i氏の海外生活体験記

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簡単じゃない

2013-01-03 22:13:58 | 大間原発の中間貯蔵化
12/22東洋経済が伝えておりました。

-「再稼働は皆さんが思うほど簡単じゃない」-

<原子力規制委・田中委員長に聞く>

【大飯原発の判断は敦賀原発とは違う】

――田中委員長は就任時から、日本の原子力規制をつねに世界で最も厳しいレベルに維持し、安全性が「グレー」の場合には、より安全側に立つとのスタンスを明らかにしている。しかし、現在3、4号機が電力需給逼迫を理由とした"政治判断"で国内唯一稼働を続けている関西電力の大飯原発に関して、11月の規制委による断層調査では「重要施設直下の断層は活断層を考えても矛盾はない」としながらも、運転停止を求めようとしない。調査した有識者の中にも即時運転停止を主張する人もいるが、規制委としてなぜそうしないのか。

科学技術的にデータを出して「グレー」であれば安全側に立つという判断もあろうが、大飯の場合は調査した専門家の間で、活断層であるという意見とそうではないという意見で分かれた。活断層だと言いたい人は、どうであってもずっと活断層だと言いたがる。しかし、それは科学とは違うから、私はもう少し調べてくださいと言った。それで今、早急に調べようとしている。

単なる不十分なデータを基に白黒の決着をつけてよい、という簡単な事柄ではない。敦賀原発のように(活断層の可能性が高いということで)意見が明らかに一致すれば、その場で私も感想を述べたように「現段階では(再稼働は)難しい」となるわけで、それぐらい(意見を)明確にしてほしい。

大飯はそうした判断ができないということだ。山の上のトレンチを掘ったらF-6断層(活断層と疑われていた断層)の場所とはずれていたし、海側に地滑りしたのではという説もある。その可能性を強く指摘している岡田篤正教授(立命館大学)は日本の変動地形学で草分け的な方だ。だからこそ、きちんと明らかにすべきだと考えた。明らかになった時点で(運転停止要求を)やればいい。

それに、大飯原発に今、差し迫った危険があるかについては、そうではない。ストレステストや政府の判断を鵜呑みにしているわけではなく、仮に(断層の直上にある)冷却用取水配管が地震で壊れたとしても、どれくらい冷却できるかなどは把握している。

【大間や六ヶ所村を含め下北半島全域は断層調査の必要あり】

――大飯、敦賀、東通の3件の規制委の断層調査により、電力会社がこれまで行ってきた独自調査の信頼性が失墜した。規制委の断層調査はもんじゅを含めて6カ所に限られているが、ほかにも疑問視されている原発があり、調査対象を拡大すべきではないか。

今調査対象となっている6か所は、旧原子力安全・保安院時代に専門家が活断層の存在や地震評価で疑問を指摘していた場所であり、疑問のないところまで調査する必要はないと私は思う。

ただ、下北半島全域については12月20日(東通原発の評価会合)の議論でも出ていたし、私も調べる必要があると思っている。今回の東通に加え、大間や中間貯蔵施設や六ヶ所もあるし、それぞれに調べたデータや海側の大陸棚外縁断層、津軽海峡の断層の問題も含めて調べる必要性はあると思っている。

――その他にも島根や柏崎刈羽、浜岡なども懸念が強い。

島根は敷地内の断層ではないが、今、島崎委員会(規制委委員長代理の島崎邦彦氏がトップを務める小委員会)で耐震の指針や手引の見直しを行っており、敷地外の活断層についてどういう評価をすべきかが出てくると思う。それによって基準地震動が今まで採用されてきたものでいいのか、これは全原発を対象に行う。15キロメートルと10キロメートルの断層があって、これをつなげて25キロメートルとして考えたほうがいいといったようなケースも出てくるかもしれない。そのうえで影響と耐震性を評価することになる。それは指針が変わることによるバックフィット(適合化)としてやることになる。

柏崎刈羽については、浜岡もそうだが、敷地内の深い地層に柔らかい地層があると、地震動が大きくなるとわかってきたので、今後は指針で見直しが必要となるだろう。

【40年経過した原子炉の新安全基準合致は困難】

――安全規制の厳格化という意味では、来年7月に法制化する新たな安全基準において40年運転制限原則はどこまで徹底するのか。法律では最大20年の延長を1回に限り例外として認めており、運用次第で原則が形骸化する懸念がある。


新しい安全基準に合致していない限り例外はない。40年を越えた原子炉の再稼働を認めるかどうかは、新しい安全基準に合致しているかどうかで決まる。その対応ができるかが大きな条件となる。

実態としては、40年以上前のものは(新安全基準に合致するのは)そう簡単ではないだろう。皆さんが思っているほど簡単なバックフィットにはならない。もっと厳しいものとなるだろう。それでも投資をして(バックフィットを)やるのだったら、どうぞおやりください、ということ。問題は経済的にペイするかどうか。バックフィットの不可能なような炉もある。

