東奥日報の炉ばた談議という良い企画を見つけました。
-ろばた談議/温泉熱でハウス栽培 特色ある産品開発を-
-新しい研究会ではこれからどのように活動していくのか。
明石 せっかくハウスがあるので、一年を通して利用できないか。会員の中には、夏場でも何かやろうという意見がある。ただ三十坪ほどのハウスが三つだけなので、何ができるかこれから相談していきたい。課題は、温泉熱の確保。個々で分かれて取り組むときに熱源をどうするか。碇ケ関地区は温泉地ではあるが、どこからでも熱源を持ってこれるわけではない。
相馬 市場でも葉ワサビが要望されており、一棟でも葉ワサビを栽培して、加工品を道の駅で販売したい。夏にハウスを空けておくのはもったいないので、手間がかからない作物を植えたい。例えばプチベールという野菜は、食べてみてもくせがなくておいしい。温泉熱だと暖房費がかからないし、いいのでは。
乳井 道の駅に花などがないので、少しでも店先を明るくしたいという気持ちはある。
佐々木 灯油が高いこの時期に、地熱を利用して葉ワサビを作った実績がある。マスコミにも取り上げられて順調だった。当時は三棟で葉ワサビを栽培すれば、他の場所へも出荷できるのではと考えていた。これからという時期にやめたのでもったいない。冬で仕事が無いときに、取り組みを友の会で頑張ってほしい。若い人に、得た技術を継承して地域の農業を育てていくことが大切だ。
山田 葉ワサビでもかす漬けや塩漬けにして付加価値を付けて販売し、直売所を盛り上げる姿勢が大事だと感じている。
-研究会はどうすれば活動が盛んになるか。
明石 これまで、会員の十二人が全員で集まったことがない。それぞれの農作業があって都合がつかず、一緒にこれからの作業を話し合う機会がないしコミュニケーションもだんだん少なくなっている。何かをやりたいという意欲はあるが、明確な目標が分からず困っている。だが、みんなが協力してくれてうれしい。
有馬 当初、研究会はシュンギク、コマツナ、ホウレンソウ、キンセンカなどを栽培し、碇ケ関ならではの技術が確立された。特に葉ワサビ栽培では良い成果が出て、(本県食材を使ったレシピ集を製作している有名シェフの)熊谷喜八さんも評価していた。だが、友の会の中に広まらなかった。素晴らしい産物を切らさないで、拡大する取り組みをしてほしい。また、碇ケ関は複数の源泉を持ついで湯の里。ゆう出量、温度、特徴、場所もそれぞれ違う。源泉の利用方法を地域で検討してみてはどうか。
◇
道の駅「関の庄」/販売、情報交換の場
-道の駅「関の庄」の状況は。
佐々木 販売友の会には八十三人の会員がおり、リンゴを主体に野菜や加工品などを販売している。一九九八年にオープンしたが、売り上げは年々増え、地域の活性化につながっている。農産物以外も全部を含めた売り上げは四億円程度。できれば、葉ワサビや花を冬の間に育てて、また出荷してほしい。
大湯 直売所ができて農家の所得が上がった。リンゴ園は減っているが、代わりに野菜畑が増えてきた。直売所に商品を出すと、お金がすぐ入ってくるので家計を助けているようだ。リンゴ農家が高齢化して園地も荒れてきている。分からないことを聞ける人が近所にいなくなってきた。だが、今は直売所が対話と情報交換の場になっている。産直を手伝う若者も出てきつつある。
-これまでに商品開発した実例は。
佐々木 自然薯ではラーメン、そば、ギョーザなどの加工品があるし、生でも売っている。ラーメンは地域内の食堂と協力し、どこでも食べることができるようにした。マルメロはケーキ、パイ、ようかんなど。一番売れるのはマルメロソフトで大人から子供まで人気。今は角切りしたマルメロのカレーを開発中で、四月ごろから売り出したい。ここでなくては食べられない商品を作りたい。
大湯 道の駅の加工場を使い、リンゴジュースなどの委託加工もできる。個人的には、施設を借りカットリンゴを作っている。開発と失敗を繰り返したが県内の給食や北東北に売り込んでいる。
-将来にどのような夢を描いているか。
明石 とにかく野菜でも花でも生産して道の駅で販売したい。従来あるものより、目新しいものを売って多くの買い物客を呼びたい。
