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麻生副総理による ナチスの「「あの手口、学んだらどうかね」 『撤回のコメント』に説得力皆無!

2013-08-02 23:54:57 | 政治
2013年8月2日(金)

 麻生副総理が、憲法改悪について、要旨「ナチスの手口に学んだらどうか?」

と7月29日に『トンデモ発言』をして、31日に撤回した事件。

 新聞Web版などの情報によると、大まかな流れは以下のようです。

1)『右翼文化人』櫻井よしこ氏が主催する「国家基本問題研究所」で発言

① ヒトラーは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って出てきた。
  ワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあってヒトラー
  が出てきた。常に憲法が良くても、そういったことはあり得る。
  日本の憲法改正も狂騒の中でやってほしくない。

② ワイマール憲法もいつの間にか変わっていて、ナチス憲法に変わっていた。
  誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。
  喧噪の中で決めないでほしい。

③ しかし、重ねて言いますが、 喧騒 の中で決めないでほしい。
  それだけはぜひ、お願いしたい。


2)7月30日頃から、WebニュースやSNSで話題沸騰。

3)7月31日に、発言撤回と麻生太郎本人の釈明のコメント

① 私のナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは
  遺憾である。(この『遺憾』は、「心外だ」の意味らしい)

② 喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま
  進んでしまった悪(あ)しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に
  係る経緯をあげたところである

③ この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示として
  あげたことは撤回したい。


     ******************

 しかし、誰でも気付くような矛盾があります。

 7/29の発言では、
ワイマール憲法もいつの間にか変わっていて、誰も気づかないで変わった。
 あの手口に学んだらどうかね。 喧噪の中で決めないでほしい。


  と言っており、ナチスが憲法を変える(実際には憲法を変えてはいない)
 にあたっては、喧騒の中ではなく、誰も気づかないで変わった。

  ことを強調しているのです。

 ところが、7/31の釈明では、
「ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯」を喧騒に紛れて進んでしまった。

  と、全く反対の話をして自らの発言が誤解されたと言い逃れしています。

 誤解しているのは、麻生氏自らではないのか?とツッコミたくなります。

 おまけに、麻生氏がこの発言をしたことが、皮肉にもマスメディアによる

「喧騒」を結果的に招いてしまっているのです。

 当然、麻生氏の『本音』からしても、このような喧騒の中で、憲法改正論議

などして欲しくないし、その点は私も一緒です。

 元々、麻生氏の云う「喧騒」とは、自民党の『憲法改正案』に対する

外部からの批判のことであろうと思われます。

 いずれにせよ、今の状況は『憲法改正』を国民に示せる状況ではありません。

     ******************

 自民党が麻生発言を早急に収拾したかった理由は、以下が指摘されています。

① アメリカの有力者を始めユダヤ団体が発言発覚後直ちに抗議声明を挙げた。
  アメリカの中枢はユダヤが握っており、ユダヤとの対立は対米関係を
  悪化させることになることに配慮。欧州・アジアでも抗議広がる。

麻生副総理のナチス引き合い発言 米ユダヤ人団体が非難声明
 (産経新聞) - 2013年8月1日(木)11:39


中国外務省、麻生氏発言を非難
 =共産党機関紙も批判

 (時事通信) - 2013年7月31日(水)22:06


② 2020年オリンピック招致活動に影響を与えるのを避けるため。
  来月に開催地が決められるオリンピック招致委員の離反を防ぐため。

③ 第一次安倍内閣では、閣僚の失言や非社会的行動で脚を引っ張られ
  退陣に追い込まれたことへのトラウマ。
  退陣の本当の理由は選挙での大敗北ではあったが、体調が理由とされた。
  今度は、衆議院選挙・参議院選挙とも大勝したのに閣僚に脚を引っ張ら
  れて、再び退陣に追い込まれることを避けた。

     ******************

 なお、この問題について、毎日新聞が今日の「社説」で、短いが適切な指摘を

していたので、引用して紹介します。



【社説】 麻生氏ナチス発言 撤回で済まない重大さ
 毎日新聞 - 2013年08月02日 02時30分


 また、フィナンシャル・タイムズでもこの問題を取り上げています。

ナチス失言であらわに、自民党の改憲の野心
 (フィナンシャル・タイムズ)
 - 2013年8月2日(金)18:00


麻生氏「ナチス」発言 看過できない重大問題だ
 琉球新報・社説  - 2013年8月1日


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【社説】 麻生氏ナチス発言 撤回で済まない重大さ
 毎日新聞 - 2013年08月02日 02時30分
 

 何度読み返しても驚くべき発言である。もちろん麻生太郎副総理兼財務相が憲法改正に関連してナチス政権を引き合いに「あの手口、学んだらどうかね」と語った問題だ。麻生氏は1日、ナチスを例示した点を撤回したが、「真意と異なり誤解を招いた」との釈明は無理があり、まるで説得力がない。まず国会できちんと説明するのが最低限の責務だ。

