数年前の北京などでの日系店舗や会社への暴力事件の折にも、あたかも中国のあちこちで、中でも北京では市内全域で暴動が起きているかのようにマスコミは発表したが、まさにその時期に仕事で北京に行き、数日滞在した同僚の目撃談では、
「仕事なので、どうなることかと仕方なく、こわごわ中国に行ったが、北京市内は静かなものだった。 マスコミが報道しているのは、極一部で騒いでいる若者をあたかも全国で暴れているように描いているだけ」という話であった。
今回の暴動もそういう程度のものではなかったのだろうか?
それを、宗教指導者の陰謀のように公式に発表して「弾圧」したように見られたことから、局部的な暴力沙汰として取り締まれるはずだった「小暴力」が、結果的にあちこちに拡散させた可能性がある。
私の感触としては、中国政府は対応を誤ったのではないかということだ。
【大津留公彦のブログ2】 でも書いていた、2008年3月18日の田中 宇さんの「時事ニュース」 は、私も配信を受けているが、この事件について背後で糸を引いているアメリカについて以下のように書いている。
チベット人による独立・自治拡大要求の運動は、中国共産党が政権を取った直後の1950年代から、冷戦の一環として米英の諜報機関が亡命チベット人を支援して持続させている、米英の諜報作戦でもある。その歴史から考えて、今回の騒乱も、北京五輪を成功させて大国になっていこうとする中国政府の戦略を壊そうとする、米英諜報機関の支援・扇動を受けて行われている可能性が大きい。
(アメリカでは「多極主義者」と「米英中心主義者」が暗闘しているという私独自の図式から見ると、五輪の選定会で北京を勝たせたのは多極主義者であり、五輪を潰すために「これが最後のチャンスだ」と言ってチベット人の運動を扇動したのは米英中心主義者である)
チベットの騒乱が今後どこまで拡大するかわからないが、もし国際的な五輪ボイコットに発展した場合、中国は面子を激しく潰され、絶望する。すでに中国のテレビでは、チベット族の暴徒が、ラサの漢民族の商店を破壊する映像が繰り返し放映され「勤勉な漢民族をねたむ一部のチベット族が暴動を起こしている」という図式が、中国人の大半を占める漢民族の頭の中にインプットされている。騒乱での死者の多くも、チベット族に殺された漢族であるとされている。
やがて中国の世論は「米英がチベット族を扇動して暴動を起こし、北京五輪を潰そうとしている」という見方になる。最終的に五輪がボイコットされた場合、中国の世論は反欧米の方に傾き、ロシアと似た反米ナショナリズムが席巻する。
以前なら、中国とロシアが組んでも大した影響はなかったが、今は違う。中国・ロシア・中東産油国が、世界の富のかなりの部分を握るようになり、しかもアメリカはドル崩壊と金融危機で急速に経済力を減退させている中で、中露が結束し、そこにGCCとイラン、ベネズエラなどの産油国が加勢したら、欧米中心の世界は終わり、覇権は非米諸国の間で多極化する事態になる。
日本人の多くは中国が嫌いなので、チベット騒乱で北京五輪が失敗したら「ざまあみろ」と思うだろう。しかし、実はそれは自滅的な間違いである。北京五輪の失敗は、中国をドルから自立させて、ドルの崩壊、ひいてはアメリカの覇権崩壊を早めることにつながる。中東大戦争が起きた場合のGCCの反応と同じで、中国に関しても、米中政治対立が通貨のドル離れを引き起こす。ドル崩壊でアメリカは弱体化してアジアから撤退し、日本は唯一絶対の後ろ盾を失い、中国に頭を下げて友好国にしてもらうか、自閉的に衰弱をしのびつつ鎖国するしかなくなる。
*****************************
五輪開会式不参加も「選択肢」=チベット問題で中国に対話訴え-仏大統領(時事通信) - goo ニュース
時事通信 2008年3月26日(水)00:31
【パリ25日時事】フランスのサルコジ大統領は25日、中国のチベット問題をめぐる北京五輪ボイコットの可能性について、「あらゆる選択肢が開かれている」と述べ、チベット自治区での弾圧が続いた場合、五輪開会式に参加しないこともあり得るとの考えを示唆した。
大統領はこの日、仏南西部タレブを訪問した際に記者団の質問に答えた。この中で、自身が中国の胡錦濤国家主席にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との対話を求めるメッセージを送ったことを念頭に、「中国指導部の良心に訴えたい。わたしは対話が始まるよう望んでおり、(メッセージへの)中国当局からの返答に応じて、こちらも対応する」と語った。
*****************************
チベット弾圧で79人死亡=民主化センターが独自集計発表(時事通信) - goo ニュース
時事通信 2008年3月26日(水)00:31
インド北部ダラムサラに拠点を置く非政府組織(NGO)「チベット人権民主化センター」は25日、中国チベット自治区などでの暴動や抗議行動に関し、目撃情報を基にした独自集計結果として、中国当局の弾圧でこれまでに79人が死亡したと発表した。
また、抗議行動の結果、1200人以上が当局に拘束されたほか、100人以上が行方不明になっているという。一方、中国当局の通告に従って「自首」したチベット族住民は645人前後に上ったとしている。
*******************************************
【今日も御覧頂きありがとうございます。
このブログを応援して頂ける方ははクリックを!】
*******************************************