相馬 道の駅ができるのが決まったとき、加工指導センターの指導でみそ造りを始めた。一月から三月中旬まで毎日フル回転だ。口コミで広まって、秋田や他の市町村にも販路を広げている。
乳井 私もみそを造っている。夏は草取りや植え付けが大変だが、全部の仕込みが終わってお金になるとうれしい。
大湯 直売所は商品が出るときは一気に出てくるが、無いときはまったく無いのが問題。いつ人が来ても安定的に品ぞろえがあるように、友の会で話し合っている。また直売所が増えているためか、よそから山に入ってきて山菜を乱獲する人がいる。地元の人は少し残して採るのに、根こそぎ持って行かれるので地域の人が採れない状態だ。なんとかしてほしい。
山田 リンゴ栽培は高齢化していて地域の担い手が少ない。リンゴの作業が大変になった高齢者でも、ハウスの中での作業はできるのでは。温泉熱を使ったハウスの経験技術を生かして、生産した作物を道の駅に出せば、違う方向性から農業に参加でき、地域のためにもなる。できるだけ支援していきたい。
◇
花卉や葉ワサビ/生産へ手応えつかむ
-碇ケ関地区の特徴と産業は。
山田 碇ケ関地区は青森と秋田の県境にあり、津軽藩四代藩主の信政公が御仮屋(おかりや)を設けて以来、約四百年続く由緒ある湯治場だ。山間地で積雪は多いものの、農業はリンゴを主体に水稲、野菜などの複合経営で振興を図っている。無添加のリンゴジュースや深山で取れるタケノコ、ミズ、ワラビなどの山菜とその加工品、自然薯(じねんじょ)が主な特産品となっている。農産物と特産品は道の駅いかりがせき津軽「関の庄」の直売所で販売している。
-十種類以上の泉質を誇る温泉に恵まれるというが、そのうち冬の農業に利用しているのは何カ所か。
明石 冬の農業研究会は相沢地区で活動していて、私の知る範囲ではここ一カ所のみだ。久吉地区はようやくまとまった湯量が確保できるようになったので、これからやっていこうと思っている。
-冬の農業に取り組むようになったきっかけは。
相馬 県の事業であるフロンティア21の補助を受けて旧碇ケ関村役場と県、「関の庄」販売友の会会員の賛同者で二〇〇二年に始めた。冬の農業研究会は野菜部会、山菜部会、花卉(き)部会の三つに分かれ、普及指導室の指導を受けながら、新しい花の栽培や、温泉熱を利用して野菜を早く出荷する方法を学んだ。私が所属した山菜部会はタラノメなどに挑戦した結果、葉ワサビが主体になり、順調に加工段階まで進んだ。
明石 私の入った花卉部会は切り花としてキンセンカ、グラジオラス、鉢物としてパンジーなどを手がけた。温泉熱の利用でハウスの中が暖かいので、寒い季節に通常ではできない作物が作れ、会員の労力が報われたと思った。
乳井 ポット苗は寒い時期の販売はいいが、四月ごろになると市販の安い物が出回るため、高く売れず、村内の店や、欲しい人に買ってもらうなどの苦労もあった。
相馬 第一期の冬の農業研究会は解散したため、当時の山菜部会の苗は会員で分けた。
-再起をかけて研究会をつくった狙いは。
明石 当初の研究会は八年の予定が四年で解散したが、花卉部会の会員は、四年間やった技術をもっと磨きたいと会をつくるのに賛成した。ほかの部会からも会員が入ってくれた。三棟のビニールハウスがあったので去年と同じものを植えている。今は、キンセンカ、グラジオラス、スイセン、チューリップなどを栽培している。
相馬 前に会長を務めていたが、研究会を無くすのは残念でぜひ残したかったので、私も会員になった。今後はキクを作ってみたい。
乳井 花だけだと三棟のハウスをさばくのが大変。そのうちの一棟で葉ワサビをまたやってもいいのではないか。
高阪 私も山菜をもう少し生産すれば良いと思っている。
-引用終わり-
東奥日報の企画ですが素晴らしい企画です。これは恐らく他地域編もあることでしょう。後で調べてみましょう。今回「地熱とハウス栽培」を検索していて偶然見つけました。
お正月に実家に帰郷して温泉に入りました。「ふれあい温泉川内」「スパウッド」そして「湯野川温泉」です。
その湯野川温泉近くで使われていないような大きなハウス施設がありました。直感的に「これは再生できるのではないか」と感じるわけです。
「アイデアと資本と雇用のマッチング」は重要な地域活性化のポイントと考えています。
