うのは、イタリアメディアも同じだろう。

ユベントス決勝進出で思うのは、よくぞ、這い上がった、よくぞ戻ってきたという感慨だ。戦力的にバルセロナに勝てそうな感じではない。しかし決勝のピッチに立った。

監督アッレグリが、稀代の戦略家であれば、奇策を用いてバルセロナの足元をすくうこともあるかなと思ったが、結果は「やっぱり」だった。

けれども、ユーベ、よくやった。ということだ。

私は、ついつい、これを日本のサッカー界に置き換えて考えてしまう。

たとえばJ2落ちという屈辱を、いまや「Jリーグオリジナル10」と呼ばれるチームも次々と味わっている。

名門の名をほしいままにしたチームが二部落ちした時に、どう立ち直るか。おそらく、一つの大きなカギは1年で脱出することだと思う。オリジナル10、つまり、1993年のJリーグ発足当初の10チームのうち、浦和、広島、G大阪はJ2落ちしても、すべて1年で脱出しているが、市原(現・千葉)、ヴ川崎(現・東京V)は1年での脱出がない。

その結果、千葉(旧・市原)と東京V(旧・ヴ川崎)は、J2が指定席になってしまうのではないかと心配される現状だ。どちらも名門中の名門にもかかわらず。

では、1年で脱出できる要因は何か? 幾つかあげられるだろうが、一番はユベントスのケースでもわかるように、主力選手の残留そして、何がなんでも1年で脱出するというチームとしてのエネルギーではないだろうか。

だとすれば、そういう危機の時、主力選手をして「このチームに残るんだ」と決意させるだけの「チーム愛」を育んだチームかどうかという話になる。つまり名門だとか強豪チームといった看板ではなく、組織としてのチーム、選手という人間の集合体であるチームに、常日頃、どれだけ
「チーム愛」という血が通っているかという話になる。

Jリーグ草創期のヴェルディ・マリノス時代のあと、アントラーズ・ジュビロ時代という時期があった。アントラーズとジュビロ、どちらも「チーム愛」を大切にしているように見え、これから長きに亘りJリーグの覇権を競う両雄であり続けるのではないかと期待したが、なぜかジュビロが脱落した。

ジュピロには、ゆるぎない「チーム愛」は育まれていなかったのか? 正直、私は落胆した。アントラーズとジュビロ、両雄であって欲しかったのに、それが叶わなかったからだ。

Jリーグの歴史は、まだ20年ちょっとだ。これから30年、50年、100年と悠久の歴史を重ねていく。その中で、長きに亘り覇を競う両雄と言われるチームがどこになるのか、結局、いまのところは、まだ出てきていないということか。

バルセロナとレアル・マドリーのような2強形になるのか、あるいはユベントス、ACミラン、インテルのような3強形になるのか、あるいはマンチェスターU、リバプール、アーセナル、チェルシーのような4強形になるのか、という楽しみもある。

今年の欧州チャンピオンズリーグを楽しんだ中で、このように、いろいろなことを感じた。

さぁ、男子日本代表は、いよいよロシアW杯出場を懸けて長い道のりに歩み出す。なでしこジャパンは連覇への道をひた走る。

私たちに多くの感動とワクワク感をもたらし、また、いろいろな「考える材料」を提供してくれるサッカーの世界、過去、現在、未来が途切れることなく繋がっている、この壮大な世界を、体感し続けたい。



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9位になったこともあるFIFAランキングと、どう付き合っていこうか

2015年01月09日 21時43分10秒 | 世界のサッカー
いま、1998年のサッカー関連映像をHDDに取り込んでいるが、何かの番組を見ていたらセルジオ越後さんが「日本はFIFAランキングで9位になっているんですが、それは日本のサポーターの評価じゃないかと思います」とコメントしていた。

日本のFIFAランキングの変化について、細かく数字をつかんでいたわけではなかったので、それを聞いて「えェー、9位になったことあるの?」と驚いてしまった。

日本代表が9位になったことがあるというのは、どういうことか、そう思ってネットで調べてみたら、フットボールチャンネルというサイトが2013年10月に配信した「世界で9番目に強かった時期も? 日本代表とFIFAランキング」という記事がみつかった。

