五輪サッカー男子三位決定戦、メキシコ戦が終わりました。「銅メダルならず」というのが日本全国の共通意識だと思います。
開催国としてメダルを目指す準備もしてきたし、それなりに仕上がって、日本全体としての期待も高まり、大会に入って見事にグループリーグを突破し、準々決勝も勝ち、準決勝まで進みましたから、まさにシナリオどおりに進んだわけです。
けれども、そこからの2試合は、世界のトップレベルに仲間入りすることの厳しさを、嫌という程味わわされた2試合と言えます。
試合が終わってからしばらく、私は選手たちをどう迎えてあげるべきかを考えていました。
話は急に脱線しますが、この際なので、どうしても許せない点を、思い切り糾弾しておきますが、試合が終わった直後の選手たちを、無理やりマイクの前に引きずり出して、ろくでもないインタビューをする企画の首謀者は誰なのでしょう。
今回の東京五輪に限らず、これまでも似たようなシーンを目にしたことがあって、無礼千万だと思っていましたが、今回という今回は、はっきり言わせてもらいたい思います。
二度とこういう傲慢な企画はやめにして欲しいところです。
話が脱線しましたが、元に戻して「選手たちをどう迎えてあげるべきか」です。
今回のチームは、「東京五輪でのメダル、それも金メダルを目指す」という十字架を背負って最高峰への到達を目指した旅路に出ましたから、いろいろな意味で過酷な旅路だったと思います。
どの国も同じ条件とはいいながら、やはり中二日での連戦、しかも連日、猛暑日続きの中の連戦でした。その中で残ったベスト4の4チーム、実は戦力的に一番劣るのは日本だったと言わざるを得ません。4チームの中で対戦していないのはブラジルですが、どこかで当たっていても、やはり同じだったでしょう。
特に攻撃面の力不足は、隠しようがありませんでした。久保選手、堂安選手の二人は、グループリーグでは通用しても決勝トーナメントでは力を封じられてしまいました。他の攻撃陣の選手は、まだまだ世界のトップレベルでは結果が出せる技術はありません。
ついつい、彼らに実力以上のことを期待してしまいますが、やはり現実を見せつけられたというところです。
オーバーエイジで参加して「ロンドン五輪で味わった悔しさを、今回の若い選手たちに味わわせたくない」と悲壮な使命感を抱いていたキャプテン・吉田麻也選手、酒井宏樹選手は、使命を果たせなかった自分を責めていることでしょう。
けれども、今回、ベスト4まで勝ち上がれたのは守備陣の安定した働きによるものであり、なんら自責にかられる必要はありません。
私が「選手たちをどう迎えてあげるべきか」について出した答えは「最高峰のメダルを目指して挑んだ戦いではありましたが、実はベスト4が、今回の日本代表が到達できる最高の到達点であり、それを達成した皆さんの今大会は、申し分ない戦いでした。過酷な状況の中、本当によくやってくれました。」という内容です。
メダル獲得、それも金メダル獲得を目標として掲げ、最大限の努力をすることがチームを高めることになるわけですが、大会そのものの結果は対戦相手の力量という相対的な力関係が、試合の結果として表れてきますから、目標通りにいかないことは、いくらでもあることです。
さきほども申しあげたとおり、実際に大会に臨んてみると、スペイン、ブラジル、メキシコより上回る成績をあげることはできないのが今大会の日本代表であることが明らかになりましたから、4番目が最高の結果だったといって間違いないところです。
残された検証課題としては、攻撃陣の力量を補完するという意味で、オーバーエイジの一人を、攻撃的な選手にするという選択肢の是非を検証するぐらいなものでしょう。
私自身は、オーバーエイジの選出を含めてのチーム編成、そして各試合での選手起用、いずれについても森保監督の采配はベストだったと感じていて、よくぞ、ここまで仕上げたものだというのが実感です。
ここからは、日本が世界の戦いで、もう一つ突き抜けるには、どうすればいいかについて書きたいと思います。
と言いますのは、W杯で言えばベスト16、五輪で言えばベスト4、ここまでは日本が到達できるところまで来た、というのが今大会の総括だと思うからです。
では、この先、どうか、ということです。
私は、こう思うのです。
世界のトップクラスに君臨しているのが、よく言われるW杯優勝経験国の8ケ国(ここでは、いちいちあげません)、日本は、その次のグループにランク付けされるぐらいのところに来ているのかと言えば、まだまだ、かなり難しいと、今回実感しました。