-ろばた談議/温泉熱でハウス栽培 特色ある産品開発を-
-新しい研究会ではこれからどのように活動していくのか。
明石 せっかくハウスがあるので、一年を通して利用できないか。会員の中には、夏場でも何かやろうという意見がある。ただ三十坪ほどのハウスが三つだけなので、何ができるかこれから相談していきたい。課題は、温泉熱の確保。個々で分かれて取り組むときに熱源をどうするか。碇ケ関地区は温泉地ではあるが、どこからでも熱源を持ってこれるわけではない。
相馬 市場でも葉ワサビが要望されており、一棟でも葉ワサビを栽培して、加工品を道の駅で販売したい。夏にハウスを空けておくのはもったいないので、手間がかからない作物を植えたい。例えばプチベールという野菜は、食べてみてもくせがなくておいしい。温泉熱だと暖房費がかからないし、いいのでは。
乳井 道の駅に花などがないので、少しでも店先を明るくしたいという気持ちはある。
佐々木 灯油が高いこの時期に、地熱を利用して葉ワサビを作った実績がある。マスコミにも取り上げられて順調だった。当時は三棟で葉ワサビを栽培すれば、他の場所へも出荷できるのではと考えていた。これからという時期にやめたのでもったいない。冬で仕事が無いときに、取り組みを友の会で頑張ってほしい。若い人に、得た技術を継承して地域の農業を育てていくことが大切だ。
山田 葉ワサビでもかす漬けや塩漬けにして付加価値を付けて販売し、直売所を盛り上げる姿勢が大事だと感じている。
-研究会はどうすれば活動が盛んになるか。
明石 これまで、会員の十二人が全員で集まったことがない。それぞれの農作業があって都合がつかず、一緒にこれからの作業を話し合う機会がないしコミュニケーションもだんだん少なくなっている。何かをやりたいという意欲はあるが、明確な目標が分からず困っている。だが、みんなが協力してくれてうれしい。
有馬 当初、研究会はシュンギク、コマツナ、ホウレンソウ、キンセンカなどを栽培し、碇ケ関ならではの技術が確立された。特に葉ワサビ栽培では良い成果が出て、(本県食材を使ったレシピ集を製作している有名シェフの)熊谷喜八さんも評価していた。だが、友の会の中に広まらなかった。素晴らしい産物を切らさないで、拡大する取り組みをしてほしい。また、碇ケ関は複数の源泉を持ついで湯の里。ゆう出量、温度、特徴、場所もそれぞれ違う。源泉の利用方法を地域で検討してみてはどうか。
◇
道の駅「関の庄」/販売、情報交換の場
-道の駅「関の庄」の状況は。
佐々木 販売友の会には八十三人の会員がおり、リンゴを主体に野菜や加工品などを販売している。一九九八年にオープンしたが、売り上げは年々増え、地域の活性化につながっている。農産物以外も全部を含めた売り上げは四億円程度。できれば、葉ワサビや花を冬の間に育てて、また出荷してほしい。
大湯 直売所ができて農家の所得が上がった。リンゴ園は減っているが、代わりに野菜畑が増えてきた。直売所に商品を出すと、お金がすぐ入ってくるので家計を助けているようだ。リンゴ農家が高齢化して園地も荒れてきている。分からないことを聞ける人が近所にいなくなってきた。だが、今は直売所が対話と情報交換の場になっている。産直を手伝う若者も出てきつつある。
-これまでに商品開発した実例は。
佐々木 自然薯ではラーメン、そば、ギョーザなどの加工品があるし、生でも売っている。ラーメンは地域内の食堂と協力し、どこでも食べることができるようにした。マルメロはケーキ、パイ、ようかんなど。一番売れるのはマルメロソフトで大人から子供まで人気。今は角切りしたマルメロのカレーを開発中で、四月ごろから売り出したい。ここでなくては食べられない商品を作りたい。
大湯 道の駅の加工場を使い、リンゴジュースなどの委託加工もできる。個人的には、施設を借りカットリンゴを作っている。開発と失敗を繰り返したが県内の給食や北東北に売り込んでいる。
-将来にどのような夢を描いているか。
明石 とにかく野菜でも花でも生産して道の駅で販売したい。従来あるものより、目新しいものを売って多くの買い物客を呼びたい。