記事によれば、9位という順位は、1998年2月と3月に記録したとのことだが「とはいえ、この順位には但し書きがつく。当時のFIFAランキングは算出方法が現在のものと異なっており、試合の重要性や対戦国にレベルは関係なく、国際試合で得た勝ち点を累計するような方式だったのだ。そのため親善試合を多くこなしたことでランキングが上り、このような順位になっていたと言われている」

また、ウィキペディアによれば、1999年と2006年に算出方法の変更が行われ、日本の順位もその都度、変動している。

現行方式になってからの最高順位は、2011年4月にランクされた13位とのこと。9位というのがあまり客観的でなかったとしても、13位なら立派なものだ。
それが、現在の日本のランキングは54位だ。そんなに下がってしまうものなのか。

現行のランキング決定方式について、ウィキペディアでは「新方式の評価と問題点」という項目で、概略つぎのように紹介している。

「強豪国の揃う欧州・南米諸国では、それぞれで国際Aマッチを行なえば、すべてポイント計算の基礎に参入され、従来より客観的なランキング算定になったが、欧州・南米のチームと対戦する機会が特に少ないアジア勢にとっては、W杯本大会で多少いい成績を残したとしても、それ以外のアジア内の試合によってランキングを上げることは相当困難な算定方式になっている。

一方で、アフリカ地域や北中米地域の国は、ランキングを上げやすくアジアの国々が、それらの国に相当抜かれている。」

なかなか完璧な算定方式というのは難しいのかも知れないが、なにやらFIFA内でのパワーゲームの産物ではないかという気もする。

ただ、日本が2011年に13位になったのは、2010年南アフリカW杯ベスト16進出と2011年1月アジアカップ優勝が相当効いているということがわかり、今度アジアカップで優勝すれば多少順位を持ち直すことができるということも理解できる。

逆に、昨年のブラジルW杯でグループリーグ全敗したこと、その前の年のコンフェデでも全敗したことで、ポイントの高い世界大会でのランキングアップができなかったということもわかってくる。

FIFAランキングを、たいして気にする必要ないのでは、という人もいると思うが、ワールドカップ出場国数の大陸別配分を変更したりする場合、この各大陸の毎に、1位から50位までに何カ国入っているかといったデータがモノを言ってくる。やはり欧州・南米中心のサッカーパワーを反映していると言わざるを得ない。

要は、大陸毎の力関係に影響を与えるバロメーターになるわけで、FIFA内での発言力とランキング算定方式はコインの裏表のような関係にあるといっていい。どれもこれも政治力ということになるが、政治力を増すこととアジアカップ、ワールドカップなどの国際大会で好成績を収めることもまた、コインの裏表の関係にあるといえる。

私たちがそんなことを論じる以上に選手たちは、自ら、選手としての意地とプライドを懸けて戦うだろう。そんなことを思い、近づくアジアカップ初戦を待ちたい。
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リバプールの赤と青

2015年01月07日 12時52分19秒 | 世界のサッカー
NHK-BSプレミアムというチャンネルで「世界ふれあい街あるき」という番組をやっている。どこかの都市の街路をぐるり歩きながら、その街の人とふれあい、街の雰囲気を伝えるという番組だ。

昨日6日の朝は、イギリス・リバプール編を見た。リバプールと言えば言わずと知れたビートルズを生んだ街であり、イングランド・プレミアリーグのリバプールFCとエバートンのホームタウンだ。どうやら先月12月23日に初回放送があったようだ。

私は、いかにも知った風に書いているが、実は、エバートンもリバプールのチームだと知ったのは、この番組を見たからだ。なので、とうにご存じのサッカーファンの方には当たり前の知識だと思うので申し訳ないが、赤と青の話に少々お付き合い願いたい。

