昨日の日経新聞の記事ですが、政府が日本を代表するような大企業に対して、
幾ら残業しても残業手当を支払う必要のない制度の導入を促したと云う。
労働法令で、「1日8時間、週40時間が上限」となっている労働時間の規定に
当てはまらない職種を新たにつくる方針、とのこと。
数年前に導入しようとしたが、労働界を始め多くのマスメディアも
「残業代ゼロ法案」などの呼称で反対の論陣を張った、ホワイトカラー・
エグゼンプション法案(WE法案)の仕切り直しであるが、今回は評判の悪かった
「WE法案」と云う言い方はせずに、法体系の変更なしに、こっそり大企業に
試行させようと云う戦術である。
いわば、労働版ナチスの手口で憲法や労働基準法を改正しないまま、運用面で
労働法令を骨抜きにしようとする『手口』らしい。
この日経新聞の記事の関連記事ですが、アベノミクスで景気が回復し雇用も
改善していると云うが、その実態は非正規労働の一層の拡大でしかないことを
明確にしていた。この調査は政府機関が行なったもので公的な数値。
ざっと5千万人の3分の1が非正規だと言われてきたが、非正規の比率は
もっと拡大し、全雇用者 5,198万人の 36%以上であるとの調査結果である。
そんな非正規労働を拡大する大企業に対して、法人税の大減税と投資減税を
実施して助けようというのが、アベノミクスの『真骨頂』
それも、「消費増税に伴う経済活動への悪影響を和らげる狙い」を口実の
一つとされているのには呆れる。
法人税率下げ 競争力 投資減税と並行議論
政府・与党、課税対象拡大も検討
日本経済新聞 - 2013/8/14付 朝刊
経済活動への悪影響を懸念するのなら、消費増税を止めるべきである。
そして、法人減税ではなく、適切な累進課税で負担能力のある大企業こそ
税負担を分相応にするべきである。
やることが全く反対である。
課長級から勤務柔軟に 政府、時間規制に特例
年収800万円超 トヨタや三菱重に打診
日本経済新聞 - 2013/8/14 2:02
週40時間の労働規制に特例 政府検討
トヨタ、三菱重工など導入へ
(フジサンケイビジネスアイ) - 2013年8月15日(木)08:21
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課長級から勤務柔軟に 政府、時間規制に特例
年収800万円超 トヨタや三菱重に打診
日本経済新聞 - 2013/8/14 2:02
政府は1日8時間、週40時間が上限となっている労働時間の規定に当てはまらない職種を新たにつくる方針だ。大企業で年収が800万円を超えるような課長級以上の社員が、仕事の繁閑に応じて柔軟な働き方をできるようにして、成果を出しやすくする。新たな勤務制度を2014年度から一部の企業に認める調整を始め、トヨタ自動車や三菱重工業などに導入を打診した。
週40時間の労働規制に特例 政府検討
トヨタ、三菱重工など導入へ
(フジサンケイビジネスアイ) - 2013年8月15日(木)08:21
一定水準以上の収入がある会社員を対象に、政府が週40時間が上限といった労働時間の規制を適用しない「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の規制除外制度)」の実験的な導入を検討していることが14日、分かった。
年収800万円を超えるような課長級以上の社員を想定しており、一部の大企業で特例的に認める方針。経済産業省によるとトヨタ自動車や三菱重工業など数社が導入を検討しているといい、仕事の繁閑に応じた柔軟な働き方の実現による生産性向上を狙っている。
規制除外制度の適用を受ける社員は、労働基準法で定められている時間外労働に対する残業代が支払われないほか、休日や深夜勤務の割り増しなどもなくなる。その代わり、仕事の繁閑に応じて自分の判断で働き方を決めることができるようになる。例えば、繁忙期に休日返上で集中的に働き、閑散期にはまとまった休みをとるといった働き方が可能になるとみられる。自宅勤務の活用が進むことも見込まれる。
政府は、今秋の臨時国会に提出予定の「産業競争力強化法案」に、先進的な取り組みを進める企業に規制緩和を特例的に認める「企業実証特例制度」の創設を盛り込み、それを活用して労働時間規制の適用除外の実験導入を行う。法案の成立後、制度導入を希望する企業からの申請を受け付け、早ければ2014年度にも実施する見通しだ。
法人税率下げ 競争力 投資減税と並行議論
政府・与党、課税対象拡大も検討
日本経済新聞 - 2013/8/14付 朝刊
政府・与党は安倍晋三首相が法人税の実効税率引き下げの検討を指示したことを受け、設備投資への減税と合わせた議論に入る。消費増税に伴う経済活動への悪影響を和らげる狙いに加え、日本企業の国際競争力に配慮を示す意図も浮かぶ。実効税率を下げるには地方税の軽減が重要な論点になる半面、課税対象の拡大など財源の手当ても課題になる見通しだ。
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以下のニュースは、上の記事とは少し内容が違いますが・・・
サラリーマンに「限定正社員」制度は朗報か
(プレジデントオンライン) - 2013年7月30日(火)11:20
円安・株高の「アベノミクス」に浮かれている間に多様な働き方の名のもと、正社員の解雇規制の緩和に向けた動きが進んでいる。気づいたときには後の祭りになりかねない。
円安・株高が始まった昨年11月14日から半年目の5月14日。為替相場は半年前に比べて21円安の101円、日経平均株価は70%高の1万4758円の値をつけたこの日、霞が関の合同庁舎4号館共用第4特別会議室ではちょっとした異変が起きていた。
政府の規制改革会議の雇用ワーキング・グループ(座長=鶴光太郎慶應義塾大学大学院商学研究科教授)は最終報告書をとりまとめる予定であったが、関係官庁の厚生労働省の立ち入りを禁じたのだ。
証言するのは民主党衆議院議員の山井和則氏(元厚労省政務官)だ。
「翌日の朝、今回はなぜ入れてもらえなかったのかと聞くと、厚労省の幹部は入れたら情報が漏れるからと言われたそうです。それを聞いて私はピンときました。厚労省は『限定正社員制度』を導入しようとしていますが、田村(憲久)厚労大臣は『多様な働き方を実現するための制度であり、解雇をしやすくするための制度ではない』と言っていました。ところが規制改革会議は限定正社員の制度化にあたって解雇ルールを見直そうと巻き返しを図っている」
規制改革会議は民間の委員で構成する安倍晋三総理大臣の諮問機関。規制改革担当の主務大臣は稲田朋美行革相であり、厚労大臣はメンバーに入っていない。ということはここで決まった雇用制度改革は厚労省を素通りし、総理大臣への答申を経て閣議決定され、政府の方針となる。
実は世の中が安倍総理の賃上げ要請によるボーナスアップや円安・株高バブルに浮かれている頃、政府内ではアベノミクスと連動する形でサラリーマンの解雇規制の緩和に向けた動きが着々と進行していたのだ。最初に口火を切ったのは産業競争力会議が3月15日に提出したペーパー(長谷川閑史・武田薬品工業社長)だった。その内容は解雇規制の緩和を前面に押し出したものだった。
<現状では大企業が人材を抱え込み、「人材の過剰在庫」が顕在化している。大企業で活躍の機会を得られなくても、他の会社に移動すれば活躍できるという人材も少なからずいるはずであり、「牛後となるより鶏口となれ」という意識改革の下、人材の流動化が不可欠である。現行規制の下で企業は、雇用調整に関して「数量調整」よりも「価格調整」(賃金の抑制・低下と非正規雇用の活用)に頼らざるをえなかった。より雇用しやすく、かつ能力はあり自らの意志で積極的に動く人を後押しする政策を進めるべきである>
積極的に動く人を後押しし、人材の流動化を促すと唱えるが、その狙いは「数量調整」、つまり解雇をしやすくすることにあることは明らか。具体的には「雇用維持型の解雇ルールを世界標準の労働移動型ルールに転換するため、再就職支援金、最終的な金銭解決を含め、解雇の手続きを労働契約法に規定する」ことを提案。これは企業が再就職支援金を労働者に支払うことを条件に解雇できることを法制化するというものだ。
では法律をどのように変えようとしているのか。その前に現行の解雇規制の中身をおさらいしておこう。1つは労働契約法の「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」(第16条)という規定だ。だが、これだけではわかりにくい。客観的に合理的理由とは何かを示すもう1つの根拠となっているのが最高裁判所の判例だ。判例では整理解雇をする場合、(1)経営上の必要性があるか、(2)解雇回避努力をしたか、(3)解雇対象者の人選は合理的かつ公正か、(4)労働組合または労働者と協議したか――の4つの要件をクリアすることを求めている。
続きは PRESIDENT 2013年7月1日号 へ
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