その好例が、今回のメキシコです。すでに五輪では金メダル2回を含めてメダル常連国のメキシコ、そのメキシコでさえ、まだW杯優勝国に近いかと言えば、やや疑問符がつきます。
つまりW杯優勝国になるということが、いかに難しいかを示しており、いかにサッカーが盛んになり人気が出ようとも、優勝国の持つ歴史、文化、国民性には、かなり足りない部分があるのではないかと思うのです。
W杯でベスト16の壁を突き破り、ベスト8に勝ち進むには、8ケ国の優勝国に加えメキシコ、オランダ、ボルトガルといった優勝経験こそないものの、日本よりはるかに歴史も経験も深い国を撃破しないとダメなわけで、過去に日本がベスト16で対戦した国、トルコ、パラグアイ、ベルギーでさえ、上記8ケ国+3に入っていない国なのです。
このうちベルギーは、8ケ国+4にしてもいいレベルですから、これからのW杯では仮にグループリーグを突破できても、ベスト16の相手として8ケ国+4のどこかと戦う確率がかなり高いですから、しびれるような本番で、こうした国と戦って互角以上の試合ができるレベルにならないとダメなんだということを、今回の東京五輪によって思い知らされた気がします。
それでも、将来は明るいというのが私の結論です。久保選手も堂安選手も、今回、決勝トーナメントでは通用しなかったわけですが、ここ数年の間に成長した結果、グループリーグでは見事な働きぶりでしたし、この先も成長していく選手でしょう。
守備陣に至っては、この先が本当に楽しみな人材が目白押しです。カタールW杯ではどういうチーム編成ができるのか不透明ですが、アジア予選を突破して本大会グループリーグを突破できるぐらいのチームは作れそうな気がします。その先の決勝トーナメントも期待できそうなチーム、そう思えるだけでも素晴らしいと思います。
願わくば、前線に二人ぐらいは身長180センチクラスの久保、堂安レベルの選手が欲しいところです。
そう願望を抱いて、今大会のしめくくりとしたいと思います。
五輪サッカー男子代表選手の皆さん、本当にご苦労様でした。お疲れ様でした。6試合を応援できた至福の贈り物に心から感謝申しあげます。
開催国としてメダルを目指す準備もしてきたし、それなりに仕上がって、日本全体としての期待も高まり、大会に入って見事にグループリーグを突破し、準々決勝も勝ち、準決勝まで進みましたから、まさにシナリオどおりに進んだわけです。
けれども、そこからの2試合は、世界のトップレベルに仲間入りすることの厳しさを、嫌という程味わわされた2試合と言えます。
試合が終わってからしばらく、私は選手たちをどう迎えてあげるべきかを考えていました。
話は急に脱線しますが、この際なので、どうしても許せない点を、思い切り糾弾しておきますが、試合が終わった直後の選手たちを、無理やりマイクの前に引きずり出して、ろくでもないインタビューをする企画の首謀者は誰なのでしょう。
今回の東京五輪に限らず、これまでも似たようなシーンを目にしたことがあって、無礼千万だと思っていましたが、今回という今回は、はっきり言わせてもらいたい思います。
二度とこういう傲慢な企画はやめにして欲しいところです。
話が脱線しましたが、元に戻して「選手たちをどう迎えてあげるべきか」です。
今回のチームは、「東京五輪でのメダル、それも金メダルを目指す」という十字架を背負って最高峰への到達を目指した旅路に出ましたから、いろいろな意味で過酷な旅路だったと思います。
どの国も同じ条件とはいいながら、やはり中二日での連戦、しかも連日、猛暑日続きの中の連戦でした。その中で残ったベスト4の4チーム、実は戦力的に一番劣るのは日本だったと言わざるを得ません。4チームの中で対戦していないのはブラジルですが、どこかで当たっていても、やはり同じだったでしょう。
特に攻撃面の力不足は、隠しようがありませんでした。久保選手、堂安選手の二人は、グループリーグでは通用しても決勝トーナメントでは力を封じられてしまいました。他の攻撃陣の選手は、まだまだ世界のトップレベルでは結果が出せる技術はありません。
ついつい、彼らに実力以上のことを期待してしまいますが、やはり現実を見せつけられたというところです。
