ほんの少し買い物がある。近くのコープで済ませてしまおうか。ウォーキングがてら。
いつも歩いている道、休耕畑ののり面を何気なく見る。
おっ、ここでは見慣れぬ植物がぬっと伸び上がっていた。マムシグサをすらっとさせたような姿なのである。
これっ、カラスビシャクという。実は、初めての出会いなのだ。
しかし、決して珍しい植物ではない。畑地や野原などでよく見られるサトイモ科ハンゲ属の多年草で、半夏(ハンゲ)という別名を持つ。
七十二候の一つに『半夏生(はんげじょうず)』があるが、まさにこのカラスビシャクが成長し、花をつける時季のこと。今年は7月2日がその日に当たる。
もう何年も前から、花を求めてこの付近をブラ散歩している。不覚! ついぞ気付かなかったのだから。
この路傍を行き交う人々にとっては単なる雑草かもしれない。だが、私には珍しいといってもいい植物なのだ。
猫の額には、ニオイハンゲが住まっている。その隣に据えてみようと思い数株掘り上げて鉢取りしてみた。

📷2022年5月9日:こちらは同属のニオイハンゲ。似た者同士なのである。
ヒエンソウ(飛燕草)が咲いた。キンポウゲ科ヒエンソウ属の二年生草本で、チドリソウ(千鳥草)とも称される。いずれも、実在する鳥に見立てた命名なのだろう。英名ではラークスパー(larkspur)といい、ヒバリ(lark)の蹴爪(spur)という意味がある。
鳥がモチーフとなった命名、洋の東西を問わず、思うことは同じということか。

📷2022年5月8日:ヒエンソウの一番花が咲いた。

📷2022年5月9日:この種は、「カネコ種苗 No.320 ミックスフラワー ハイタイプ」に入っていたモノ。
路傍には、小さな飛燕も飛翔している。キンポウゲ科ヒエンソウ属の一年草、セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)がそれだ。
繁殖力は半端じゃない。いまでは、100年も前からここに棲んでいるんだぜって顔して、山野草然とした出で立ちで蔓延っている。

📷2022年5月7日:平野の森の林縁に咲くセリバヒエンソウ。
近縁に、キンポウゲ科ヒエンソウ(デルフィニウム)属のデルフィニウムがある。オオヒエンソウ(大飛燕草)ともいう。
こちらは、「みん花」華やかなりし頃、西武池袋本店・空中庭園で撮影したデルフィニウムの仲間である。

📷2016年5月24日:かつてのみん花に投稿したデルフィニウムの写真を引っ張り出してきた。
つらつら思うに、ヒエンソウ属とあったり、デルフィニウム属とあったり、はたまた、チドリソウ属とあったり、コンソリダ属とあったりするので、植物学などに縁のない門外漢にはどう覚えておけばいいのか、いまだに整理できないでいる。
一般的な学名の表記(属名+種小名)を見てみると、次のようになっているようだ。
ヒエンソウ:Delphinium+ajacis(ギリシャの英雄Ajaxに因む)
セリバヒエンソウ:Delphinium+anthriscifolium(セリの葉の意)
オオ(バナ)ヒエンソウ:Delphinium+grandiflorum(大花の意)
いずれも属名はデルフィニウム=Delphinium(ラテン語Delphis=イルカから:つぼみがイルカの形から)なので、デルフィニウム属でいいような気がするのだが・・・。

📷2022年5月6日:ヒエンソウのつぼみである。まさに空中を泳ぐイルカのよう。