貼り付けた画像は、リバフールFCのエンブレムとエバートンのエンブレムだ。



赤と青、つまりリバプールFCの赤とエバートンの青、それぞれのチームカラーだ。最初にその話をしてくれた人が「この街では、家族でも友達でも何人か集まっていれば、その中に、それぞれ赤と青のサポーターがいるから、試しに、どのグループでもいいから、赤ですか?青ですか?と尋ねてみるがいい」と教えてくれた。

そこで番組の取材陣(画面では取材陣の姿は映らず、日本語のナレーションだけで、その様子を伝えてくれる、この日のナレーターの一人は俳優の小倉久寛さん)は、さっそく何組かのグループに「すみません、突然ですが、赤ですか?青ですか?」と尋ねてみる。すると、最初の人が教えてくれたとおり、どのグループも、赤と答える人、青と答える人、まちまちで、何組か聞いたいずれも、だいたい半々といった答えだった。

もちろん家族の中でも友達同士でも、答えは分かれていた。取材陣は、たまらず「けんかにならないんですか?」と尋ねると「NO、リバプールFCとエバートンのサポーターは友好的なんだ」と返事が返ってきた。付け加えて「リバプールFCのほうがトロフィーの数が多いと言ってるけどね」だった。

トロフィーの数が少ないエバートンもサポーターの数では全然負けていない風だった。この雰囲気は驚きだ。普通、同じ街にあるサッカーチームは「あのチームだけには負けたくない」という意識を選手もサポーターもむき出しにしているものだと思っていた。

そしてダービーマッチ、つまり、同じ街、同じ地域どおしのチームの試合ともなれば、他の試合以上にヒートアップするものだと思っていたから、むしろ拍子抜けした。

この番組では、たとえばダービーマッチの時の、家族の中の表情や友達同士の表情までは追跡してくれなかったので、私は機会があれば、ぜひ、もっと詳しくリバプールFCとエバートンのサポーターの、お互いのチームについての態度などを知りたくなった。

つまり、他の地域とは異なる、何か特別な環境や歴史によって友好的な態度が育まれたのか、実際は他の地域と同じ程度に熱いのか、まず、それを確かめて、もし他の地域と異なる独特の友好的な雰囲気があるなら、他の地域にも伝えられるようなモデルを見いだせるのか、そんなことを突きつめてみたいと感じたのだ。

これも、当サッカー文化フォーラムとして研究テーマにしていきたい、そんなことを感じさせる番組だった。
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最近読んで感銘を受けたシメオネ監督本

2015年01月05日 19時24分02秒 | 世界のサッカー
ディエゴ・シメオネ監督本、この画像のとおり日本では「シメオネ超効果」というタイトルで出版された。

サッカー好きなら誰しも、あのリーガ・エスパニョーラのレアル、バルサ2強をさしおいて13-14シーズンのリーガを制し、欧州チャンピオンズリーグでも決勝まで勝ち上がったアトレチコ・マドリーの快挙はなぜ成しえたのか、少なからず関心があると思う。

したがって、そのチームの監督であるディエゴ・シメオネについて論じられる本が出るのは自然な流れだ。

私がディエゴ・シメオネの存在を知ったのは、アルゼンチン代表で1990年代はじめに、ほんの短かい期間だがマラドーナの跡をついで背番号10をつけて試合に出た頃からだ。その後背番号は8とか変わったが、セントラル・ミッドフィールドもしくはボランチあたりの、いわば汗かき屋的なイメージでみていた。

シメオネの悪名が世界に轟いたのは、1998年フランスW杯の決勝トーナメント1回戦イングランド戦、イングランドの若き貴公子デビット・ベッカムに対する挑発が報復攻撃を呼び、ベッカムを退場処分に追い込んだことだ。

この試合、イングランドがPK戦の末に敗退したこともあり、イギリスの主要日刊紙デイリー・ミラーが「10 heroic lions one stupid boy(10人のライオンと1人の愚かな若者)」という標語をつけて、ベッカムを戦犯扱いしたことから、ヒール役としてのシメオネも歴史に名をとどめている。

