明日、Jリーグ20シーズン目は最終節を迎えます。
最終節を待たず、サンフレッチェ広島が優勝を決めました。勝ち点1しか違わないベガルタ仙台とのマッチレースを制しました。
私は、このような長丁場のレースでは歴史と伝統が結果を左右すると信じているタイプで、その代表的なものがワールドカップであり欧州チャンピオンズリーグだと感じています。
わがJリーグも20年の歴史を積み上げる中で、少しづつ、そのような様相を見せ始めていることに少し誇らしい思いを抱いているところです。
その思いに照らしてみれば、広島の優勝は妥当な結果であり、仙台が栄冠を掲げるまでには、もう少し時間という名の歴史が必要だと思うし、もし仙台が優勝するとすれば、今回の経験が生きて達成されるのだと思います。
広島は、Jリーグがスタートした時の10チームのメンバーです。リーグチャンピオンこそ今回初めてでしたが、1994年前期にはステージ優勝を経験しており、天皇杯で2回、ナビスコカップで1回決勝を戦っています。
さらに2部落ちの経験も一度ならず二度までも経験して、その都度一年で一部に復帰しています。こうした、さまざまな経験が「勝ち切るために何が必要か」という勝者のメンタリティを育んできているのです。歴史と伝統の重みとは、そういう「形に現われるものではないけれど確実に存在する」、いわばチームとしての無形の財産だと言えるでしょう。
したがって仙台も、今回の経験が確実にチームの財産となっていくことになります。
広島の栄冠のベースになっている要因に、浦和に移ったベドロビッチ前監督が築いたチーム作りと、Jリーグ全チームの中でナンバーワンと言われる育成の素晴らしさがあげられています。私は、それに付け加えて底抜けに明るいチームのムードも付け加えたいと思います。
人によっては「軽薄すぎる」と評するほどの、ゴール後や勝利後のチームパフォーマンス、若いメンバーが多いからこそ出来る面もありますが、それがピッチ上の風景としてなじむ程、よく練られたパフォーマンス、プロチームとして独自の個性を持つことの重要性からみれば、もはや大きな財産と言えるでしょう。優勝したあとの今後も、このパフォーマンスが続くのかどうか気になるところですが、むしろ続けて欲しいと思いますし、優勝という結果を出した今、軽薄だとは誰も言えなくなったと思います。
森保監督は、就任1年目、しかも若くしてJリーグ優勝監督の歴史にその名を刻みました。優れた日本人監督が育って欲しいと願う私は、ぜひ来年以降も優勝を争うチーム作りをして欲しいと思います。未知数と思われたストイコビッチ監督が見事名古屋を強豪チームに変身させた手腕を、ぜひ森保監督にも発揮して欲しいと期待しています。