 麻生氏の発言は改憲と国防軍の設置などを提言する公益財団法人「国家基本問題研究所」(桜井よしこ理事長)が東京都内で開いた討論会にパネリストとして出席した際のものだ。要約するとこうなる。

 戦前のドイツではワイマール憲法という当時、欧州でも先進的な憲法の下で選挙によってヒトラーが出てきた。憲法がよくてもそういうことはある。日本の憲法改正も狂騒の中でやってほしくない。ドイツではある日気づいたらワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね−−。

 「憲法がよくても……」までは間違っているとは思わない。問題はその後だ。「ナチス憲法」とは、実際には憲法ではなくワイマール憲法の機能を事実上停止させ、ナチス独裁体制を確立させた「全権委任法」と呼ばれる法律を指しているとみられる。麻生氏の史実の押さえ方もあいまいだが、この変化が後に戦争とユダヤ人虐殺につながっていったのは指摘するまでもなかろう。

 いずれにしても麻生氏はそんな「誰も気づかぬうちに変わった手口」を参考にせよと言っているのだ。そうとしか受け止めようがなく、国際的な常識を著しく欠いた発言というほかない。麻生氏は「喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的議論のないまま進んでしまったあしき例として挙げた」と弁明しているが、だとすれば言葉を伝える能力自体に疑問を抱く。

 憲法改正には冷静な議論を重ねる熟議が必要だと私たちも主張してきたところだ。しかし、麻生氏は討論会で自民党の憲法改正草案は長期間かけてまとめたとも強調している。そうしてできた草案に対し、一時的な狂騒の中で反対してほしくない……本音はそこにあるとみるのも可能である。

 米国のユダヤ人人権団体が批判声明を出す一方、野党からは閣僚辞任を求める声も出ている。当然だろう。これまでも再三、麻生氏の発言は物議をかもしてきたが、今回は、先の大戦をどうみるか、安倍政権の歴史認識が問われている折も折だ。「言葉が軽い」というだけでは済まされない。

 2日からの臨時国会で麻生氏に対する質疑が必要だ。安倍晋三首相も頬かぶりしている場合ではない。
 




ナチス失言であらわに、自民党の改憲の野心
 (フィナンシャル・タイムズ)
 - 2013年8月2日(金)18:00

(フィナンシャル・タイムズ 2013年8月1日初出 翻訳gooニュース) 東京=ジョナサン・ソーブル

安倍晋三首相と与党・自民党にとって、全ては順風満帆だったのに。支持率は歴史的に高く、株価は好調。自民党は6年ぶりに衆参両院で過半数を獲得した。この絶好調を台無しにするなど、よほど歪んだ想像力の持ち主でなければ方法さえ思いつかない、そういう状況だった。

そこへ、麻生太郎氏とナチスの登場だ。

安倍内閣の副総理で財務相でもある麻生氏はこのほど、失言をした。突拍子もない、不快な内容だった。麻生氏はあたかも、ドイツの国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)が戦間期に憲法を無効化していったやり方を称えるかのように思える発言をしたのだ。支持者を前にした集会で麻生氏は、今の憲法改正を目指す日本の保守層は、ナチスの手口から学べるかもしれないと示唆した。29日の発言記録によると麻生氏は「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と述べている。

麻生氏は失言の常習犯だ。今年1月には、高齢者の高額医療費に関する議論の中で、高齢者は「さっさと死ねるようにしてもらわないと」などと発言した。日本国内では確かに、健康な老後をなるべく長引かせ、苦しい終末期医療の期間をなるべく短くするには——という議論がされているが、だからといって麻生氏の発言は批判を免れなかった。無神経な愚か者の烙印を押されたのだ。

ナチスに関する今回の発言も、激しく批判された。副総理はまず、ワイマール憲法を「当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法」と評した上で、そのワイマール憲法でもナチスの政権奪取は食い止められなかったと指摘した。麻生氏のこの発言は、アメリカに押し付けられた日本の平和憲法がなければ日本の民主主義はたちまち失われ、軍国独裁国家に逆戻りしてしまうという、左派や、かつて日本に植民地化されたアジアの国々の主張に異を唱えるためのものだったようだ。なぜ憲法がリベラルでない方が良いのかは曖昧なままだったが、麻生氏の発言がここまでなら特に当たり障りはなかった。しかしこのあと、話は妙なことになる。このあとすぐ、麻生氏はナチスの手口をほめたのだ。おかげで副総理の反対勢力にとっては懸念材料がひとつ増えた。そして麻生氏の発言が広まるや、中国や韓国の政府関係者から米ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」に至るまで、多くの人がその発言に落胆と懸念を露わにした。

