最近、紹介予定派遣の仕組みをよく知らないまま派遣されて、単純なトラブルを抱えた方からの相談が数件ありましたので、新聞記事から「紹介予定派遣」の現状をお伝えします。
【NEWS】紹介予定派遣制度 半年間のお見合い
「最長半年間のお見合いで正社員になるんです」
4月下旬。東京都渋谷区の人材派遣会社「テンプスタッフ」本社の会議室。「紹介予定派遣制度」に興味を持った女性たちが集まったセミナーで、スタッフはこう話した。
聞き慣れない「紹介予定派遣制度」こそ、今、話題になっている新しい雇用形態なのだ。
制度の誕生は2000年。派遣社員として最長半年間働いている間に、正社員になるかどうかを見極める。一方、企業側も適性などをみながら派遣期間終了後に採用の可否を決定する。その際、派遣社員、企業のいずれからも断ることができる。
「自分に合う仕事かどうかを知るために入社する前に働くことができて、いろいろ試したうえで判断できたので良かった」
実際に制度を利用して、正社員になった女性はこう話した。
2000年の制度開始当初は、不安視する向きもあった。
「認知度が高まるまでには相当な時間がかかるとみていました」
テンプスタッフ広報室長の中俣(なかまた)貴代子さんは、こう振り返る。
状況が一変したのは、04年3月の制度改正だった。
当初は、派遣サービスの延長という考えから事前の履歴書の送付や面接は禁止されていた。
ところが、改正後は面接などが可能になり、採用内定も「派遣期間終了後」から「期間中もOK」に。これで、採用側も制度を利用しやすくなった。
「お見合い」は今、うなぎのぼりに増えている。
■雇用のミスマッチ防ぐ一里塚に
2000年にスタートし、04年に改正された「紹介予定派遣制度」。改正で、事前に面接できるといった企業側のメリットが多くなったことで、利用者がぐんと増えている。
3202人、 前年同期比39・5%増
これは、全国の主要派遣会社108社のデータを集計している日本人材派遣協会が今月9日に発表した、今年1-3月の紹介予定派遣制度を利用した月平均の実稼働者のデータである。
昨年10-12月期の月平均も、前年同期比56・1%増の3100人にのぼっていた。
大手派遣会社の調べによると、制度を利用している企業は、従業員500人以下の中小規模の会社が8割を占め、なかでも金融、メーカーからの受注が多いという。
「優秀な正社員はほしいが、私たちの会社は、募集に時間やコストをかける余裕はありません。仕事と適性のミスマッチによる早期退職も避けたい」
ある中小企業の採用担当者はこう話した。雇用のミスマッチを防ぐ新たな手法として魅力がある。多くの採用担当者が、こう思っているのだ。
≪国の対応≫
国は、どうみているのか。厚労省は、制度利用者の増加に関心を示している。
「雇用のミスマッチを解消する一つの手段として、有効であると考えています。トラブルなどの報告は特にありませんが、現在、制度に問題点や改善点がないかなどを検証し、現場の要望を集めているところです」
職業安定局需給調整事業課のスタッフはこう話し、次のように制度の見直しも示唆した。
「現在、正社員になるまでの期間が最長6カ月となっていますが、新卒者だけは期間を延長した方がよりよいマッチングができるのではという意見もあり、検討材料となっています」
社会人経験のない新人の場合、企業サイドが半年では適性の有無を判断しかねる場合があるためだという。
希望する会社の実態をじっくりと把握した上で正社員になる。そんな就職の選択をする人は今後も増え、新制度は「雇用のミスマッチ」を防ぐ、一里塚に育っていきそうだ。
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(FujiSankei Businessi より抜粋)