相馬 道の駅ができるのが決まったとき、加工指導センターの指導でみそ造りを始めた。一月から三月中旬まで毎日フル回転だ。口コミで広まって、秋田や他の市町村にも販路を広げている。
乳井 私もみそを造っている。夏は草取りや植え付けが大変だが、全部の仕込みが終わってお金になるとうれしい。
大湯 直売所は商品が出るときは一気に出てくるが、無いときはまったく無いのが問題。いつ人が来ても安定的に品ぞろえがあるように、友の会で話し合っている。また直売所が増えているためか、よそから山に入ってきて山菜を乱獲する人がいる。地元の人は少し残して採るのに、根こそぎ持って行かれるので地域の人が採れない状態だ。なんとかしてほしい。
山田 リンゴ栽培は高齢化していて地域の担い手が少ない。リンゴの作業が大変になった高齢者でも、ハウスの中での作業はできるのでは。温泉熱を使ったハウスの経験技術を生かして、生産した作物を道の駅に出せば、違う方向性から農業に参加でき、地域のためにもなる。できるだけ支援していきたい。
◇
花卉や葉ワサビ/生産へ手応えつかむ
-碇ケ関地区の特徴と産業は。
山田 碇ケ関地区は青森と秋田の県境にあり、津軽藩四代藩主の信政公が御仮屋(おかりや)を設けて以来、約四百年続く由緒ある湯治場だ。山間地で積雪は多いものの、農業はリンゴを主体に水稲、野菜などの複合経営で振興を図っている。無添加のリンゴジュースや深山で取れるタケノコ、ミズ、ワラビなどの山菜とその加工品、自然薯(じねんじょ)が主な特産品となっている。農産物と特産品は道の駅いかりがせき津軽「関の庄」の直売所で販売している。
-十種類以上の泉質を誇る温泉に恵まれるというが、そのうち冬の農業に利用しているのは何カ所か。
明石 冬の農業研究会は相沢地区で活動していて、私の知る範囲ではここ一カ所のみだ。久吉地区はようやくまとまった湯量が確保できるようになったので、これからやっていこうと思っている。
-冬の農業に取り組むようになったきっかけは。
相馬 県の事業であるフロンティア21の補助を受けて旧碇ケ関村役場と県、「関の庄」販売友の会会員の賛同者で二〇〇二年に始めた。冬の農業研究会は野菜部会、山菜部会、花卉(き)部会の三つに分かれ、普及指導室の指導を受けながら、新しい花の栽培や、温泉熱を利用して野菜を早く出荷する方法を学んだ。私が所属した山菜部会はタラノメなどに挑戦した結果、葉ワサビが主体になり、順調に加工段階まで進んだ。
明石 私の入った花卉部会は切り花としてキンセンカ、グラジオラス、鉢物としてパンジーなどを手がけた。温泉熱の利用でハウスの中が暖かいので、寒い季節に通常ではできない作物が作れ、会員の労力が報われたと思った。
乳井 ポット苗は寒い時期の販売はいいが、四月ごろになると市販の安い物が出回るため、高く売れず、村内の店や、欲しい人に買ってもらうなどの苦労もあった。
相馬 第一期の冬の農業研究会は解散したため、当時の山菜部会の苗は会員で分けた。
-再起をかけて研究会をつくった狙いは。
明石 当初の研究会は八年の予定が四年で解散したが、花卉部会の会員は、四年間やった技術をもっと磨きたいと会をつくるのに賛成した。ほかの部会からも会員が入ってくれた。三棟のビニールハウスがあったので去年と同じものを植えている。今は、キンセンカ、グラジオラス、スイセン、チューリップなどを栽培している。
相馬 前に会長を務めていたが、研究会を無くすのは残念でぜひ残したかったので、私も会員になった。今後はキクを作ってみたい。
乳井 花だけだと三棟のハウスをさばくのが大変。そのうちの一棟で葉ワサビをまたやってもいいのではないか。
高阪 私も山菜をもう少し生産すれば良いと思っている。
-引用終わり-
東奥日報の企画ですが素晴らしい企画です。これは恐らく他地域編もあることでしょう。後で調べてみましょう。今回「地熱とハウス栽培」を検索していて偶然見つけました。
お正月に実家に帰郷して温泉に入りました。「ふれあい温泉川内」「スパウッド」そして「湯野川温泉」です。
その湯野川温泉近くで使われていないような大きなハウス施設がありました。直感的に「これは再生できるのではないか」と感じるわけです。
「アイデアと資本と雇用のマッチング」は重要な地域活性化のポイントと考えています。