私が、長い年月、収録・収蔵を続けてきたサッカー情報のうち、試合映像・番組映像をビデオテープからパソコンを通じてHDDに取り込む作業を続けていることは、このブログでもたびたびご報告しているが、現在、その取り込み作業は1998年分を行なっている。
1998年はフランスW杯の年、日本が初めてワールドカップの舞台に立った年であり、4年後には日韓共催大会を控えた年ということで、マスコミの取り上げ方は、それこそ洪水のような量だ。
この年のビデオテープはなぜか、どれもこれもカビ発生だらけで1本1本修復しながらなので、なかなか取り込みが進まない。
そんな中、1998年6月6日にフジテレビ「土曜一番!花やしき」という番組が放送され「緊急特集!カズ無念の帰国」という映像の取り込み作業を行なった。そして、あらためて28分の番組を見た。
フランスから戻ったカズ選手と北澤豪選手の会見、カズ選手のここまでの軌跡、そしてコメンテーターによるカズ選手外しの是非論などが番組の内容だ。
16年前の衝撃的な出来事を報じた番組を見て、あらためて二つのことを思った。
一つは、カズ選手が、記者たちからの、いわば「悔しくはないのか」「怒りをぶつけたくはないのか」的な質問攻めに対して、終始一貫、泣き言一つ言わず「選手選びは監督の決めることでありそれについて自分が言うことはない」「ワールドカップへの夢はあきらめたわけではないし、これからもそれに向かってチャレンジしていく」と応じ、そして、あの名言である「魂は向こうにおいてきた」と語っているのである。
今にして思えば、彼は「今回がダメでも4年後がある」と気持ちを切り替えていたから、そう応じていたのではないたろうか。
なぜなら、いまなお現役のカズ選手、並みの選手なら「今回がラストチャンスだった。次回はもう代表に選ばれて日韓ワールドカップの舞台に立てるレベルにはないだろう」と考えそうなものだが、カズ選手にはそんな発想が露ほどもなかったのかも知れない。現役を続けている今のカズ選手を見ると、その時、決して強がりでもなんでもなく、ごく自然に「次をめざす」と切り替えたのではないかと思えてならない。
それにしても、こんなに潔い会見が出来る選手は滅多にいないと思う。カズ選手の「キング・カズ」たる所以を再認識した番組映像だ。
もう一つ、岡田監督のカズ外しの本質をどう捉えればいいのか?という点だ。番組でのジャーナリスト・二宮清純さんの発言が正鵠を射ていたように思う。
番組では、いろいろ人からいろいろな意見が出ていたが、二宮さんは「要するに誰を残して誰を外すか、それは監督の専権事項であり、周りが何を騒いでも始まらない、しかし、外し方の良しあしは問題にされる。外された3人のうちの市川大祐選手、彼が同じように外されても何も問題にはされない。しかし、カズは日本サッカーをこれまで牽引してきた功労者だ。それを外すには外し方というものがある。」と指摘した。
問題の核心は、岡田監督には監督の経験が全くないまま代表監督になってしまった人だから、重要な選手を外すということについても、当然全く経験がない、いわば無知、もっと言えば外し方について無能な監督だというところにあるというのが二宮さんの指摘なのだ。
経験があり、さらには有能な監督であればあるほど、礼を尽くす外し方に最大限配慮する、というわけだ。
納得のいく指摘である。
あれから16年、岡田監督は、この時の「カズ外し」について「外し方が未熟でカズに申し訳ないことをした」と総括しているだろうか?