選手時代のシメオネは、お世辞にも甘いマスクとはいえない悪役然とした風貌だから、そのインパクトも大きかった。

私も彼のプレースタイルは、激しさでならすアルゼンチンサッカーを体現しているようなところがあると思ってみていたが、その人となりまでは正直良く知らなかった。

今回、この本を読んでみて、なんと指導者として資質の高い人だろうというのが一番の感想だ。
スペイン代表監督として2008年、44年ぶりのEURO優勝を果たしたルイス・アラゴネスが、この本の「巻頭の言葉」を飾っているが、彼がシメオネの人物像をシンプルに表現している。

いわく「私にとってシメオネのことを話すのは簡単だ。第一に、率直で精神も心も魂も誠実な人間であってくれたことに感謝したい。それらは私が人として最も価値をおいているものだ。(中略) 第二に、彼が選手として、今は監督として成し遂げたすべてのことをあらためて確認しておきたい。まだ若いのに偉大な監督の器であることを示している。結果を見れば明らかだし、特に彼の選手たちがどんなことを言っているかに耳を傾ければわかる。(以下略)」

具体的な内容ももっと書きたいが、むしろ本を実際に読んでみるのがいいと思う。
まだ44歳とのこと、これからビッグクラブでも指揮をとっていくだろうし、何よりアルゼンチン代表監督としての采配も見てみたい。

選手時代のイメージとの落差が大きいこともあって、自分自身がまるで変節したようにシメオネファンになった。
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50年たってもリプレイされるような歴史的試合を見てしまった

2014年07月09日 16時20分56秒 | 世界のサッカー

2014ブラジルW杯準決勝、ブラジルvsドイツ戦、ドイツが実に7点をとって1-7で勝利した。これは歴史的試合だ。

1950年のブラジル大会決勝で、ブラジルがウルグアイに敗れた試合は、いまだにリプレイされる。64年も前の試合でリプレイの対象になるのは、よほどの試合だからであり、今朝の試合もその仲間入りを果たした。

ブラジルが今後もサッカー王国と言われ続けるならば、という但し書き付きではあるが、まぁ世界ナンバーワンの地位は失うことがあっても、強豪国であり続けるだろうから50年たっても、観客席で思わず泣きじゃくってしまったメガネの少年の映像など、どこかの場面がリプレイされ続けるに違いない。

それにしても、まさかの屈辱的試合である。ただの負け方ではなく、ハンパない負け方だった。世界ナンバーワンのサッカー王国が、親善試合などではなく、ホンチャンのW杯、しかも準決勝で7点も取られ、6点差で負けてしまうなどという結果を誰が想像できただろうか。

まさにサッカーというものの恐ろしさを、これでもか、これでもかと見せつけた。

これでブラジル国民は、1億総代表監督と言われるほど、セレソンに対して厳しいノルマを課してきたことを、総懺悔しなければならないだろう。セレソンに対して過酷なノルマを課すなどということは、国民の側が、いかに身の程知らずだったかということだ。

おそらく、今後のブラジル国内のメディアの論調をはじめ、さまざまな空気は劇的に変わるに違いない。これまで、あまりにも高望みしてセレソンにプレッシャーをかけ続けてきたことに対する自戒の念が多分に支配するに違いない。

そうやって、また50年先に「サッカー王国」と称賛される時をめざして一歩一歩立て直していくことになるだろう。

それにしても、勝ったドイツには何のわだかまりもないのだが、なんとも悲しい試合だった。やはりW杯は祝祭でありたい。であれば開催国でしかも誰もが認める優勝候補のブラジルに決勝の舞台にあがって欲しい、それがサッカーを愛する者の自然な願望というものだ。

ネイマールも、キャプテン、チアゴ・シウバを欠いても団結して準決勝を凌ぎ切る。そういうシナリオを期待するのが自然な願望というものだ。

それがだ。7点も取られたあげくに、自国の不世出の怪物FW・ロナウドが持っていたW杯通算得点記録まで相手チームのFW・クローゼに破られてしまったのだ。これほどの屈辱、これほどの悲劇はそう滅多にあるものではない。

そういう試合を見てしまったのだ。勝ったドイツに対して、ニュートラルな気持ちで称賛を贈るには相当長い年月を要する気がする。

なにはともあれ、記録にとどめておくことただけはしなければならない。

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テレビドラマを数段凌ぐ東京五輪招致ストーリー。さぁ、次はW杯単独開催招致だ!!!

