価値観3
2019-10-01 | 日記
二十歳くらいで、まだ夫とも知り合ってもいない頃。
私は妻子持ちの、ある金持ちの中年男に食事に誘われた。
誘われ方はドストレートだった。
夜電話があって、「××です、何日に食事に行こう!!」
何のイントロもなくいきなりそう言われた。
その人はS会員の支部長で、会社経営者で、自宅の地下を個人会館にしているような金持ちだった。
その広さは、本当の会館の別室くらいあった。
私はその人は好きなタイプじゃなかったし、なんだか調子のいい人に思っていた。
でも、若い子たちによく差し入れなんかしてくれる親切な人、と思っていた。
「若い子に、たまには美味しいものでも食べさせてあげようという親切心」からだろうと、軽いノリでOKした。
連れていかれた先は、後にも先にも行ったことがない赤坂の超高級店。
でも静かな雰囲気とかいうのではなくて、広くて人が大勢いて、金持ちそうな外国人がいっぱいいた。
貧乏な一人暮らしだった私には、店に入って座っただけで酔わされるような、別世界に迷い込んだような感覚を覚えたと思う。
そこで気が遠くなるほど美味しいお寿司の握りを食べて、升に入った高級な日本酒を飲んだ。
まだお酒も今ほど強くなかったし、飲み方も知らなかったはずである。
でも私はその男に指一本触れさせることなく、ちゃっかりご馳走になっただけで帰ってきた。
タクシーでアパートの前に着いた時、男が突然真顔になって
「何か困ってることはないか?相談に乗るから何でも言って」
と言ったので
「ないよ、何も?」
と言ったら、食いつくように
「本当にないのか?」
とアホみたいな真剣な眼差しで念を押してきた。
「ないですって!!」
なんで同じこと二回も聞くの?私嘘なんかつかないよ?と、キョトンとしてさっさとアパートの前の門を閉めた。
窓から「トボトボと帰っていく寂しげな後ろ姿」を見て、ふだんの明るく偉そうな?支部長と全然違うなあと不思議な思いで眺めた。
そう、私はそのくらいアホみたいに無邪気で世間知らずだったのである。
後にその男は「田舎から出てきたうるさい親のいない一人暮らしの女の子」を狙って、全く同じ手口で誘い、酔わせてアパートでモノにして、多額の口止め料を渡していたことがわかった。
打ち明けられた子は一人だったけど、私まで誘うくらいなんだから他にもいたのかもしれない。
例えばお金に困っているとか、何か欲しいとか、仕事で悩んでるとか言ったのかな?
にしてもなんであんな中年とオッサンと、どこをどうしたらそうなるのか?
話を聞いても私にはチンプンカンプンだった。
ショックというより、意味不明でポカーンとした。
今思うのは、パワハラだとかセクハラとかそういうことじゃなくて、
ああ、あの人は単純に「お金を売りにしていたのだな」ということ。
ルックスとかトークで勝負できなくても、お金がある人は金を全面にアピールする。
話術や他の魅力と全く同じように、ふつうにお金を武器にする。
そういうことかと。
見た目や性格よりお金が好きな人はいるもんね。
私は妻子持ちの、ある金持ちの中年男に食事に誘われた。
誘われ方はドストレートだった。
夜電話があって、「××です、何日に食事に行こう!!」
何のイントロもなくいきなりそう言われた。
その人はS会員の支部長で、会社経営者で、自宅の地下を個人会館にしているような金持ちだった。
その広さは、本当の会館の別室くらいあった。
私はその人は好きなタイプじゃなかったし、なんだか調子のいい人に思っていた。
でも、若い子たちによく差し入れなんかしてくれる親切な人、と思っていた。
「若い子に、たまには美味しいものでも食べさせてあげようという親切心」からだろうと、軽いノリでOKした。
連れていかれた先は、後にも先にも行ったことがない赤坂の超高級店。
でも静かな雰囲気とかいうのではなくて、広くて人が大勢いて、金持ちそうな外国人がいっぱいいた。
貧乏な一人暮らしだった私には、店に入って座っただけで酔わされるような、別世界に迷い込んだような感覚を覚えたと思う。
そこで気が遠くなるほど美味しいお寿司の握りを食べて、升に入った高級な日本酒を飲んだ。
まだお酒も今ほど強くなかったし、飲み方も知らなかったはずである。
でも私はその男に指一本触れさせることなく、ちゃっかりご馳走になっただけで帰ってきた。
タクシーでアパートの前に着いた時、男が突然真顔になって
「何か困ってることはないか?相談に乗るから何でも言って」
と言ったので
「ないよ、何も?」
と言ったら、食いつくように
「本当にないのか?」
とアホみたいな真剣な眼差しで念を押してきた。
「ないですって!!」
なんで同じこと二回も聞くの?私嘘なんかつかないよ?と、キョトンとしてさっさとアパートの前の門を閉めた。
窓から「トボトボと帰っていく寂しげな後ろ姿」を見て、ふだんの明るく偉そうな?支部長と全然違うなあと不思議な思いで眺めた。
そう、私はそのくらいアホみたいに無邪気で世間知らずだったのである。
後にその男は「田舎から出てきたうるさい親のいない一人暮らしの女の子」を狙って、全く同じ手口で誘い、酔わせてアパートでモノにして、多額の口止め料を渡していたことがわかった。
打ち明けられた子は一人だったけど、私まで誘うくらいなんだから他にもいたのかもしれない。
例えばお金に困っているとか、何か欲しいとか、仕事で悩んでるとか言ったのかな?
にしてもなんであんな中年とオッサンと、どこをどうしたらそうなるのか?
話を聞いても私にはチンプンカンプンだった。
ショックというより、意味不明でポカーンとした。
今思うのは、パワハラだとかセクハラとかそういうことじゃなくて、
ああ、あの人は単純に「お金を売りにしていたのだな」ということ。
ルックスとかトークで勝負できなくても、お金がある人は金を全面にアピールする。
話術や他の魅力と全く同じように、ふつうにお金を武器にする。
そういうことかと。
見た目や性格よりお金が好きな人はいるもんね。