8/30東奥日報が伝えておりました。
-地質構造3次元解析 規制委、調査費を概算要求-
原子力規制委員会は29日、原子力施設が集中立地する下北半島の地質構造を3次元化して解析する調査研究費を2014年度予算の概算要求に盛り込んだと発表した。本年度実施する下北半島の地下構造調査の追加調査に当たり、断層の活動性を引き続き検証する。
本年度調査は太平洋沖の「大陸棚外縁断層」から東北電力東通原発付近を通り、陸奥湾まで東西約50kmの側線を設定し、人工的な振動を起こす地震探査で深さ10kmまでの地下構造を調べる。
来年度は地下1~2kmのボーリング調査を新たに実施。地震探査の結果と合わせて地質構造を3次元で解析する。
下北半島と地質構造が異なる他地域1~2か所でも別の手法による断層調査を行うため、事業費の要求額は22億5千万円で、本年度実績の5億3千万円から大幅に増加した。規制委は各調査を比較検証し、断層活動性評価の手法確立を目指す。
-引用終わり-
電力事業者側にとっては非常にショックな記事ではないでしょうか。規制委が来年度も独自調査費を計上するということは、結論は更に延びるということではないでしょうか。評価によっては耐震補強などはその後になるでしょう。
ちなみに参考として東京新聞3/24の記事を添付しておきます。記事の佐藤氏は立川断層の誤認を認めた経緯がありますが、ここでは下北半島の地下構造データの件で規制委が自ら調査を行うに至る経緯を示したい意図です。
-3/24東京新聞/断層データ電力頼み、規制委独自調査足踏み状態-
「4億円あれば、下北半島を輪切りにして調べられます」
昨年暮れ、原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦(67)のもとに一通のメールが届いた。東北電力東通原発の断層を調べる専門家チームの一人で、深い地下の構造調査を専門にする東京大地震研究所教授の佐藤比呂志(57)からだった。
就任時に「自然の声に素直に耳を傾ける」と決意を述べた島崎。これまでのような電力会社の調査だけでは、都合のいいデータを集める危険性が高い。思惑が交じったのでは、とても「自然の声」を聞く調査にはならないと感じていた。
青森県の下北半島には、六ケ所村の核燃料サイクル施設群をはじめ、数多くの原子力施設がある。学会では、半島東沖の長大な大陸棚外縁断層などの危険性が指摘されていた。
そこで、島崎は佐藤に調査方法の検討を頼んでいた。半島をまたぐように東西50キロにわたって陸と海から調べれば、半島全体の地下構造が解明できるとの心強い答えだった。島崎は「良い内容だ」と思った。
◇
島崎が独自の調査にこだわるようになった背景には、規制委の委員になる一週間前、自らが会長を務めていた地震予知連絡会の学者仲間から送られた言葉がある。
「理学の代表として原子力政策を正しい方向へ導いてほしい」
送り主は東大准教授の池田安隆(61)。一般的な激励のようにも見えるが、旧原子力安全委員会(廃止)の委員の一人として味わった怒りや無念を晴らしてほしい、との意味が込められていた。
池田は2010年、安全委による東通原発の耐震審査に参加。大陸棚外縁断層の危険性を何度も指摘したが、東北電は聞く耳を持たなかった。安全委は、東北電のデータだけで判断し、形ばかりの審査だったという。
◇
島崎は規制委独自の下北半島の調査ができないか、規制委事務局内を回った。
だが、事務方からは「予算がない」 「本来は事業者がやるべき調査をこちらがやるのはどうか」など後ろ向きな返事が多く、島崎は壁に突き当たってしまった。調査方法を検討してくれた佐藤に、はっきりとした返事ができないでいる。
島崎の構想が足踏みする中、東京電力福島第一原発事故後も、電力会社の体質は変わっていないことを世間に知らしめる出来事が起きた。
2月18日、東通原発をめぐる専門家チームの評価会合で、東北電は、初会合のときから開示を求められてきた地層データを催促されたが、「検討中」を繰り返して出そうとしなかった。
さらには、敷地内に多数の活断層があることを前提に原発の安全性強化を図るべきだと指摘されたのに、会合後、東北電副社長の梅田健夫(63)は「活断層を否定するデータを追加調査で集める」と言い放った。
都合の悪いデータは出さず、集めたいデータだけ集める─。電力会社の体質とともに、電力会社の調査頼みの規制委の限界もまざまざと見せつける瞬間だった。
島崎は下北半島の独自調査をあきらめてはいない。「(規制委として)自ら調べる力を持ちたい」とも言う。ただ、このままうやむやになるようでは、規制委もかつての甘い規制機関に逆戻りする。島崎に自然の声が聞こえる日も来ない。(敬称略)
