10月初旬、夏が盛期とされるタマノカンザシのつぼみが立ち上がってきた。10月10日にはつぼみの分化が始まったようで、随分と膨らんできたのだが、それでも咲くことなどないであろうと思っていた。
10月15日早朝、家人をクリニックへ送迎するため玄関を出ると、そのタマノカンザシに真白きつぼみが見えている。おや、10月中旬になっても夏日を記録するほどのおかしな気候に、植物もうろたえているのだろうかと思わざるを得ない。
まだ今後も夏日が数日あるであろうとの予報がなされている。うんっ、ひょっとしたら、咲くかもしれないね。祈りにも似た気持ちでタマノカンザシを見つめていた。
稲荷山公園北斜面付近、花そのものにはあまり巡り合うことができなかったが、草や木の実が色付き、樹林のなかに点々と鮮やかな赤みを見せていた。
かつて、ご教示いただいたシロバナトゲソバは、小さな花がぽつりぽつりと咲いており、それとは気づかずに行き過ぎてしまう人もいるだろうが、野の草好きにはたまらない独特の雰囲気を醸し出していた。
秋を連想させる言葉の一つに「錦繍」がある。本来の意味は、「錦と刺繍をした織物」ということらしい。転じて、「美しい紅葉や花のたとえ」として使用される。
キバナホトトギス、錦というにはおこがましすぎるかな。
キバナホトトギス、刺繍というには僭越に過ぎるかもしれない。
それでも、キバナホトトギスは秋を代表する花の一つだと思うよ。
我が家における秋のスイッチはキバナホトトギスばかりではない。このハゴロモフジバカマもその一つなのである。
草丈は1メートルをゆうに超えた。それでも、その身の丈に合わないほどの繊細なつぼみたちがほのかに揺らめく姿を見ると、秋麗(あきうらら)という言葉を思い起こす。さらに、アサギマダラでも飛来してくれれば言うことないんだがなぁ~。
「江戸風情」との名を持つ変化朝顔がある。代表的な花被片の柄は、青紫と白の絞り模様といった風か。だが、このワン・パターンだけではない。青紫一色なんてのも出現する。葉は丸葉系、ハート型に似る。
いまでは、代表的な中輪朝顔の一つとされる。では、「中輪」とはどれほどの大きさか? 仁田坂英二氏の著書「変化朝顔図鑑」によると、「普通種」といわれるモノは「5~7㎝」とされて、「中輪種」とはそれより大きなものを指すと記述されている。
路傍で出逢ったこの朝顔、葉形、花のカラーリングやパターンを見ると、まさしく「江戸風情」に該当するのだが、花径がとても小さい。ピンボケで恐縮だが例示したカメラキャップは55㎝のもの。それよりはるかに小さいのだ。そう、思わず「ちっちゃくなっちゃった~!」などと叫んでしまったのだよ。
はて、江戸風情には小輪種などあったのだろうか?(もちろん、路傍の方の種を採取してきたことは言うまでもない。)
ホームセンターの裏にある貸し農園にも、園主さんが植えたであろう花々が咲いていた。
雲一つない秋空に、キク科の花やコスモスたちの歓喜の声が聞こえるようだ。
いつもの森に寄ってみた。花が見当たらない。ひときわ目を惹く真っ赤な小さな実、ガマズミだね。
ここには数本のガマズミの木があるが、いずれも小さまモノばかりだ。その中でも、これほど色付きのよいものは他にはなかった。同じ環境下においても、土壌、日の射し具合等々によって色付き具合も異なるのだろうね。
2022年7月、タマガワホトトギスやシロバナホトトギスとともに、「つどいの里 八ヶ岳山野草園」から購入した。
タマガワは夏咲きなので7月中旬ごろ花を見、シロバナは驚くほど増え、いまを盛りと咲いている。
こちらは鉢植えだが、5本ほど花茎が立ち、例年にないほどのつぼみを蓄えている。咲き進むのが楽しみである。
こちらのシロバナホトトギス、一説によると、自生種ではなく、園芸種なのだとか。
もちろん、自生種とされるヤマジノホトトギスやヤマホトトギスなどの花被片は白色だが、そこに紫斑点が散っている。
やたらと増えてしまったので地植えとしているが、来年は再度鉢植えでも楽しんでみようと思っている。
大株だとの触れ込みで求めたモノだが、他のサイトに掲載されている写真のように、なかなか花を付けてくれない。まだまだ幼いからか?
昨年、花を付けることはなかったが、今年は申し訳程度つぼみをつけ、やっと花が見られそうである。
こちらは、長年我が家に仮住まいしている、いわゆるホトトギスである。そう、花被片にあの紫斑がある、プレーンなホトトギスである。
一度、暑さのために茶枯れてしまい全滅したかと思ったが、やはり強靭なのであろう、そこここで復活しつつある。
ホトトギスの花が終わろうという頃、山々の木々は錦繍に染まり、街のあちこちには冬の到来を予感させる景が目に付くようになる。一年なんてあっという間だ。
そろそろ、来春の山野草の芽出しのことなどを夢想し、新たな草々との出逢いなどをも気にしなければならない時節となったようだ。さて、どんなめぐり逢いがあるのだろうか。楽しみである。
石見川、石実皮、石膠などと、さまざまな漢字で表記するようだが、それ自体がこの草の名前の由来と関係があるようだ。
大阪の石見川付近で採取したモノが一番薬効があったとか、石のように固い種子(実)だとか、石なども膠(にかわ)のごとく接着できたとか、そんなことに由来するのだという。眉に唾を付けながら拝聴する類の話かと思うがどうなのだろう。
道行く人が、ことさらに愛でていくといった野の草ではない。いや、むしろ、何事もなかったかの如くスルーしてしまう、そんな雑草の一つかもしれない。
花は目立つことはない。結実し、その果実の成熟とともに、若緑から桃色、赤紫色、 青紫色、 青色と移り変わる果皮の色を愛でるなんてのは一興だろう。
そのイシミカワの項で、「茎にはけっこう鋭い刺毛がある」と記した。そんな厄介な草に絡んでいこうという奴もいる。ヤブマメだ。
マメ科特有の蝶形花である。旗弁は紫を帯びる。厄介なイシミカワに絡んでいこうというくらいだから、こちらもなかなか七面倒臭い野の草なのだろう。
イシミカワやヤブマメと遊んだ後、いつもの公園へ行ってみる。クズが辺り一面を支配し、見るべき花とてない。
昨年見つけたキンミズヒキが、申し訳なさそうに草丈を伸ばしていた。花はといえば、径が5ミリほど、丈も30㎝ほどだから「姫」なのかな?
あと花らしい花といえば、アキノノゲシくらいかな。例年であれば、アキノキリンソウなども見られるのだが、影も形もない。
公園を後に、S台図書館の方まで足を伸ばす。途中の団地の植え込み、キョウチクトウが県道に沿って植えられているのだが、一つ、二つ、花が咲いていた。
蝶が葉で羽を休めていた。Gレンズは、外来種のアカボシゴマダラだという。
かつて、ヤマジノホトトギスを見たS台3号公園の辺りまで足を伸ばした。尺が足りない。イヌサフランが咲いていたので、とりあえずカメラに収めておく。
花など知るものかと、二人連れのおばちゃんたちはおしゃべりを止めることなく通り過ぎていった。
知らないキノコ、わからないキノコは決して口にしてはダメ~~~。(by 岡本信人)