2013年09月09日 23時19分29秒 | 世界のサッカー

2020年東京五輪招致成功で、日本中で明るいムードが一層増すことは間違いない。年明けからの円安傾向、株高で少しムードが変わったのに続き、次のギアチェンジになりそうだ。

そして、決定からまだ2日だが、五輪招致のキメ手は何だったのか、決定に至るプロセスでチームジャパンはどのような活動をしたのか、分析がかまびすしい。

さきほど放送されたNHKの「クローズアップ現代」は、さっそくJOCの竹田会長にインタビューしながら、ここ1年のロビー活動を追っていた。

竹田会長自身がIOC委員であること、最終プレゼンメンバーに高円宮妃、安倍総理も加えたオールジャパン体制を整えたことなど、やはり万全を尽くしたと思える状況があったことが、よくわかる。

それでも、勝てるかどうか、他候補地の状況との相対的な関係が左右するので、必ずしも確信のもてる状況ではなかったと思うが、「クローズアップ現代」の中であるIOC委員がインタビューに答えていたように「我々はずいぶん前から投票先を決めていました」と、おそらくIOC委員の半数以上はロビー活動の段階で決めていて、残りの未定委員が最終プレゼンまで帰趨を留保していたということだろう。

それにしても、番組の作り方もうまいのだが、竹田会長の1年間の活動の舞台裏、そして最終プレゼンメンバーの心打つスピーチ、極めつけが、安倍総理の、選考委員たちを安心させるスピーチと答弁、すべてが見事なまでに練られた準備だった。

その結果、テレビドラマを数段凌ぐドラマチックなストーリーの、招致活動ドキュメントを見せてもらうことになった。

そして、すでに放送された幾つもの番組を見ながら思うのは「さぁ、次はW杯単独開催の招致」だ。

私は2002年のW杯など、日本サッカー界そして当時の日本全体のスポーツ外交下手を世界に知らしめた事例として、我々日本全体が決して忘れてはならない出来事だと思っている。

やらないより、やれただけ良かったと、当のサッカー界が言ってはいけないと思う。なぜなら決定直前まで「単独開催」を模索していたわけで、共催は、いわば苦渋の選択だったのだから。周囲や多くのサッカーファンが、サッカー界の「残念な結果」の労をねぎらう意味で「やらないより、やれただけよかった」という言い方をしているだけで、間違っても当事者たちが自賛的に言うことではない。

スポーツ外交の当事者だった人たちは、その反省を長年引き継いで、次のW杯招致の時には絶対同じ轍を踏まないと言い続けなければならないと思う。

東京だって4年前失敗した上での今回なのだ。4年前だから引き続き失敗を活かせる期間となったとも言えるが、サッカー界として大切なのは、今回のキーワードにもなったレガシー、それも2002年の教訓を、レガシーコストつまり「負の遺産」として引き継ぎ、次回に活かすことだ。

さぁ、どうだろう、日本サッカーはJFA2005年宣言で、2050年までにW杯優勝を目指すこととしている。その間のW杯招致は盛り込まれていないが、2020年東京五輪の前になるか後になるかはわからないが、必ずW杯招致の機運が生ずるに違いない。その機運が生まれた時、どの時期をめざすか、2002年招致のキッカケは1986年メキシコW杯前のFIFA総会におけるアベランジェの「21世紀最初のW杯はアジアもしくはアフリカで」の発言である。つまり16年前ということだ。仮に2020年に何かアドバルーンが上がるとすれば、早くても10年後、つまり2030年W杯がターゲットになる。

