鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

ウクライナ戦争一周年

2023-02-25 21:35:34 | 災害
ロシアのプーチン大統領が始めたウクライナ侵攻戦争は昨日の2月24日で丸一年を迎えた。

戦闘員の死者についてウクライナもロシアも実際より少なめに発表しているようだが、欧米の情報によるとウクライナで10万、ロシアで20万には達しているだろうとの推定が確かなようだ。

今でもプーチンはそう言っているが、この攻略は戦争ではなく「大規模軍事演習」ということになっている。

ウクライナの一般市民約8000人を爆撃で殺害しておいて何が「演習」だ。

しかも一昨日にプーチンが「年次教書」で演説したところによれば、「この戦争を始めたのは欧米」だそうである。

何という話のすり替え(責任の転嫁)だろうか、呆れるばかりだ。

もっともかつてのソ連時代に秘密警察の一員であったプーチンは1989年当時ベルリンに滞在しており、あの「ベルリンの壁崩壊」の時の屈辱を身を以て体験し、秘密警察をクビになって難儀をしたというから、欧米流の「民主主義」に対する怨念のようなものがあるようだ。

つまりソ連邦崩壊後の新生ロシアは欧米流の民主主義による諸制度を受け容れたには違いないのだが、結局のところ欧米流、特にアメリカの金権第一主義(グローバリズム)にはなじめなかったということだろう。

そのような民主主義の導入はロシア本来の主権にとっては大いに齟齬があり、そのことをプーチンはロシアへの欧米の侵略と思っているのではないだろうか。「ネオナチとの戦い」という表現はそのことだったのだ。

昨日今日と新聞でもテレビでも「ロシアのウクライナ侵攻一年」ということで一面トップを飾っているが、ほとんどのメディアの見解は「ウクライナ戦争は長期化するだろう」というものである。

プーチンが演説をしていたちょうど同じ頃、ウクライナのゼレンスキ―大統領のもとへアメリカ大統領のバイデンが隠密裏に訪問した。

これで主要7か国(G7)のうち政府の代表がウクライナを訪問していないのは日本だけになったのだが、メディアはやはりそのことを取り上げている。

G7の会議が今年は岸田首相のお膝元の広島で開催される以上、日本の動向に関心を持たれるのは当然だが、政府としては訪問したいのは山々だが、軍事的支援に関して日本は他国と違って憲法上の制約があり、手土産になるものが無いということで行きそびれているようである。

しかしその点は世界の国々には周知のことであり、欧米諸国の武器援助とは一線を画して何のお咎めもないだろう。

むしろこの際、軍事以外の貢献を積極的に行うことを世界にアピールすべきだ。

アメリカが敵視している中ロとの長期的な経済関係を日本は維持しているのだから、その点でも日本が果たす役割は小さくはない。

ただロシアとの関係では「北方領土問題」が膠着状態のままである。

北方4島は日本の領土なのだが1945年2月の「ヤルタの秘密協定」(英米ソの密約)によって英米がソ連の対日参戦を促したため、それを受けてソ連が日ソ中立条約を反古にして満州から千島列島にまで進攻して奪い取ったのだ。

ソ連はアメリカが長崎に原爆を投下した8月9日から日本がポツダム宣言を無条件で受け入れた8月14日までの間に日ソ中立条約を破って満州と千島列島北部に侵攻し、満州からは当地にいた日本人を60万も拉致してシベリアへ送り、千島列島では日本の守備隊の抵抗もあったが、難なく北方領土を奪い去った。

このような仕儀を「盗っ人ロシア」という。

2014年にウクライナ南部のクリミアを一方的にロシアに編入したのにも当てはまる言葉だ。

何にしてもロシアのプーチンを排除しなければこの戦争は終わらないに違いない。

あの安倍晋三元首相が凶弾に倒れずに存命だったら、首相在任中に歴代総理ではダントツの28回もプーチンに会っている彼が、プーチンへの特使としてモスクワへ出かけ、矛を収めるよう進言できたのではないか、と淡い期待が涌かなくもないのだがどうだったろうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