フラットパネルディスプレイ審取
平成22年(行ケ)第10302号 審決取消請求事件
請求棄却
裁判所の判断は18ページ以下。
本件は拒絶査定不服審判不成立審決に対して取消を求めるものです。
争点は容易想到性です。
本判決は、まず、概ね、オフセット領域を具備した薄膜トランジスタにおいて、オフセット領域の不純物濃度が低く電気抵抗が高いと、オフセット領域のない薄膜トランジスタと比べて、薄膜トランジスタを流れるドレイン電流が小さくなることは、本件優先日前、周知技術であると述べた上で、「電流制御用TFT602」に流れる電流値が小さく設定される引用発明において、上記「電流制御用TFT602」を、「そのチャネル長(L)が長めに設計され」た構成に代えて、相違点に係る構成を採用したとしても、「電流制御用TFT602」に流れる電流値を小さく設定できることは、オフセット領域を具備した薄膜トランジスタにおける上記周知の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に想到し得たものということができる」と判断しました。
本判決は、さらに、「オフセット領域を具備した薄膜トランジスタが、線形領域(非飽和領域)と飽和領域のいずれで動作する場合でも、薄膜トランジスタを流れるドレイン電流が制限されることは、当業者には自明であるから、引用発明に上記周知の技術的事項を適用して引用発明における「電流制御用TFT602」を構成した際に、「電流制御用TFT602」を線形領域(非飽和領域)と飽和領域のいずれで動作させるかは、当業者が必要に応じて適宜選択し得たものであることも明らかであって、このように認めることをもって後知恵とするのは相当でない」と判断しました。
比較的ハイテクな技術に関して進歩性を否定した事例として参考になります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます