鹿児島県、川内再稼働同意 知事「やむを得ない」 新規制基準下で初 [鹿児島県]
西日本新聞 - 2014年11月07日(金) 22時18分
川内再稼働同意 「福島の教訓」生かせたか
西日本新聞・社説 - 2014年11月08日(土) 10時33分
西日本新聞の社説では、鹿児島県の強引な姿勢と政府および原子力規制庁の
拙速さと無責任体質を厳しく批判している。
再稼働を歓迎しているのは、財界ばかりなり!
西日本新聞記事から 写メ添付。
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川内再稼働同意 「福島の教訓」生かせたか
西日本新聞・社説 - 2014年11月08日(土) 10時33分
鹿児島県議会が九州電力川内原発の再稼働を求める陳情を採択し、伊藤祐一郎知事も再稼働に同意すると正式に表明した。立地自治体の薩摩川内市に続く同県の同意で、再稼働に必要な地元手続きは完了したことになる。
同原発は年明けにも、新規制基準に基づく初の再稼働となる見通しだ。それは、福島原発の事故以来、実質的に原発の利用を控えてきた日本が再び「原発を活用する国」に戻ることを意味する。
経済界を中心に再稼働を期待する声はある。だが、地元住民の不安や懸念を解消する議論が尽くされたのか。「福島の教訓」は生かされたのか。疑問を拭えない。
一連の地元同意をめぐる手続きで浮き彫りになったのは、むしろ再稼働に前のめりな政府の拙速と無責任ではなかったか。
▼不信根強い避難計画
それを象徴するのが事故を想定した避難計画だ。住民には計画の実効性への不信感が根強いのに、計6回開かれた住民説明会で議論が深まったとは言い難い。
中でも原子力規制委員会事務局の原子力規制庁による5回の説明会は、避難計画に関する質問を「説明の対象外」として答えず、会場に強い不満を残した。
無理もない。政府は避難計画づくりの責任を地元自治体に丸投げしている。規制委は避難計画への関与権限を持たないからだ。
これはおかしい。本来は実効性ある避難計画を再稼働の要件とし、規制委の審査対象にすべきだ。安全を守るための避難計画を検証する仕組みがない以上、納得できない住民がいるのも当然だろう。
住民の疑問はさらに、再稼働の必要性、原発の安全性や災害対策など多岐に及ぶ。
活火山の桜島から約50キロの距離だけに、火山噴火対策にも不安がくすぶる。国は説明責任を果たしたといえるのか。
川内原発の防災対策重点地域となる半径30キロ圏の9市町のうち、いちき串木野、日置両市議会は再稼働への同意権限を求める趣旨の意見書を可決している。
だが、伊藤知事は「同意は県と薩摩川内市で足りる」との姿勢を押し通した。同意表明の記者会見でも地元の範囲について「一律の拡大は賢明ではない」と述べた。
再稼働の地元手続きは法令の定めがない。地元の範囲について政府はいまだに指針も示さない。それが地元に混乱を招いている。
福島県では今なお10市町村が避難指示区域に指定され、県全体の避難者数は12万人を超える。
福島の教訓を踏まえれば、原発周辺自治体の要望に配慮し、地域全体の合意形成に努めるのが国と鹿児島県の使命ではなかったか。知事も県議会もそうした取り組みが十分だったとは思えない。
宮沢洋一経済産業相が3日に鹿児島入りし、「事故が起きれば、国が責任を持って対処する」と述べた。再稼働への「お墨付き」を求める地元に政府がようやく応じたかたちだ。だが、決意表明の域を出ず、具体的な責任の所在や内容が明確になったわけではない。
▼責任体制は曖昧なまま
規制委は原発の新規制基準への適合性を審査するが、安全性を担保するものではない-という。政府は、その規制委が規制基準を満たすと判断した原発は順次再稼働させる-としている。ただ、個々の再稼働は電力会社の判断で、避難計画は自治体の責任-というのが政府のスタンスだ。
誰が最終的に再稼働を判断し、万が一の事故が起きた場合の責任を誰がどう負うのかは依然、曖昧なままだ。
再稼働を促す政府や電力会社と、不安を抱く地元住民の板挟みとなる自治体や議会の苦悩も今回、あらためて表面化した。
より大きな問題は、政府がエネルギー基本計画で「原発依存度を可能な限り低減する」としながらその道筋を示さないことだ。
再稼働で増える放射性廃棄物は最終処分場の当てがない。各種世論調査では再稼働に反対する国民の方が賛成する人よりも多い。一方で節電意識は高まり、再生可能エネルギーの活用も増えている。
そうした原発の全体状況を踏まえ「脱原発」の行程も示して熟議すべきである。なし崩し的に再稼働へ突き進むのは許されない。
政府は今回の地元手続きを「ひな型」とするのではなく、顕在化した問題や課題をきちんと総括して今後の教訓に生かすべきだ。
=2014/11/08付 西日本新聞朝刊=
鹿児島県、川内再稼働同意 知事「やむを得ない」 新規制基準下で初 [鹿児島県]
西日本新聞 - 2014年11月07日(金) 22時18分
鹿児島県の伊藤祐一郎知事は7日、記者会見を開き、政府が原発の新規制基準下で国内初の再稼働を目指す九州電力川内原発1、2号機(同県薩摩川内市)について、「国民の生活レベルを守り、わが国の産業活動を維持する上で再稼働はやむを得ない。政府の再稼働方針を理解する」と表明した。これに先立ち県議会も同日、早期の再稼働を求める陳情を採択した。薩摩川内市の市長と議会は10月28日に同意しており、これで伊藤知事が再稼働の条件としてきた地元の同意手続きが完了した。
適合審査中の全国13の原発で、道県と立地市町村がそろって再稼働に同意したのは初めて。川内原発は今後、原子力規制委員会による工事計画と保安規定の認可や、機器の動作を調べる使用前検査が残り、再稼働は年明けになる見通し。再稼働すれば、九電玄海原発(佐賀県玄海町)など後続の再稼働も加速しそうだ。
伊藤知事は宮沢洋一経済産業相に同意を報告。宮沢経産相は「重要な判断を頂き、再稼働へ向けた取り組みが大きく進展した。粘り強く理解を得る努力をしていく」と表明した。伊藤知事は九電にも安全協定に基づく「了承」を伝え、安全性の確保や事故時の迅速な情報提供を求めた。
伊藤知事は再稼働を容認する理由として(1)小渕優子前経産相の文書でエネルギー政策上の原発の必要性と事故発生時の国の責任が明確になった(2)原子力規制委員会の審査で安全性が確認された(3)薩摩川内市や県議会の同意-などを挙げた。
原子力規制委員会の審査書決定から約2カ月での表明については「拙速の批判はあるだろうが、根回しと準備をしてきた」と説明。住民理解が不十分との指摘があることについては、説明会を約30回開いた実績などを挙げ「さらに理解が進むよう努める」と述べた。
=2014/11/07 西日本新聞=
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