奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

窮鼠 己を噛む

2012-09-24 | 心詩~こころうた・己
手遅れになるまで
人は 気付こうとしない
傷付けたものに
反旗を翻され
はじめて
その痛みに気付く

滑稽なほどに
愚かな生き物

私が今
傷を負わせているのは
誰でもない
私自身

私を今
追い詰めているのは
誰でもない
私自身なのだ


心に棲みついた
闇に操られ
眠らぬ夜を過ごし
己が肉体を
怠惰に痛めつけた

遺伝子は法則を乱し
徐々に
内からの崩壊が始まる
全身に記されたメッセージ
肉体からの最後通告


こうなることは
分かっていたのだ
分かっていながら
その警告を無視した

否、
もしや 私は
それを望んでいたのか
一日でも早く
「終わり」が訪れることを
もしや 私は
本当にそうなることを……


メッセージは
私の目を覚まさせた
私が与えた痛みは
この身にそっくり
返ってきた
それは 自らに訴える
捨て身の懇願だったろう

ただ それだけの痛みに
私の心はあっさり折れた
どれだけ臆病で
どれだけ意気地なしかを
思い出させるには充分な


心を操る闇と
肉体を蝕む病
どちらが先に
この命を喰らうのか


もう一度
心から
生きることを欲した時に
すべての澱みは
この身から消え去るだろう

そう念じて
今よりもう少しだけ
丁寧に生きてみようと思う


まだ
手遅れだとは言わないでくれ

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