2014年がブラジル、2018年がロシア、2022年がカタールと決まっている。2026年はEU圏ということだろうか、そうなると2030年は北中米アメリカか? 日本はむしろ、その次の2034年が目標として自然だろう。

また、その前に2022年のカタール開催問題というのも燻っている。開催時期との兼ね合いで夏のカタール開催はあり得ないという場合、冬変更か他国での代替開催をFIFAは迫られる。開催能力の高さを今回評価された日本が、2020年五輪のあと2022年W杯の開催、ブラジルW杯とリオ五輪の流れを考えれば、おかしい話しではない。

シリア問題の長期化で中東情勢が流動化するなどということになったらなおさらだ。

しかし、おくゆかしい日本のことだ。今のままなら2022年カタールの代替などと、自分からは口が裂けてでも言わないだろう。しかも2022年大会の投票で日本は韓国より先に脱落している。日本が名乗り出ようものなら韓国が黙っているわけがない「投票で我々より下だった日本になぜ開催する権利があるのか」と。

しかし、2002年の禍根を払拭するとしたら、そこで黙っていてはダメだろう。今のままではダメなのだ。そういう事態を想定して布石を打っていかなければならない。さしあたり必要な戦略はFIFA内に役員を送り込むことだ。「いつやるか?」「今でしょう」はやりのフレーズになるが、それがピッタリの状況だ。10年後を見据えるなら今動き出さなければ、何事もなし得ない。

私は、この問題については遠慮せず物を言うつもりだ。JFAが、せっかく川淵会長が後任に犬飼基昭氏を会長に据え、真に実力のある人を会長にという流れを作ろうとしたのに、犬飼氏は一期わずか2年で会長職を退いた。私は、このことが今に禍根を残していると考えている。

当時、次期役員候補推薦委員会なる会合の信任投票で、犬飼会長に対する信任票が少なかったため退く結果となったわけだが、いわば批判の動きの中心となった人物を果敢にあぶりだそうとした意欲ある専門誌もあり、知る人ぞ知る「事件」である。

しかし、その後、今年5月のFIFA理事選挙に、日本から予定されていた人物が出馬を見送っている。これについて関係者が「サッカーは政治ではなく、サッカーのための(アジア支援活動など)活動を地道に続けることが重要」と次の選挙への地盤固めを意識した選択であることを強調したと報道されている。

FIFA内部に人材を置いていないことが、どれほど情報過疎になるか、2002年招致活動で、片や日本は人脈なし、片や韓国はチョン・モンジュが次期会長と目されるヨハンソサン副会長にガッチリ食い込んで共催に持ち込んだ、あの失敗を犯していながら、そういう説明をしてその場を取り繕う。出馬見送り自体が、すでに、それまでのロビー活動で負けていた結果そのものなのに・・・。

彼らが、いくら次への地固めだと取り繕っても、次期選挙でFIFA理事を勝ち取ることはないだろう。例え気持ちとか意欲はあっても、仲間内だけの組織でうまくやれるほど、もう世界相手の交渉は甘くはないのだ。それこそ今回の東京五輪招致ではっきりしたように、オールジャパンで取り組む戦略とか、海外との豊富な人脈をすでに持っている(たとえば犬飼さんのような)サッカー人もしくはサッカー界とつながりの深い人を取り込む戦略を持たなければダメな時代なのに・・・。

川淵さんは、そのことを熟知していたからこそ犬飼さんに後を託したのに、当時「改革が急進的すぎる」だとか「やり方が独善的すぎる」だとか、結局、ひきづり降ろすための難癖をつけただけの話で、何んとも嘆かわしい限りだ。

そんなことをしていては、またどこかの隣国に足元をすくわれて、日本中が悔しい思いをさせられる。なんとか立ち上がりませんか?

東京五輪招致の次は、さぁ、W杯の単独開催招致なんですから。50万人署名活動でも始めませんか? 何処に問題の病巣があるのかはっきりさせる署名活動でも・・・。

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