オーバーエイジで参加して「ロンドン五輪で味わった悔しさを、今回の若い選手たちに味わわせたくない」と悲壮な使命感を抱いていたキャプテン・吉田麻也選手、酒井宏樹選手は、使命を果たせなかった自分を責めていることでしょう。
けれども、今回、ベスト4まで勝ち上がれたのは守備陣の安定した働きによるものであり、なんら自責にかられる必要はありません。
私が「選手たちをどう迎えてあげるべきか」について出した答えは「最高峰のメダルを目指して挑んだ戦いではありましたが、実はベスト4が、今回の日本代表が到達できる最高の到達点であり、それを達成した皆さんの今大会は、申し分ない戦いでした。過酷な状況の中、本当によくやってくれました。」という内容です。
メダル獲得、それも金メダル獲得を目標として掲げ、最大限の努力をすることがチームを高めることになるわけですが、大会そのものの結果は対戦相手の力量という相対的な力関係が、試合の結果として表れてきますから、目標通りにいかないことは、いくらでもあることです。
さきほども申しあげたとおり、実際に大会に臨んてみると、スペイン、ブラジル、メキシコより上回る成績をあげることはできないのが今大会の日本代表であることが明らかになりましたから、4番目が最高の結果だったといって間違いないところです。
残された検証課題としては、攻撃陣の力量を補完するという意味で、オーバーエイジの一人を、攻撃的な選手にするという選択肢の是非を検証するぐらいなものでしょう。
私自身は、オーバーエイジの選出を含めてのチーム編成、そして各試合での選手起用、いずれについても森保監督の采配はベストだったと感じていて、よくぞ、ここまで仕上げたものだというのが実感です。
ここからは、日本が世界の戦いで、もう一つ突き抜けるには、どうすればいいかについて書きたいと思います。
と言いますのは、W杯で言えばベスト16、五輪で言えばベスト4、ここまでは日本が到達できるところまで来た、というのが今大会の総括だと思うからです。
では、この先、どうか、ということです。
私は、こう思うのです。
世界のトップクラスに君臨しているのが、よく言われるW杯優勝経験国の8ケ国(ここでは、いちいちあげません)、日本は、その次のグループにランク付けされるぐらいのところに来ているのかと言えば、まだまだ、かなり難しいと、今回実感しました。
その好例が、今回のメキシコです。すでに五輪では金メダル2回を含めてメダル常連国のメキシコ、そのメキシコでさえ、まだW杯優勝国に近いかと言えば、やや疑問符がつきます。
つまりW杯優勝国になるということが、いかに難しいかを示しており、いかにサッカーが盛んになり人気が出ようとも、優勝国の持つ歴史、文化、国民性には、かなり足りない部分があるのではないかと思うのです。
W杯でベスト16の壁を突き破り、ベスト8に勝ち進むには、8ケ国の優勝国に加えメキシコ、オランダ、ボルトガルといった優勝経験こそないものの、日本よりはるかに歴史も経験も深い国を撃破しないとダメなわけで、過去に日本がベスト16で対戦した国、トルコ、パラグアイ、ベルギーでさえ、上記8ケ国+3に入っていない国なのです。
このうちベルギーは、8ケ国+4にしてもいいレベルですから、これからのW杯では仮にグループリーグを突破できても、ベスト16の相手として8ケ国+4のどこかと戦う確率がかなり高いですから、しびれるような本番で、こうした国と戦って互角以上の試合ができるレベルにならないとダメなんだということを、今回の東京五輪によって思い知らされた気がします。
それでも、将来は明るいというのが私の結論です。久保選手も堂安選手も、今回、決勝トーナメントでは通用しなかったわけですが、ここ数年の間に成長した結果、グループリーグでは見事な働きぶりでしたし、この先も成長していく選手でしょう。
守備陣に至っては、この先が本当に楽しみな人材が目白押しです。カタールW杯ではどういうチーム編成ができるのか不透明ですが、アジア予選を突破して本大会グループリーグを突破できるぐらいのチームは作れそうな気がします。その先の決勝トーナメントも期待できそうなチーム、そう思えるだけでも素晴らしいと思います。
願わくば、前線に二人ぐらいは身長180センチクラスの久保、堂安レベルの選手が欲しいところです。
そう願望を抱いて、今大会のしめくくりとしたいと思います。
五輪サッカー男子代表選手の皆さん、本当にご苦労様でした。お疲れ様でした。6試合を応援できた至福の贈り物に心から感謝申しあげます。