――40年を越えた炉については、新安全基準への適合はほとんど難しいと。

そうなるだろう。

【3年以内の再稼働審査は確約できない】

――13年7月に新安全基準ができて、原発の安全審査を開始する際には、全国の電力会社による再稼働の申請を一斉に集中する可能性もあると考えられるが、審査を同時並行的に進めるだけのマンパワーがあるのか。申請順にかなり待つことになるのか。

13年7月時点でいくつかは出てくるとは思うが、何十基も同時に申請するようなことは考えられない。規制委としても新安全基準の骨子は早めに公表していくが、その対応にはいろいろと工事が必要な場合もあり、2~3カ月で対応できるようなものばかりではない。

――新安全基準への対応はそれぐらいに厳しいということか。

そういうことだ。深層防護の概念でレベル4に当たるシビアアクシデント(過酷事故)防止の施設対応が必要となる。そうした施設を造るとなると、施設の設計の認可(標準審査処理期間は半年~2年)から始まり、そんなに簡単なものではない。

【安全基準を守れないなら、政治がどう言おうと関係ない】

――安全審査にどれくらいの期間が必要となるのか。自民党は「再稼働の可否は3年以内に判断する」と政権公約で述べているが、現実的な時間軸と言えるか。

3年というのは政治的要望であり、できるだけ努力はするが、確約はできない。3年以内にはいくつかの炉は動くとは思うが。

40年前の車と新車とでは安全性が全然違うように、炉によって(対応に要する期間に)違いがある。新しい炉や10年、20年、40年経った炉もあり、炉型もP(PWR=加圧水型原子炉)とB(BWR=沸騰水型原子炉)がある。立地条件も異なるため、一概に言えない。こちらが出した基準に合致した対応を事業会社がすみやかにできれば、比較的簡単にできようが、われわれが設備対応するわけではないからわからない。

事業者としては、最も重要な発電所から対応して、あとは後回しという対応をとることも考えられ、一斉に申請が出てくるということはないだろう。安全基準を守れないならば、政治がどう言おうと関係ない。(再稼働が遅れて)会社がつぶれるかどうかも考えない。

――安全審査は科学的判断に基づいて行われるというが、その判断結果を巡り、原発が立地する地元との対立も考えられる。地元住民の説得に時間がかかるケースも考えられるが、規制委としてどこまで説得に責任を持つのか。規制委としては1度か2度、説明会は開くとしても、あとは事業会社や政治家が責任を持つべきというスタンスか。

【最終的に地元の了解をとるのは電力会社と政治家の責任】

難しい問題だが、規制委は規制委として独立した科学技術的な判断をする。わからないというのは口癖みたいなもので、わかろうとしていない人にわからせようとしても難しい。今の日本では、原子力に関して自分の考え方以外は受け付けないという人が多い。私たちとしては、わかりやすい資料も用意して説明はする。でも、そのことについて地元の了解が得られるかどうかは関係ない。

――地元が了解しない場合は、あとは事業会社と政治の責任だと。

そうだ。安全か、安全でないか、なぜ安全なのか、なぜダメなのかの説明はするが、あとは自分で勉強してもらうしかない。

――民間保険会社がリスクを引き受けることもできず、廃棄物処理や廃炉などバックエンド対策が高くつく原発のリスクやコストをどう考えるか。

今回のような事故がまた起こるのだったら(原発は)やめたほうがいい。そういうことが起こらないように、私としては最善を尽くしたいと思っている。

――安全基準をつくるうえでどこまでの原発のリスクを想定するのかが問題。たとえば、原発関係者、インサイダーによるテロなどはどうか。

そういうのはみんな想定する。サボタージュみたいなことも想定する。そういうことが起こっても、安全性を保てるような炉にしなければならない。いちばん怖いのは個人のテロではなく、戦争のような脅威だろう。絶対安全とは言わない。言えばまた安全神話になる。しかし、そういうことも含めて対応しなければならないと考えている。

-引用終わり-

田中委員長のコメントです。繰り返し政治との関わり合い、地元、企業との距離を強調しております。

当然でしょう。そのような必要性から生まれた組織なのですから。しかし、繰り返しメディアでコメントするやり方は好感持てます。前回の隠ぺい体質が国民の信用を逸した、と良く認識してしておられます。

しかしながら、ただ一つ注文するとすればバックエンドに対するコメントです。規制委の守備範囲でない
という縦割りな考え方はごめんです。首相は規制委が安全と認めたものから稼働させる、と明言しているのですから規制委には「バックエンド問題の解決が必要条件」くらいの発言をして頂きたいと思います。うわべだけ「事故がまた起こるのだったら原発は止めた方が良い」など他人行儀なコメントは不要です。


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