実は、このカズ外しをした時、岡田監督がフランスで屋外での立ったまま行なった会見で「3人とも、そのままフランスに残すつもりだったが、カズ、北澤については私の見通しが甘かったようで、思った以上に動揺が激しく、チームに与える影響も考えて日本に戻すことにした」と説明した。
外し方を間違ったために、火に油を注ぐ結果を招いたということになる。
二宮氏は「見通しが甘かった」などということ自体が、監督として無能なのだと痛烈に批判していたが、外したことがいいのか悪いのかという問題ではなく、まともな監督ならば「外し方」を間違ったりしないのだということがポイントだったようだ。
私は、その後の資料を詳しく点検していないので、いまは評価できないが、岡田監督がこの時の「カズ外し」について「外し方が未熟でカズに申し訳ないことをした」と総括しているのであれば、すべて終わったことと思いたい。
1998年はフランスW杯の年、日本が初めてワールドカップの舞台に立った年であり、4年後には日韓共催大会を控えた年ということで、マスコミの取り上げ方は、それこそ洪水のような量だ。
この年のビデオテープはなぜか、どれもこれもカビ発生だらけで1本1本修復しながらなので、なかなか取り込みが進まない。
そんな中、1998年6月6日にフジテレビ「土曜一番!花やしき」という番組が放送され「緊急特集!カズ無念の帰国」という映像の取り込み作業を行なった。そして、あらためて28分の番組を見た。
フランスから戻ったカズ選手と北澤豪選手の会見、カズ選手のここまでの軌跡、そしてコメンテーターによるカズ選手外しの是非論などが番組の内容だ。
16年前の衝撃的な出来事を報じた番組を見て、あらためて二つのことを思った。
一つは、カズ選手が、記者たちからの、いわば「悔しくはないのか」「怒りをぶつけたくはないのか」的な質問攻めに対して、終始一貫、泣き言一つ言わず「選手選びは監督の決めることでありそれについて自分が言うことはない」「ワールドカップへの夢はあきらめたわけではないし、これからもそれに向かってチャレンジしていく」と応じ、そして、あの名言である「魂は向こうにおいてきた」と語っているのである。
今にして思えば、彼は「今回がダメでも4年後がある」と気持ちを切り替えていたから、そう応じていたのではないたろうか。
なぜなら、いまなお現役のカズ選手、並みの選手なら「今回がラストチャンスだった。次回はもう代表に選ばれて日韓ワールドカップの舞台に立てるレベルにはないだろう」と考えそうなものだが、カズ選手にはそんな発想が露ほどもなかったのかも知れない。現役を続けている今のカズ選手を見ると、その時、決して強がりでもなんでもなく、ごく自然に「次をめざす」と切り替えたのではないかと思えてならない。
それにしても、こんなに潔い会見が出来る選手は滅多にいないと思う。カズ選手の「キング・カズ」たる所以を再認識した番組映像だ。
もう一つ、岡田監督のカズ外しの本質をどう捉えればいいのか?という点だ。番組でのジャーナリスト・二宮清純さんの発言が正鵠を射ていたように思う。
番組では、いろいろ人からいろいろな意見が出ていたが、二宮さんは「要するに誰を残して誰を外すか、それは監督の専権事項であり、周りが何を騒いでも始まらない、しかし、外し方の良しあしは問題にされる。外された3人のうちの市川大祐選手、彼が同じように外されても何も問題にはされない。しかし、カズは日本サッカーをこれまで牽引してきた功労者だ。それを外すには外し方というものがある。」と指摘した。
問題の核心は、岡田監督には監督の経験が全くないまま代表監督になってしまった人だから、重要な選手を外すということについても、当然全く経験がない、いわば無知、もっと言えば外し方について無能な監督だというところにあるというのが二宮さんの指摘なのだ。
経験があり、さらには有能な監督であればあるほど、礼を尽くす外し方に最大限配慮する、というわけだ。
納得のいく指摘である。
あれから16年、岡田監督は、この時の「カズ外し」について「外し方が未熟でカズに申し訳ないことをした」と総括しているだろうか?
実は、このカズ外しをした時、岡田監督がフランスで屋外での立ったまま行なった会見で「3人とも、そのままフランスに残すつもりだったが、カズ、北澤については私の見通しが甘かったようで、思った以上に動揺が激しく、チームに与える影響も考えて日本に戻すことにした」と説明した。
外し方を間違ったために、火に油を注ぐ結果を招いたということになる。
二宮氏は「見通しが甘かった」などということ自体が、監督として無能なのだと痛烈に批判していたが、外したことがいいのか悪いのかという問題ではなく、まともな監督ならば「外し方」を間違ったりしないのだということがポイントだったようだ。
私は、その後の資料を詳しく点検していないので、いまは評価できないが、岡田監督がこの時の「カズ外し」について「外し方が未熟でカズに申し訳ないことをした」と総括しているのであれば、すべて終わったことと思いたい。