1年間 私立高校2年生と3年生に「情報I」および「パソコン研究」
という授業で情報Iおよび「入力練習・ワード、エクセル全般」を教えてきました。
そこで感じたことを不定期にお伝えしています。
今回も前回に引き続き試行テストおよび教科書で何をやっているかを
一つ一つひも解いて、子供たちがどんな準備をしていくべきかを考えてみます。
第2回目の今回は想像を超えていた「問題解決とその方法」について・・・です。
(データベース分野に関しては、別記事を投稿する予定です)
1.問題解決方法について
私自身、コンピュータシステムで世の中の問題を解決し、
人間社会と機械の仲立ちをするのがSEであると思ってやっていました。
(今では、コンピュータとシニア、子供たちの仲立ちをする仕事だと思っています)
こんなことを学校の授業で教えてくれるのか! と感動した章でもあります。
私が教えていた実教出版の【情報I】では
「第5章問題解決とその方法」の章がそれににあたります。
そして、この分野で一番驚いたのがエクセルの活用度合です。
エクセルは当然使われているだろうことは想像していましたが、
特に「データの活用」「データの分析」にいたってはエクセルという名称こそ
使われていませんが、どう見てもそのまんまエクセルの授業なのです。
(ただし、他の教科書ではエクセルではなくプログラムを作って、
データ分析をしているケースもあるようです)
具体的には大雑把ではありますが2つに分類できます。
- ひとつは表を作ってグラフにする勉強
- もう一つは、シミュレーションをエクセルを使ってする勉強
私の事前のイメージとしては、もちろんエクセルは使うだろうけれど、
それは数ある解決法の一つであろうというイメージがあったわけです。
しかし実際に蓋を開けてみるとほぼイコール「表からグラフを作る」問題でした。
どんなことをやっているか一例を示します。
2.どんなグラフを取り扱うのか・・・
①金利計算
年利0.4%なら10年経ってもこれだけの利息というのが如実に分かります。
シミュレーション的な意味合いもありますね。
②平均気温とアイスクリームの支出額の相関性
これはコンビニなんかのデーター活用でよく聞く例ですね。
平均気温とアリスクリームの支出額には相関関係があるかないかを調べる問題です。
こういった考えを使った問題が、実際参考問題として挙げられています。
試作問題『情報Ⅰ』(参考問題)(1.1 MB)
③感染者数のシミュレーション
なんともこれは今どきなシミュレーションです。
でもシミュレーションして初めてわかる推移でしょう。
これ全部エクセルです。
簡単ではないですし、こどものプログラミング教室ではこんなことはふつうしません。
もちろんこれらのグラフを
「ゼロの状態から作る」ことを求められているわけではありませんが、
(もとになる計算式のヒントが提示されていて、そこから作っていく)
エクセル力+αが必要になることは容易に想像がつきますね。
3.どういう準備をすればよいのか?
どういう子なら、この授業についてこられるかを考えてみました。
① すでに入力に不安はない
② エクセルで表は普通に作れる
③ 基本的な数式、関数は普通に扱えて、オーフィル、表、数式のコピペができる
④ 相対参照、絶対参照はしっかり理解、区別ができる
⑤ 分析に興味がもてるか否か
このグラフを2回程度の授業(90分)で作らなければならないので、
この程度のことが前提になりそうです。
シニア向けパソコン教室でいうならば、3~5倍のスピードで進んでいるのではないでしょうか・・・。
いや、そもそも折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ以上のグラフは作りません。
こんな前提をいつ準備するか・・・ いやいつなら準備できるのか?
大学受検にも直結する「情報I」を無理なく得点源にしようとするならば
中学からじわじわ準備せざるを得ないというのが正直な感想です。
4.今回のまとめ
情報Iを必修にする主要目的は日本が目指す未来社会
【Society5.0】を実現することがあげられると思います。
Society 5.0 - 科学技術政策 - 内閣府 (cao.go.jp)
そして、この実現を支える技術に
「AI」、「ビッグデータ」そして「データサイエンス」
を挙げることがあります。
↓↓ を見ると大学でも重要視されていることが分かります。
『AI・データサイエンスの学び』特集 Society 5.0時代を切り拓く大学の取り組み | JBpress(日本ビジネスプレス) (ismedia.jp)
東日本でデータサイエンスを学べる大学・学部・学科まとめ | データサイエンス百景 (ds100.jp)
西日本でデータサイエンスを学べる大学・学部・学科まとめ | データサイエンス百景 (ds100.jp)
この中の3つ目の「データサイエンス」とは統計学や情報科学を利用し、
大量のデータから規則性・関連性を導き出し、新たな価値を生み出します。
そのデータサイエンスの分野でエクセルが大活躍するということなのです。
特にシニア向けパソコン教室ではおまけ的な存在だった、
「エクセルの表⇒グラフ」の部分。
これからの子供たちには興味を持てるように
重点的に教えるべきだと強く感じた次第です。
(と同時にシニアも少しは知っておいた方がいいとも思いました)
エクセルはもはや単なる「一アプリ」を越えて、
教科書レベル、国レベルでも分析ツールとしても
利活用を推奨されているということなのです。
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