-引用終わり-
-地質構造3次元解析 規制委、調査費を概算要求-
原子力規制委員会は29日、原子力施設が集中立地する下北半島の地質構造を3次元化して解析する調査研究費を2014年度予算の概算要求に盛り込んだと発表した。本年度実施する下北半島の地下構造調査の追加調査に当たり、断層の活動性を引き続き検証する。
本年度調査は太平洋沖の「大陸棚外縁断層」から東北電力東通原発付近を通り、陸奥湾まで東西約50kmの側線を設定し、人工的な振動を起こす地震探査で深さ10kmまでの地下構造を調べる。
来年度は地下1~2kmのボーリング調査を新たに実施。地震探査の結果と合わせて地質構造を3次元で解析する。
下北半島と地質構造が異なる他地域1~2か所でも別の手法による断層調査を行うため、事業費の要求額は22億5千万円で、本年度実績の5億3千万円から大幅に増加した。規制委は各調査を比較検証し、断層活動性評価の手法確立を目指す。
-引用終わり-
電力事業者側にとっては非常にショックな記事ではないでしょうか。規制委が来年度も独自調査費を計上するということは、結論は更に延びるということではないでしょうか。評価によっては耐震補強などはその後になるでしょう。
ちなみに参考として東京新聞3/24の記事を添付しておきます。記事の佐藤氏は立川断層の誤認を認めた経緯がありますが、ここでは下北半島の地下構造データの件で規制委が自ら調査を行うに至る経緯を示したい意図です。
-3/24東京新聞/断層データ電力頼み、規制委独自調査足踏み状態-
「4億円あれば、下北半島を輪切りにして調べられます」
昨年暮れ、原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦(67)のもとに一通のメールが届いた。東北電力東通原発の断層を調べる専門家チームの一人で、深い地下の構造調査を専門にする東京大地震研究所教授の佐藤比呂志(57)からだった。
就任時に「自然の声に素直に耳を傾ける」と決意を述べた島崎。これまでのような電力会社の調査だけでは、都合のいいデータを集める危険性が高い。思惑が交じったのでは、とても「自然の声」を聞く調査にはならないと感じていた。
青森県の下北半島には、六ケ所村の核燃料サイクル施設群をはじめ、数多くの原子力施設がある。学会では、半島東沖の長大な大陸棚外縁断層などの危険性が指摘されていた。
そこで、島崎は佐藤に調査方法の検討を頼んでいた。半島をまたぐように東西50キロにわたって陸と海から調べれば、半島全体の地下構造が解明できるとの心強い答えだった。島崎は「良い内容だ」と思った。
◇
島崎が独自の調査にこだわるようになった背景には、規制委の委員になる一週間前、自らが会長を務めていた地震予知連絡会の学者仲間から送られた言葉がある。
「理学の代表として原子力政策を正しい方向へ導いてほしい」
送り主は東大准教授の池田安隆(61)。一般的な激励のようにも見えるが、旧原子力安全委員会(廃止)の委員の一人として味わった怒りや無念を晴らしてほしい、との意味が込められていた。
池田は2010年、安全委による東通原発の耐震審査に参加。大陸棚外縁断層の危険性を何度も指摘したが、東北電は聞く耳を持たなかった。安全委は、東北電のデータだけで判断し、形ばかりの審査だったという。
◇
島崎は規制委独自の下北半島の調査ができないか、規制委事務局内を回った。
だが、事務方からは「予算がない」 「本来は事業者がやるべき調査をこちらがやるのはどうか」など後ろ向きな返事が多く、島崎は壁に突き当たってしまった。調査方法を検討してくれた佐藤に、はっきりとした返事ができないでいる。
島崎の構想が足踏みする中、東京電力福島第一原発事故後も、電力会社の体質は変わっていないことを世間に知らしめる出来事が起きた。
2月18日、東通原発をめぐる専門家チームの評価会合で、東北電は、初会合のときから開示を求められてきた地層データを催促されたが、「検討中」を繰り返して出そうとしなかった。
さらには、敷地内に多数の活断層があることを前提に原発の安全性強化を図るべきだと指摘されたのに、会合後、東北電副社長の梅田健夫(63)は「活断層を否定するデータを追加調査で集める」と言い放った。
都合の悪いデータは出さず、集めたいデータだけ集める─。電力会社の体質とともに、電力会社の調査頼みの規制委の限界もまざまざと見せつける瞬間だった。
島崎は下北半島の独自調査をあきらめてはいない。「(規制委として)自ら調べる力を持ちたい」とも言う。ただ、このままうやむやになるようでは、規制委もかつての甘い規制機関に逆戻りする。島崎に自然の声が聞こえる日も来ない。(敬称略)
-引用終わり-