この世界の
どこにも存在しなかった
私という塊が
ひとつの魂と出会い
姿を成して
誕生した
ただ生きるだけの
簡単な人生は
与えられなかった
人間として生きる
その試練
それは
気高き生涯か
人間である自分に
適合できぬまま
絶えることなく与えられる
人生の課題を
乗り越える力さえもなく
ただ魂を磨り減らしてゆく
愛されたという記憶は
なぜだろう
この細胞の断片にさえも
刻まれてはいない
「愛」というアイテムを
取り扱うための説明書は
与えられてはいなかった
どれが「愛」なのか
「愛する」と「愛される」の見本を
誰も 用意してはくれなかった
「愛」ではないものを「愛」と錯覚し
本物の「愛」を「害」と判断して
私は自らの手で
この人生を
追い詰めていたのかもしれない
紛いものを手本に学習し
実践でしくじるのは道理
貧乏クジばかりの人生
利口でない人間は
すぐ手の届く場所を埋める
はずれクジばかりを掴み
成功が易々とは手に入らないことに
気付きもせず
世の無情に悪態をつく
そうして積み重ねた人生は
やがて 生きる気力さえも奪い去る
この人生が
与えられた(強いられた)ものであるのなら
どんなに努力をしても
運命は変えられないということだろう
だが もしも
自分自身の操縦で
行き先を決められるのなら
この人生は
まだ 諦めるほど 悪くもない
この世界に生まれ落ち
もう 随分の時を生きた
命ある限り
手遅れなどという言葉に
逃げることはしたくない
命ある限り
人間としての生涯を
少しでも救いのあるものに
しなければならない
泣いて 苦しんで
終わるだけの人生ならば
傷付き 傷付ける
それだけの人生ならば
気高き魂を授かった甲斐が
なかったことになってしまう
「生まれてこれて良かった」
そう思いながら
生涯の幕を閉じられたなら
たとえ 砂粒ほどの
幸せしか得られなくとも
私は満足して
この命を終えられるだろう
──この世界に生まれ落ちた日に
どこにも存在しなかった
私という塊が
ひとつの魂と出会い
姿を成して
誕生した
ただ生きるだけの
簡単な人生は
与えられなかった
人間として生きる
その試練
それは
気高き生涯か
人間である自分に
適合できぬまま
絶えることなく与えられる
人生の課題を
乗り越える力さえもなく
ただ魂を磨り減らしてゆく
愛されたという記憶は
なぜだろう
この細胞の断片にさえも
刻まれてはいない
「愛」というアイテムを
取り扱うための説明書は
与えられてはいなかった
どれが「愛」なのか
「愛する」と「愛される」の見本を
誰も 用意してはくれなかった
「愛」ではないものを「愛」と錯覚し
本物の「愛」を「害」と判断して
私は自らの手で
この人生を
追い詰めていたのかもしれない
紛いものを手本に学習し
実践でしくじるのは道理
貧乏クジばかりの人生
利口でない人間は
すぐ手の届く場所を埋める
はずれクジばかりを掴み
成功が易々とは手に入らないことに
気付きもせず
世の無情に悪態をつく
そうして積み重ねた人生は
やがて 生きる気力さえも奪い去る
この人生が
与えられた(強いられた)ものであるのなら
どんなに努力をしても
運命は変えられないということだろう
だが もしも
自分自身の操縦で
行き先を決められるのなら
この人生は
まだ 諦めるほど 悪くもない
この世界に生まれ落ち
もう 随分の時を生きた
命ある限り
手遅れなどという言葉に
逃げることはしたくない
命ある限り
人間としての生涯を
少しでも救いのあるものに
しなければならない
泣いて 苦しんで
終わるだけの人生ならば
傷付き 傷付ける
それだけの人生ならば
気高き魂を授かった甲斐が
なかったことになってしまう
「生まれてこれて良かった」
そう思いながら
生涯の幕を閉じられたなら
たとえ 砂粒ほどの
幸せしか得られなくとも
私は満足して
この命を終えられるだろう
──この世界に生まれ落ちた日に