麻生氏は8月1日に発言を撤回。同じ日には政府の菅義偉内閣官房長官も、「安倍晋三内閣としてナチス政権を肯定的にとらえるようなことは断じてない」と明言せざるを得ないと判断したようだった。

麻生氏の今回の発言は人々の逆鱗に触れたというだけでなく、与党・自民党で圧倒的な力をもつ保守層が改憲の夢を諦めていないと、改めて示すものだった。先月の参院選のあと、安倍氏は憲法改正よりも成長戦略を優先させると約束している。改憲について意見の割れる日本国民を安心させ、また改憲論争は経済改革の遅れにつながると懸念する投資家たちをも安心させるのが、首相の狙いだった。

しかし右派は3年後の国政選挙に向けてこの改憲論議を復活させるつもりだろうと、大方は見ている。アベノミクスで好景気が続けば自民党支持者はさらに増え、そうすれば改憲手続きの着手に必要な国会の絶対安定多数が得られるという見通しだ。しかしそれまでの間、自分たちはこういうつもりだと保守派の支持者には伝えておく必要があるので(麻生氏はまさにこれをやろうとしていたようだ)、この計画を秘密のままにしておくのは難しい。

新しい憲法が日本にとって良いのかどうかには、異論がある。2005年に自民党が示した改憲案は、軍隊保持の禁止事項を撤廃するだけでない(この禁止事項はそもそも微妙な憲法解釈によって半世紀にわたり実質無視されてきた)。自民党の改憲案は国民の権利にいくつかの注意書きを加えており、これでは個人の権利が「公の秩序」という曖昧な概念の下におかれてしまうという批判がある。

逆説的な話だが、誰よりも現行憲法の恩恵を受けているのは自民党そのものかもしれない。自民党の思想は有権者の大半よりも右寄りにあるにもかかわらず、1955年以来(4年を除いて)ずっと日本の政権を握ってきたのだ。憲法の下でどうせ自民党は大したことができなかったのだから大丈夫だと、国民は自民党が軍隊や自分たちの権利をどう変えるかあまり気にしないまま、自民党に投票するかもしれない。

安倍氏や麻生氏やそのお仲間たちは、今となっては経済政策から安保政策から社会保障に至るまで自分たちの全政策が、有権者の支持を得られるだろうと考えている。新しい憲法が必要だと主張するのは従来よりも正直な政治かもしれないが、従来よりリスクの高い政治になるかもしれない。日本にとって。そして自民党にとって。

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フィナンシャル・タイムズの本サイトFT.comの英文記事はこちら(登録が必要な場合もあります)。

(翻訳・加藤祐子)
 



麻生氏「ナチス」発言 看過できない重大問題だ
 琉球新報・社説  - 2013年8月1日
 

 失言・放言癖のある人だから、では済まされない重大発言だ。
 麻生太郎副総理兼財務相が講演で、憲法改正をめぐり戦前ドイツのナチス政権時代に言及する中で「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。
 当時、世界で最も民主的で先進的といわれたワイマール憲法を現在の日本国憲法になぞらえて、改憲の必要性を説く中で出た言葉である。
 麻生発言の向こう側に、ワイマール憲法破壊後に戦争に突き進んだナチス政権と、憲法を改正して国防軍創設などを目指す自民党、安倍政権の姿勢が重なって見えると言ったら言い過ぎだろうか。
 1933年の政権奪取後、ナチス政権は「一家に1台フォルクスワーゲン」のスローガンの下でアウトバーン建設など公共工事を推し進めて景気を回復。一方で、反ユダヤ主義などでナショナリズムを刺激し、政権基盤を固めた。
 その「手口」に学び、アベノミクスによる景気回復を強調し、尖閣などの領土問題や歴史認識問題でナショナリズムを刺激する。こうした中で「改憲やむなし」の空気を醸成する。そういうことか。
 ナチス政権は国会議事堂放火事件を政治利用し「緊急事態」に対処するためとして、内閣に立法権を一時的に付与する「全権委任法」を成立させた。同法を根拠にナチス以外の政党の存在を認めずに、独裁と戦時体制を確立したのだ。
 自民党の憲法改正草案も98条と99条で「緊急事態」に関する規定を設けている。有事や大規模災害時に、法律と同等の政令を制定することができるなどの権限を内閣に付与するものだ。これもナチスの「手口」に学んだのか。
 自民党、安倍政権の改憲目的は、戦時体制を整えるためにあるのかと思われても仕方があるまい。しかし、緊急事態規定がいかに権力によって乱用され、悲劇的な結果を招くかはナチス政権を見ても明らかだ。
 昨年の衆院選での自民党同様、ナチス政権も民主的制度の下で合法的に政権を奪取した。しかしその後に、かつての日本と同様に戦争への道を歩んだということを、国民は肝に銘じる必要がある。
 首相の任命責任も重い。麻生氏は民主主義を否定するつもりはないとも述べたが、額面通り受け取る人がどれだけいるだろうか。
 




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